「Redwood」を知ってるかい?PING削り出しパターを中古でトリップ
ピン社のパターと言えば、オールドファンはブロンズ色のモデルを思い出す。マンガンブロンズを鋳造したパターは大量生産が可能で価格も安く、全世界のゴルファーから圧倒的な支持を得た。しかし、時は流れてゴルフ界では高価なパターが台頭。同社もコストをかけたパターの製造を本格化させた。2007年発売の「レッドウッド」はステンレスを削り出したモデルで、「ピン型の元祖はピンでしょ!」という主張を十分に感じさせたシリーズ。今回はピンのミルドパターを中古で探そう。
自宅ガレージで生まれたパター
ピン社の創業者であるカーステン・ソルハイムは1959年、趣味が高じて、会社勤めをしながら副業でゴルフパターの製作を始めた。自宅のガレージで作られた「PING 1-A」の独特の“ピン”という打球音が、会社名になったと言われている。そのガレージがあったのが、カリフォルニア州のレッドウッドという町だった。
ソルハイムは1961年に勤め先を退職し、拠点をアリゾナ州フェニックスに移す。そして1966年にピン型の元祖「ANSER(アンサー)」を誕生させた。ジャック・ニクラス、トム・ワトソンやセベ・バレステロス(スペイン)が全盛期に使用し、リーズナブルな価格も魅力的だった。
その後、スコッティキャメロンに代表される削り出しの高価なパターが流通。1984年にアンサーの特許が切れたこともあって、ほぼ同じ形状で高品質のモデルが市場にあふれた。レッドウッドはそんな中で2007年に生まれたのである。
改めて「削り出しパターの良さ」とは
ピンはゴルフクラブに「ロストワックス」という鋳造(鋳型に金属を流し込んでヘッドをつくる)技術を本格的に取り入れたメーカーだ。この技術革新により高品質かつ低コストでクラブを量産できるようになった。
その後、金属の塊をコンピューター制御されたドリルで成型する、削り出し製法が生まれた。削り出しでつくられた、いわゆるミルドパターは製品精度が高く、一体成型できるためしっかりした打感を得られるメリットがある。フェース面の削り方を変えることで、打感をコントロールできるのも特長だ。一方で、製造に時間がかかる上に使わない金属が大量に発生するというコスト面のデメリットがある。
迷っているなら「ヴォルト」がお買い得だ
2007年のレッドウッドシリーズ、11年のアンサーシリーズは発売から10年以上経過しており、中古ショップでなかなか発見できないのが現状。見つけることができたら、1万円台前半だろう。
「ヴォルト」(2016年)や「ヴォルト2.0」(2018年)シリーズがオススメだ。ミスヒット時もボールの初速がそろうTR溝がフェースに削り出されている。2.0はトウとヒールにタングステンウエートを装着。どちらのモデルも様々なヘッドバリエーションがある。1万円台中盤から見つかるだろう。
また、シャフト長の調整機能が付いているモデルもあり、自分の好みの長さを把握していない人には大変便利。ただし、長さを決めているゴルファーには調整機能がないモデルを推奨する。シャフトの長さを変えた途端、重量配分等も変わりフィーリングに影響するからだ。
ピンの最高峰。PLDは中古でオススメか?
2022年に発売された「PLD ミルド」はピンのパター研究開発室(PING PUTTING LAB DESIGN)の頭文字を取ったもの。2023年にマットブラックモデル、2024年にガンメタルモデルと、仕上げと刻印が違うものがリリースされた。非常に存在感があり美しい仕上げで、所有感を満足させてくれる。
エッジが立っていない、柔らかいフォルムも特徴で、スコッティキャメロンのパターとは一線を画す。2022年発売モデルは中古価格も3万円台前半。削り出しパターとしてはお手頃だろう。バリエーションも多い。ちなみに筆者は2019年に500本限定で売られた「PLD ブルーザー」を狙っている。ネオマレット型にして高級感があり、アルミとカッパーを組み合わせて慣性モーメントを最大化した。当時としては破格の6万4800円で売り出したパター。フリマサイトでは4万円前後で売られているようだ。
美しい仕上げや、ソリッドで重厚な打感という魅力が削り出しモデルにはある。ピン社は現在、ドライバーをはじめとしたあらゆるクラブでトップブランドになったが、ピンと言えば、ピン型パターなのだ。賛同される方はぜひゲットして欲しい。(文・田島基晴)