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フェースの傷はどのぐらい減額?クラブを高く売るための「マイナス査定対策」マニュアル

2024/12/06 20:00
写真のようにヒビが入ってしまうとさすがに売却は難しい

ゴルフクラブは傷がついたり、汚れたり、消耗したりと時間の経過とともに状態が悪くなる。見た目の問題だけではなく、性能に影響する場合があるから注意が必要だ。劣化に伴う買い替えのタイミングや、中古ショップに高価で買い取ってもらうためのポイントをまとめた。

ウッドの性能に影響する傷、しない傷

ゴルフクラブは、大きく分けるとヘッド、シャフト、グリップで構成されている。劣化具合が性能に多大な影響を及ぼすのはヘッドだろう。

ウッド、ユーティリティのフェースは、強度に優れた金属が使われており、凹んだり、深く傷つくことは少ない。しかし、砂が付着したボールを打つと傷がつきやすくなり、見た目の問題から買い取り時のマイナス査定要素になる。もっと厄介なのはフェースの「割れ」で、ヒビの様な線が入ると極端に強度が落ち、飛距離がダウンする。打球音がおかしい、普段と違うと思ったら、まずはフェースをチェックしよう。割れた場合は買い替えるしかない。

フェース部分やフェースとクラウンの接合部分が特に割れやすい

クラウンは軽量化を目的に、比重の軽い素材を薄くして使用している。小さな衝撃でも凹むことがあるので要注意。性能の変化は少ないが、買い取り査定は極端に下がる。

傷だらけのウェッジ…そろそろ交換時期か?

地面に接触するアイアンやウェッジ、特にソールとフェース部分は傷がつきやすい。ウェッジは素材がやわらかく、ノーメッキモデルはさらに消耗が早い。ツアープロの中には毎試合、新しいウェッジを使う選手もいると聞く。では一般アマチュアではどれぐらいが交換の目安だろう? ボーケイウェッジで知られるタイトリストのホームページには「75ラウンドを目安に溝と弾道をチェックすること」を推奨している。

アイアンについてはウェッジ以上に溝の消耗を気にする必要はない。気をつけて欲しいのは当たり傷だ。キャディバッグの中で違う番手のヘッド同士が当たったり、ショットで小石などを打ったりして傷が刻まれることがある。自動車のトランクに入れっぱなしにして走行を繰り返しても、当たり傷はつきやすい。アイアンカバーなどで保護するといいだろう。

こちらはまだ未使用に近いウェッジ
使用頻度も高くフェース面は傷つきやすい。こちらは20年選手

シャフトは劣化しないってホント?

一般的にカーボンシャフトは劣化しないと言われている。スチールシャフトも一般アマチュアが普通に使用する程度では影響しないとのことだ。プロゴルファーの中には「シャフトがヘタってしまった」と口にする選手もいるそうだが、劣化は振動数などの数値に表れないことがほとんどだという。

ただし、それらは通常の使用方法でゴルフを楽しむ場合。カーボンシャフトはリシャフトなどで一度でも高温にさらされると極端に強度が落ちる。夏場に自動車のトランクに入れっぱなしというのも劣化につながる。また、表面に傷がついたり、塗装が剥がれたりするのは、見た目はよくないが、かすり傷程度では性能に影響しないだろう。

気を付けるべきは、スチールシャフト内部の錆だ。メッキ加工されている外側と違い、内部は雨にさらされると、グリップエンドの穴などから水分が侵入して錆びてしまう。濡れたときにはしっかり乾燥を。

グリップは素材のチェックを忘れずに

ゴム素材のグリップは使っているうちにツルツルになる。使用頻度が少なくても経年劣化で硬質化して滑りやすくなる。台所用の中性洗剤で洗い、タワシや目の荒いスポンジでこすることで、かなり改善するので一度試して欲しい。

未使用に見えるが30年以上前のグリップはカッチカチ

一方、樹脂製のグリップはゴム製よりも高価だが、劣化しにくいメリットがある。中古アイアンを購入する際に注意したいのが、番手によってグリップが違ったり、特定の番手だけ劣化が激しかったりする場合だ。グリップ交換の予算をあらかじめ組んでおこう。ちなみにスコッティキャメロンのパターなどを売る際、価値のあるオリジナルのグリップから交換していると査定額が下がることがあるので要注意だ。

ちなみにドライバーやアイアンのグリップで、右手の親指部分との接地箇所が深く削れているケースがある。これはクラブではなく、スイングに問題があることがほとんど。“手打ち”になっていないかチェックしよう。

近年クローズアップされる塗装のヘッドは?

ウッドやユーティリティ、パターのヘッドは多くが塗装されている。塗装はメッキに比べて傷がつきやすい。性能への影響は少ないとはいえ、中古売買の際に、評価が大きく上下する。ラウンド中はヘッドカバーを外しっぱなしのプレーヤーがいるが、当たり傷がつかないよう常に保護したい。塗装は傷がつくと補修が難しい。特につや消し(マット)加工が施されているモデルは、磨くとつやが出てしまうので要注意だ。

近年はヘッドの構造が複雑化しており、重心位置を調整するためのウエートやネジなどの部品が増えた。クラブを中古ショップに売りに行くときは、購入時の付属品を装着できるようにしておくと高価買取が狙える。消耗品は性能に影響するものとしないもの、価格に反映されるものとそうでもないものが混在する。ゴルフクラブだけでなく、周辺パーツにも愛情を持って接したい。(文・田島基晴)

■ 田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。