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「フューチュラ、デツアー、ファントム…」スコッティキャメロンを"大型マレット縛り”で中古探訪

2026/09/18 20:00
キャメロンとは思えない大型マレットのキャメロンたち

タイガー・ウッズ松山英樹が愛用する「ニューポート2」に代表される端正なピンタイプ(ブレード型)のパターはスコッティキャメロンの代名詞。しかし、過去モデルを紐解くと、革新的なデザインと寛容性に優れたモデルが数多く存在する。今回は現在人気の「ファントム」に至るまでの変遷を振り返ってみよう。

実験期(2000年代中盤)

2003年、スコッティキャメロンが世に放った「Futura(フューチュラ)」は、当時のゴルフ界に大きな衝撃を与えた。航空機用アルミニウムボディの後方に、大きな半円状のステンレス製ウエートバーを張り出させたルックスは、「UFO?」「アイロン?」と揶揄されたが、意図は極めて合理的だった。

初代フューチュラ。アルミボディなのでアルマイト処理で色が変えられた(純正はシルバー)

重量の大半をフェースから遠く離れた後方に配置することで、当時としてはケタ外れの深低重心と高慣性モーメント(MOI)を実現。フィル・ミケルソンが「マスターズ」等で使用したことで、性能の高さが一気に知れわたった。「削り出しピンタイプの巨匠」だったキャメロン氏が勝利のためにフォルムの美学をかなぐり捨て、テクノロジーに舵を切った記念碑的モデルである。

フューチュラで大型ヘッドの手応えを得たキャメロン氏は、次の一手として2006~2007年に「DETOUR(デツアー)」シリーズを投じた。「パッティングはストレートではなくアークを描く」という分析に基づき、イン・トゥ・インの自然な円弧(アーク)をそのままアライメントとして具現化。ヘッド後方に湾曲したオレンジ色のカーブフレームを配置し、円弧軌道をガイドする構造を採用した。

残念ながらセールスを伸ばせなかったが、次に定番のニューポート2のバックフェースにデツアーの円弧バーをドッキングさせた「ニューポート2 デツアー」(2007年)も投入する。こちらも、その奇抜な外観から保守的なキャメロンファンには敬遠され、商業的には大成功とは言えなかった。しかし、アルミフェースインサートによる独特のマイルドな打感や、ブレードの構えやすさに大型マレットの直進性を融合させた意欲的な構造は、いま見返しても非常に興味深い。

「ニューポート2 DETOUR(2007年)」攻めているなぁ…

現在の中古市場では1万円台半ば~2万円前後で購入できることも多く、「人とは絶対に被らない個性派キャメロン」として隠れた掘り出し物となっている。独特の形状で、攻めの姿勢を感じさせる歴史的なモデルは正直、中古市場にも少なく、価格も「ホントにスコッティキャメロンなの?」というくらい手頃だ。状態の良いものを探すのには苦労する。

進化期 (2013~2017年)

試行錯誤を経て、2013年に再び脚光を浴びたのが「フューチュラX」だ。 アダム・スコット(オーストラリア)が長尺パターを手にし「マスターズ」を制覇。両翼に突き出たバランサーウエートと高精度アルミニウムボディの組み合わせにより、「勝てるハイテク大型マレット」の地位を完全に確立した。

「フューチュラX 」。何となく蜘蛛パターに似ているのは気のせい?

2014年には「フューチュラX」が現在の「Phantom(ファントム)」の原型となる形状で登場。2017年には「フューチュラ 5CB/5MB/5W」やツノ型の「6M/7M」へとシリーズが枝分かれし、現在のキャメロンの代名詞である「303ステンレススチール外周ウェイト×軽量アルミフェース&ソール」のマルチマテリアル設計が完成の域に達した。2014年の「フューチュラX」から2017年の「フューチュラ」は、Phantomの原型と言って良い形状で値段も2~3万円とお求めやすい。

完成期(2019年以降)

PGAツアーで使用されるスコッティキャメロンのパターで、いまやピンタイプと並ぶ一大勢力となっているのが「Phantom」シリーズである。2000年代中盤に存在した「フューチュラ ファントム」の名を受け継ぎ、2019年に「Phantom X」として再始動。航空宇宙工学を思わせるシャープでソリッドなデザインになった。

ジャスティン・トーマスが使っていた「ファントム9.5」

「スタジオ・スタイル」と並ぶ定番商品として君臨するようになり、2024年に「Phantom」シリーズとなり現在に至る。人気があり、年式によって形もフェース素材も違う。性能面はすでに完成形と言えるので、デザインや形、そしてフェースのミーリングやインサートの違いによる打感の好みで選んで良いだろう。価格は中古でも4万~6万円となっている。

せっかく買うなら…確認すべきポイント

中古で購入する際のポイントを整理しよう。フューチュラ、デツアー、ファントムはソールやフェースにアルミ素材を多用している。ステンレスに比べて軟らかいため、“小石がみ”や当たり傷、アルマイト塗装の剥がれがないか入念に確認してほしい。塗装欠けなども要チェックだ。また、スコッティキャメロンは純正グリップ、シャフトバンドの有無といったオリジナリティも評価されるのでチェックを忘れずに。

「フューチュラX 5」。もうすでにPHANTOMと言ってもいい

「スコッティキャメロンの質感やステータスは魅力的だけど、ピンタイプはなんだか難しそう…」と悩むゴルファーにとって、ブランドが20年以上かけて磨き上げてきた大型マレットの系譜は、まさに実利とロマンを兼ね備えた選択肢となる。最新のファントムを手堅く選ぶもよし、あえてデツアーや初代フューチュラといった意欲作を中古ショップの片隅から格安で掘り出すもよし。「キャメロン氏が本気で挑んだやさしさの歴史」を、ぜひ中古コーナーで味わってみてほしい。(文・田島基晴)

■ 田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。