「中古ウェッジ」購入前に知っておきたい大事なこと ギアマニアがレベル別で指南
ネット通販やフリマアプリでゴルフクラブを買うのが一般的な時代になった。ドライバーやアイアンは写真とスペック表で満足いく買い物がしやすい。しかし、上級者なら声を大にしてこう言うはずだ。「ウェッジだけは絶対にネットで買うな。実店舗に行って自分の目で現物を見ろ!」と。今回はギアマニアのランク別にチェックポイントを伝授したい。
【初級編】カタログスペックだけをなぞることなかれ
中古ウェッジを探す際、多くのゴルファーがチェックするのは以下のような基本項目だろう。まずはヘッドメーカーとモデル名(タイトリストの「ボーケイ」、キャロウェイの「JAWS」シリーズなど)。次に装着シャフト(ダイナミックゴールド、NSプロなど)とそのスペック。そして、ロフト角とバウンス角だ。
これらは購入の前提条件で重要であることは間違いない。ギアマニア的に言えば、あくまで「カタログに書いてある記号」を確認しているに過ぎず、この段階でネットの買い物カゴに入れてしまうのは、中古ウェッジ選びとしてはギアマニア初級の域を出ていない。
【中級編】ソール、溝、摩耗を見る
中級レベルになると、クラブの実戦性能に直結する状態や形状の目利きが始まる。
まずはグラインド(ソール形状)の特性を把握したい。同じバウンス角であっても、ソール全体が平らなワイドソールなのか、ヒール・トウが落とされた「Cグラインド」や「Mグラインド」なのかでヘッドの動きはまるで違う。フェースを開いて使いたいのか、スクエアに構えてシンプルに滑らせたいのか、自分のプレースタイルに合致しているかをチェックする。最近は試打できる中古ショップが増えている。試打できなくても、フェースを開いたときの据わりなどをチェックしてみると良い。
ウェッジのスピン性能は溝で決まる。溝の角が丸くなっていないか、打球痕が集中するセンター付近のミーリング(微細な削り痕)がすり減っていないかを確認。ヘッドの見た目がキレイでも、フェース面がすり減ったウェッジはスピン量が激減する。非常に原始的だが、筆者は指の爪で溝の引っ掛かりをチェックしている。特にノーメッキは、メッキモデルに比べ溝の消耗度が大きい。
合わせてソールの消耗度にも目を凝らそう。ソールの傷は中古クラブの査定価格に大きく影響するため、溝の状態がよければお安く買えるかもしれない。ソールはウェッジの命だ。工房などで加工している個体も珍しくない。美しく加工しているものは魅力的に感じる。しかし、試打できないなら購入するのはやめておいたほうが無難だ。
購入したウェッジをカスタマイズしたいという気持ちはわかる。番手やメーカー名の彫刻を色抜きしたり、シャフトバンドを剥がしたりすることだ。その際はいずれ買取り価格に影響することをお忘れなく。特にシャフトバンドを剥がすと、モデルやフレックスが不明となりダウン査定となる。
【上級者・マニア編】ネックと挿し角を見抜く
軟鉄ウェッジのロフト角・ライ角を調整することは珍しくない。ただし、無理に曲げたり、繰り返したりすることで、ホーゼルにシワ、歪み、工具の傷、凹みが残ることがある。ネック周辺を見回して、不自然な波打ちがないか確かめたい。調整痕が大きいクラブは、刻印と実際の角度が異なる可能性もある。気になる場合は調整歴を尋ね、可能なら角度を計測してもらう。
ホーゼルに対するシャフトの挿入角度も重要だ。挿し角や過去のネック調整により、同じFP値やロフトでも、地面に置いたときのフェースの向きや据わりが変わる。店舗で実際にグリップを握り、普段のアドレスをとってみよう。平らな場所にソールを置き、力を入れずにヘッドが落ち着く場所で以下をチェックして欲しい。
・ソール後方が浮き、フェースがかぶって見えないか
・開いたときにリーディングエッジが浮きすぎないか
・リーディングエッジからネックへ続くラインが自然に見えるか
ネック調整自体が悪いわけではない。大切なのは、スクエアでも、開いた状態でも違和感がなく、ターゲットに対して自然に構えられることだ。数値だけでなく、自分の目にどう映るかも重視したい。アドレスで気になる一本はコースで迷いにつながりやすいからだ。
ウェッジはアプローチやバンカーなど、スコアに直結する場面で使う。中古品は価格や写真だけで決めず、店頭で溝、ソール、ネック、シャフトの入り方、構えたときの据わりまで確認したい。基本スペックで候補を絞り、摩耗と加工の状態を見て、最後は自分の構えに合うかを確かめる。この順番なら、見た目のキレイさや、安さに惑わされにくい。自分の目と手で選んだ一本こそ、ショートゲームを長く支える相棒になる。(文・田島基晴)
■ 田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。