「コースメンテナンス」で応えることが私たちの使命~恵庭CC
新型コロナウイルスの5類以降でさまざまな制限が大きく緩和された今夏、北海道のゴルフ場は道外からの来場者でどこも盛況だ。その中でも恵庭カントリー倶楽部は本州のゴルファーが4割を占める旅行者の人気が高いコース。メンテナンスが行き届いた美しいベント芝が北海道らしい雄大なコースに敷き詰められているのが大きな魅力だ。今年は7月末に「日本プロゴルフ選手権」が開催されることもあり、より多くのゴルファーから高い関心が寄せられている。
ゴルファーの期待を高める“演出”
車で恵庭CCを訪れると、門番にスタート時間と名前の確認を受ける。全国に名門と呼ばれるコースはいくつもあるが、門番がいるコースはかなり限られているだろう。「本当に危ない人が入ってくるんじゃないかと思って門番を置いているわけではありません。いってみれば演出の一部です」と話すのは東勝彦支配人。特別な場所に足を踏み入れるという雰囲気作りがここから始まっている。
クラブハウスまでの進入路は2.2キロ。プレーするエリアではないにもかかわらず、両サイドの芝生はきれいに整えられている。「ゴルフ場の顔ともいえる部分なので、門を入ってすぐのコーナーの法面は特に整備しています。毎朝、清掃に入っているので、前夜に雨で枝や木の葉が落ちていても、皆さんがいらっしゃる時間にはきれいな状態です」。ハードルが上がるなんて表現があるが、この法面を見れば、コースのメンテナンスに嫌でも期待は高まる。
こだわりの詰まったコースメンテナンス
しっかり芽の詰まったフェアウェイは原則1日に9ホールずつ刈り込みを行う。27ホールあるので、各ホールは3日に一度刈り込まれるペースだ。「肥料を与えて、成長を促し、刈り込み頻度を上げるのがメンテナンスの基本的な考え方です」。美しい状態を維持しようとすれば、それだけ手がかかるということだ。さらに目を見張るのは林の中までびっしりと芝生が生え揃っていること。特に木の根元にまで芝があるのはなかなか見られない光景といえる。「芝がなくなって裸地になった部分はすぐに種をまき、肥料を与えて養生しています」。コースメンテナンスへのこだわりが感じられる部分だ。
一方で、北海道のゴルフ場の多くは人手不足が課題のひとつだという。恵庭CCのコース管理も例外ではないが、毎年、最新のメンテナンス機器を導入し、作業の効率化を進めることでカバーしている。直近で導入したのは刈った芝など吹き飛ばすための大型のブロワー。「トリノという最新機種で、全国初導入だったと聞いています」。特に落ち葉が多い秋の時期には大活躍。美しいコースを維持することに貢献している。
それだけ手がかかったコースにカート乗り入れでプレーできるのも、恵庭CCの特徴だ。「晴れの日はもちろん、雨が降ってもカートの乗り入れを可能にしています。カートを乗り入れても、コースコンディションを維持できるように十数年前から数ホールずつ水捌けを良くするための工事を行ってきました。近年は大規模な工事は行っていませんが、問題がある箇所が見つかれば、工事ができるように準備はしています」。乗り入れられないのは前夜に大雨が降った時など、年に数日程度。これも長年積み重ねてきたコースメンテナンスの賜物だ。北海道に旅行に訪れるゴルファーは2泊3日で3ラウンドといったスケジュールで連日プレーする。だからこそ、カート乗り入れは大きなアピールポイントになる。
遠方客が多く占める名門コースとしての自負
今年は2009年以来となる国内男子ツアーのメジャー「日本プロゴルフ選手権」の開催も控えている。「前回は一部のパー5をパー4にして、パー70で行われましたが、今回はパー72での開催にこだわりました。そのために昨年ティイングエリアを新設しています。トーナメントで使用した後はクラブ競技でも新しいティイングエリアを使っていきたいですね」。通常営業のラフは40ミリ前後だが、大会時は80ミリを予定している。トーナメントに近い状況でプレーしたいという人はともかく、ラフを伸ばしている時期に訪れるゴルファーは要注意だ。
「27ホールあるので大規模なコンペも開催できますし、トーナメントコースをカート乗り入れで、全組キャディ付きでと、本州からのゴルファーの方が求めているものがすべて揃っていると自負しています」。それらすべてが、最高のメンテナンスが施されたコースで実現するからこそ、恵庭CCが人気コース、名門コースとしての地位を確立しているのは間違いない。