ゴルフ日和

接客に“LOVE”、癒しに“PEACE” 島ヶ原CCが心をつかむ理由

2025/08/28 11:00
コースのアイドル、ラブとピースが玄関までお出迎え。島ヶ原CCではこれが日常の光景だ

多くの人が予約の際に参考にしているGDOのクチコミ評価で長らく三重県ナンバー1に君臨しているのが島ヶ原カントリークラブ。全国的な知名度では男女ツアーのトーナメント開催実績がある他のコースに劣るが、実際に足を運んだゴルファーからは特に接客面を高く評価されている。

フラミンゴがいるゴルフ場は全国でも島ヶ原CCだけ?

島ヶ原CCは忍者の里として有名な伊賀市にある。京都、奈良、滋賀との県境に近く、それぞれの府県のゴルフ場が密集したエリアだ。到着すると、まず出迎えてくれたのはゴールデンレトリバーのラブとビーグルのピース。島ヶ原CCのアイドル的存在で、2頭の看板犬に会うためと訪れるゴルファーも少なくないのだという。

クラブハウス内で犬がのんびりと過ごしているのはなかなか珍しいが、これは和歌山の動物園アドベンチャーワールドが同じ企業グループに属しているから。クラブハウスをコース側に出ると、目の前の池にはなんとフラミンゴがいる。こちらは珍しいどころか、日本ではここだけの光景だろう。

スタート室の田辺真也さんは「人と人とのつながりを大事にしています」と話す

「ラブとピースの散歩やフラミンゴの小屋の掃除はスタッフのほぼ全員が持ち回りで担当しているんですよ」と教えてくれたのはフロントや電話対応を担当している中田笑美さん。スタート室の田辺真也さんとともに、実際に接客をしている2人に今回の取材に対応してもらった。

早速、高いクチコミ評価について尋ねると、田辺さんは「私も一人のゴルファーとしてプライベートで近隣のさまざまなコースに行くのですが、島ヶ原とはここが違うなと感じる点はあります」と切り出した。「セルフサービスが増えているので、人と人とのかかわりがないコースが多いのですが、我々は『with LOVE』をテーマに人のつながりを大事にしています。お客様にはそれを評価していただいているのだと思います」。

電話対応とフロント業務を担当する中田笑美さん

セルフサービスの代表例として挙げられるのは自動精算機。島ヶ原にもフロントの横に設置されている。「フロントが空いている時には『こちらでどうぞ』とお声がけするのですが、ほとんどの方が自動精算機よりもフロントを選ばれます。年配の方には『オレ機械分からへんねん。助かるわ』と喜んでいただけることも多いですね」(中田さん)。自動精算機とフロントのどちらがいいかは人それぞれだろうが、島ヶ原は周辺に比べてややプレー料金が高く、自然と利用者の年齢層も高め。この接客スタイルがニーズにマッチしているのだろう。

ラウンド後のドリンクバーも人気のサービス

人と人とのつながりは接客だけでなく、スタッフ同士でも大事にしている。「月に1~2回、パートの方も含めて、20人ぐらいでお菓子を食べたり、ゲームをする会を開いています。そういう機会がないと同じゴルフ場で働いているのに担当が違うと名前は知っているけど、話したことはないといったことになりがちで、それは寂しいので」(中田さん)。朝礼や会議のような堅苦しい席ではないが、毎回参加者でクチコミ評価を回覧し、新たな課題や目標を共有している。

ゴルフシューズのクリーニングも無料サービスのひとつ。スパイクに詰まった小石なども丁寧に落としてくれる

接客面以外でも、なくても不満はないけど、あったらうれしい、そんなサービスも揃っている。ラウンド後のゴルフシューズの清掃、風呂上がりのアイスキャンディー、ラウンジスペースのドリンクバーはいずれも無料だ。人のつながりを抽象的なサービスとすれば、それと対となる具体的なサービスも充実。だからこそ満足度が高まるのだろう。

コース周辺で数多く見られるキジがトレードマークになっている

「『コースは良かったけど、クラブハウスのサービスが…』とは絶対に言われたくありません。お客様は最後にクラブハウスを利用してお帰りになるので『また来たい』と思っていただけるサービスを心掛けています」(田辺さん)。そんな言葉を聞いた後だと、最後に見送りに来てくれたラブとピースも「またね」と言っているように見えてくるから不思議なもの。2頭の看板犬と触れ合う癒しの時間は島ヶ原CCのサービスを象徴しているのかもしれない。