ゴルフ歴1年未満で ドロー習得へ 「佐藤さんもっとお尻を回して!」 レッスン現場からLIVE中継
これからお届けするレッスンのやり取りは、感覚論とは無縁の科学目線の世界。最新技術を使ったいまどきのコーチたちのリアルなレッスンの一部始終をレポート。人の振り見て我が振り…直せます。
「スライスは収まってきたがヒールに当たるようになった」と悩む佐藤さん(ゴルフ歴1年未満、30代、男性、平均スコア100前後)
今回、2回目の登場となる佐藤賢(さとうけん)さん。目標はスライスを直して「ドローの球筋を手に入れること」と、飛距離アップして「100切り」のふたつ。
まずは1回目のおさらいをしておこう。手を大きく使ったアップライトなトップ、かつ左手首が甲側に折れたシャフトクロスだった佐藤さん。始動時の手の動きを抑え、体を使った始動を習得。「ボード挟みドリル」で腕の使い方を身につけてシャフトクロスを修正し、アウト-イン軌道とオープンフェースの改善を図った。
その後も頻繁に練習に通い、ドリルを続けてきたという佐藤さん。今回のスイング解析では、シャフトクロスも左手首が甲側に折れる状態も大幅に改善され、スライスの幅が小さくなった。だがその一方で、打点がヒール側にズレるようになり、ダフリやシャンクも出るなど新たな問題点が浮上してきた。
スイング分析でわかったヒールヒットの原因
前回に続き、増子瑠菜(ましこるな)コーチがスイング解析を行ったところ、ダウンスイングでの体の回転量が不足していることが見えてきた。
「ツアープロはインパクトで「肩が31度、腰が43度」左(ターゲット方向)を向いていますが、佐藤さんは「肩が22度、腰が20度」しか回っていません。これではインパクトが『詰まる』ので、ヒールに当たってしまうことが多いと思います」(増子コーチ)
体の回転量が足りないと、手元が抜けていくスペースがなくなりインパクトで手元が前に出やすい。これが「詰まる」という状態だ。「インサイドからクラブは下りていますが、前傾が起き上がってお尻やひざが前に出ています。この動きに同調する形で手元も前に出ます。その結果、ダフったり、ダフりを防げてもヒール側にしか当たらなくなってしまいます」と増子コーチは診断。体の回転不足の原因が「アドレス時の足の向き」にあると分析した。
体の回転量を増やすために
「佐藤さんのスタンスは、両足のつま先が体の真正面を向いています。左足つま先が正面(写真左)を向いていると、ダウンスイングで下半身が左方向に回りにくく、回転不足による詰まりを生じやすいんです。かかとの位置は変えずに、左足つま先をボール1個分くらい開いて(左を向けて)構えるようにしましょう。これで体が左に回っていきやすい状態が作れます」(同コーチ)
「ダウンスイングでは左足つま先側に体重を乗せすぎず、いまよりもかかと側に体重を乗せるイメージを持つようにしてください。佐藤さんはやや前につんのめるような状態になっていてひざが前に出やすく、これが体の回転を阻害する原因となっています」(同コーチ)
スタンスを修正したら、続いて体の動かし方をレクチャー。増子コーチはお尻をしっかり回すイメージでスイングするよう指導した。壁に背を向けて立ってシャドースイングするドリルを提案。トップでは右のお尻が、インパクトでは左のお尻が壁に触るように「お尻の入れ替え」を行うことで、体の回転量アップをうながすドリルだ。
「お尻の動きを意識すれば自然とひざが伸び、体の回転量は増えます。この動きはつま先体重ではやりにくいことも分かるので、自然にかかと側をうまく使って体を回していく感覚も身につくと思います。ポイントは、ダウンスイング以降にお腹を下に向けず、ターゲット方向におへそを向けていくような意識を持つことです」(同コーチ)
壁ドリルを数回行ってからボールを打つと、ヒールヒットが減って芯に当たることが増えた。結果、アイアンの飛距離がアップし、明らかに「厚い当たり」になってきた。
「前傾角度をキープすることを意識しすぎていたかもしれません。確かに少しかかと側に体重がかかるほうが、体が回りやすく感じますし、インパクトの感触が良くなります」(佐藤さん)
「前回のレッスンで軌道も改善されてきましたし、これで打点も良くなって球がつかまってきました。憧れのドローボールまであと一歩ですので、引き続きがんばってください!」(増子コーチ)とエールを送った。
■ 増子 瑠菜(ましこるな) プロフィール
1994年5月26日生まれ、福島県出身、ゴルフテック池袋所属。
10歳からゴルフを始め高校では全国大会にも出場。高校卒業後は地元のゴルフ場で研修生になり、ツアーキャディなどもしながらプロを目指す。その後LPGAティーチングも受講し26歳でA級ライセンス取得。ジュニア指導にも関心が高く、ジュニアゴルフコーチの資格も取得。