構造改革だ! 「90の壁」はアドレスでぶっ壊す レッスン現場LIVE中継
これからお届けするレッスンのやり取りは、感覚論とは無縁の科学目線の世界。最新技術を使ったいまどきのコーチたちのリアルなレッスンの一部始終をレポート。人の振り見て我が振り…直せます。
アイアンの引っかけが悩みの菊池さん(ゴルフ歴4年・20代男性・平均スコア90台)
菊池健斗(きくちけんと)さんは、これまでYouTubeなどを見ながら自己流で練習してきた。ゴルフ歴4年ほどでベストスコア92、現在は80台を目標にしている。アイアンで左方向に引っかけのような球が出るのが悩みだという。
数値では見えなかったアドレスの歪み
レッスンを担当する小早川亮(こばやかわりょう)コーチがスイングを解析。目をつけたのはアドレスだった。
「菊池さんのアドレスを後方から見ると、右腕が左腕を隠す状態で右肩が少しかぶって見えます。また、正面からのアドレスは、頭の位置がボールよりも左(目標側)に来ており、この構えはどちらも、カット軌道になりやすい原因です」と小早川コーチは指摘する。
さらに、「菊池さんは、ダウンスイングでプレーンよりも上から手が下りて、右肩がかぶる形でインパクトしています。これがボールが左に飛び出す原因のひとつ。さらにアドレス時の頭の位置が左にあることでインパクトで左腕が詰まってフェースターンが正常に行われず、これも引っかけを助長しています。体の動きを見ると、アドレスに問題があると考えられます」と同コーチ。
ポイントはボール位置と両腕の構え方
そこで、小早川コーチは構えの修正に着手。「菊池さんは腰から上がやや左に傾き、左に突っ込んだようなアドレスです。頭の位置がボールよりも後方に来るように右への傾きを作るとともに、右肩を後ろに引いて、後方から見たときに右腕が左腕よりも若干下がった位置(体側)にしました。また、ボール位置も右寄りだったのを少し左寄りに変更しました」(同コーチ)
「ボールの見え方が全然変わりました。こんなに右から見ていいんですね。それに振り心地もスムーズになって、気持ちよく振り抜けるようになりました」(菊池さん)
新しいアドレスで構えて何球か打ってもらったところ、軌道はよくなってきたが、今度はダフリ気味の傾向が出てきた。しかしこれはスイングが改善されていくうえでの正常な進化だと小早川コーチは話す。
「軌道も適正に近づき、クラブの入射角がゆるやかになってきました。ただ、手首がほどけてフリップ(左手首を甲側に折る)する動きがまだ残っているので、ダフリが出てしまっています。今後はもっとハンドファーストにボールをとらえられるように、改善をしていく必要があります」(同コーチ)
ハンドファーストのインパクトゾーンを作る練習法
そこで菊池さんに提案したのが、クラブを引っぱりながらヘッドで地面をこするドリル。ヘッドを右足の右前に置いたところから、リーディングエッジで地面をズルズルとコスリながら左足前まで引っぱっていく動き。ハンドファーストのままインパクトゾーンを作る感覚が身につく練習法だ。ポイントは、手先ではなく、左ひざを伸ばしながら(左ひざを伸ばすことで自然に左腰が回転していく)体でクラブを引っぱっていく感覚を持つこと。これを続ければ、ハンドファーストのインパクトが身につきダフリも解消されるはずだ。
「カット軌道が直ればインパクトでの詰まりもなくなり、振り抜きがスムーズになってきます。その結果、フェースターンも自然になって、引っかけずに球がつかまる状態が作られてきます。また、ハンドファーストでインパクトする動きが身についてくると、打点も安定してきますよ」(小早川コーチ)と上達の段階を説明した。
■ 小早川 亮(こばやかわりょう) プロフィール
1985年7月18日生まれ、神奈川県出身、 ゴルフテック大手町所属。
高校まではサッカー部に所属し、大学からゴルフ部に。レッスンでは出来るだけ分かりやすい言葉で、正しい動きを『体感』していただくことを心がけ、自身のイメージと実際のスイングのギャップに気づきを与えることを大切しています。