S吉クンのゴルフ研究

ゴルフ雑学 グリーン脇の扇風機

2015/03/17 15:59

ゴルフ場研究所(通称ゴルラボ・所員1人)の新米研究者・S吉クンのレポートも4回目。前回に引き続き、グリーン周辺で調査を行いながらふと上を見上げると、みなさんも見かけたことがあるだろう「扇風機(?)」が。
あれって夏場にゴルファーを涼しくしてくれるものかと勝手に思っていたけどどうなんだろう?カレドニアンGCのグリーンキーパーの石井浩貴さん、教えて~!

(取材協力/カレドニアン ゴルフクラブ)

もともとは防霜が設置の目的

池があって湿気が多かったり、樹木に囲まれて風通しのよくないホールに扇風機は設置されていることが多い。

(S吉)石井さん! グリーンのそばに大きな扇風機みたいなものがあります。あれは何ですか?

(石井)お。気がつきましたか。あれは、ご覧のとおり、風を送る機械です。

(S吉)なんでそんなものがグリーンのそばにあるんですか?

(石井)はい。実は、あれはもともと“ボウソウ”ファンなんですが……。

(S吉)暴走? あれ、走り出すんですか? 正月に富士山を目指したりするんですか?

(石井)ち、違います。その暴走じゃなくて、“防霜”です。霜を防ぐための風を送る機械だったのです。

(S吉)だったのです? そういえばさっき“もともと”って言っていましたね。

(石井)はい。もともとは、お茶畑で使われていたものなんです。お茶の葉は霜がつくとダメになってしまうので、お茶の葉を霜から防ぐために使われていたものなんです。

夏場は蒸れるのを防止するのに役立つ

夏場になると出動する小さな(といっても家庭用よりはだいぶ大きい)扇風機がゴルフ場の倉庫で出番を待っている。

(S吉)それがなぜここに?

(石井)冬にゴルフ場に行くと、グリーンにシートを掛けているのを見たことがありますか? あれはグリーンが凍らないようにしているのですが、そのシート掛けがなかなか大変な作業なんです。
そこで最初は、このファンで霜を防いで、グリーンにシートを掛ける手間を少なくしようと思って導入したのです。ところが、最近の天候は高温多湿の傾向じゃないですか。特に湿度が高い状態で夜の気温が上がると、芝が蒸れてしまうのですが、これが芝にとてもよくないのです。
それと、そんな芝に風を送ってあげて温度と湿度を下げてあげると、ちょっと弱った芝でも元気になるということが最近の研究で分かってきたのです。

(S吉)なるほど。それでここに大きな扇風機が立っているんですね。

(S吉)でもこれ、すべてのホールにはないですよね?

(石井)ええ。やはり、グリーン周りに池のあるホールや、樹木で囲まれているホールは蒸れやすいので、最初から扇風機を設置してあります。これ以外にも、夏場には移動できる扇風機を蒸れやすいグリーンに持っていって使っています。

(S吉)扇風機が湿った空気を吹き飛ばして芝の温度を下げて芝を元気にしているなんて! 扇風機なだけに“ファン”になりました!

(石井)……(空気もひんやりしたぞ!)

今回の役立つゴルフうんちく

カレドニアンGCの石井さん、色々と教えていただきありがとうございました!

グリーン脇にある扇風機は、もともとは霜を防ぐ“防霜”ファンだったが、現在はグリーンの芝を高温多湿から守ってくれているのだった。
グリーンのそばに池のあるホールや、グリーンが樹木で囲まれているホールに設置されていることが多いので、今度ゴルフ場に行ったら探してみよう!