S吉クンのゴルフ研究

ゴルフ雑学 ベントグリーンに芝目はあるのか?

2015/06/04 10:00

今回は、ゴルファーの間でも意見が二分している大問題をついに取り上げます。それは、“ベント芝のグリーンに芝目はあるのか?”です。あれ? そんなに大問題じゃなかったですか……。でもそこには、コースやグリーンキーパーのさまざまな思惑が隠されていたのです。というわけで、今週も鳴沢ゴルフ倶楽部のグリーンキーパー、渡辺文洋さんにお話を伺っていきます。

(取材協力/鳴沢ゴルフ倶楽部

俗に言う“富士山から順目”とは

鳴沢ゴルフ倶楽部では、芝目を確認するために、富士山の方角を示す植栽が施されているグリーンもある。

(S吉)よく「高麗グリーンには芝目があるけど、ベントグリーンは傾斜だけ読めばいいよ」なんて意見がある一方、「富士山の近くのコースは、富士山から順目だよ」なんて話もよく聞きます。ズバリ、ベント芝に芝目はあるのでしょうか?

(渡辺)うーん。実は、両方とも正解なんですね、これは。確かに、グリーンの芝“芽”を立たせてうまく育成することができると、芝“目”がほとんどなくなると言うことはできます。また、そういう育成を目指しているグリーンキーパーさんが最近多いのも事実です。

(S吉)フムフム。

(渡辺)一方、芝はどっちに向かって伸びるの、というとやはり植物なので太陽に向かっていって最終的には西の方に伸びることもあります。また、毎日グリーンモア(芝刈り機)で刈る時に、機械が芝の上に乗りますよね? ということは、機械の重さが重力方向に掛かるので、傾斜に対して順目にもなることもあります。さらに、水はけのことも考えると、水は高い方から低い方へと流れるので、傾斜に対して順目になることもあるということです。

(S吉)それがいわゆる“富士山から順目”ですね。

(渡辺)はい。当コースでも、そのようにお客様にご案内しています。先ほどお話した、芝目に影響を与える要素の中では、傾斜やグリーンモアなどによる踏圧の影響が大きいと思っています。

季節による芝目の強弱

(S吉)ところで、季節によって芝目が強い時期、弱い時期というのはあるのでしょうか。

(渡辺)はい。冬を越して4月、5月くらいが、一番芝目がキツイんです。冬の間は、芝がヤッコイ(柔らかい)のでそれほど芝目が強くならないのですが、4月、5月くらいになると芝が元気になって芽が硬くなり、芝目も強くなるのです。

(S吉)結論としては、芝目を作らないように芽を立たせてグリーンを作れば、傾斜通りに転がるグリーンには近づくけど、ある程度傾斜に任せてグリーンを手入れすることで、若干の芝目もできるということですね。

(渡辺)これは、ゴルフというゲームに対する考え方にも通じる話なんです。純粋に傾斜だけを読んでパッティングすることがゲームをエキサイティングにするのか、それとも、芝目の影響で見た目よりも切れたり切れなかったりした方が面白いのか。個人的には、後者のように傾斜+芝目で「あれっ?」とゴルファーに思わせる方が面白いのかな、と思っています。

(S吉)グリーン上では他人のパッティングを見て、傾斜通りか、芝目がどのくらい影響しているかを確認することが大事ですね。グリーンは丘のような形をしているだけに、「オカ目八目」ですね!

(渡辺)そ、そうですね(強引だなぁ……)。

今回の役立つゴルフうんちく

・ベントグリーンでも、傾斜などを生かした手入れをして芝目をあえて残すコースもある一方、芝目を作らないようにグリーンを管理しているコースもある。

・“富士山から順目”は、富士山周辺の多くのコースに当てはまる。