ゴルフ雑学 格好よくターフを飛ばすには
グリーンで使われる芝には、洋芝(ベントなど)と和芝(コーライなど)があるのは比較的よく知られていると思います。しかし、実はフェアウェイでも洋芝のコースと和芝のコースがあるのです。そこで今回は洋芝のフェアウェイについて、引き続き鳴沢ゴルフ倶楽部のグリーンキーパー、渡辺文洋さんにお話を伺っていきます。
(取材協力/鳴沢ゴルフ倶楽部)
日本のコースで“わらじターフ”が取りにくいわけ
(S吉)渡辺さん!私は研究目的でPGAなどの海外の試合の映像もよく見ているのですが、海外の選手がアイアンショットをすると、芝生と土が固まりになって飛んでいくのをよく見かけます。ところが、多くの日本の試合ではそのような光景はあまり見られませんし、私がコースでアイアンを打っても、ぼそぼそとした芝と土がバラバラになって飛んでいくだけです。あの芝と土の固まりが飛んでいくのがカッコいいと思っているのですが、なぜ真似できないのでしょうか?
(渡辺)それは、俗にいう「わらじターフ」というヤツですね。実は、このわらじターフ、ベント芝のフェアウェイじゃないとできないのです。
(S吉)なんと!
(渡辺)日本のコースのフェアウェイはほとんどがコーライや野芝などの和芝なのです。和芝はあったかい地域でよく育つ芝なのですが、標高600メートル以上の場所では育たないと言われています。一方、ベント芝などの洋芝は、寒冷地用の芝で、北海道や、夏場でも30度を超える日が少ない富士山周辺のコースなどのフェアウェイで採用されています。
(S吉)なるほど。つまり、わらじターフを飛ばしたかったら、北海道か富士山周辺のコースに行け、と。
(渡辺)そうなりますね。
芝の種類でアイアンの打ち方も変える
(渡辺)あと、洋芝と和芝では、アイアンショットの打ち方にも気をつけないといけません。
(S吉)えー!?芝の違いで打ち方が変わるのですか?
(渡辺)はい。コーライや野芝などの和芝は、茎が強く、ボールが芝の上に乗っかっているような状態なんですね。いわば低くティアップしているような状態です。なので、払い打つような打ち方でも対応できます。
(S吉)ふむふむ。
(渡辺)一方、ベント芝などの洋芝は、芝が柔らかいので、ボール自身の重さで若干沈んでいるのです。すると、ダウンブロー気味に上からクリーンに打つ必要があります。
(S吉)この情報は、知っていると知っていないでは大違いですね。
(渡辺)わらじターフは、きれいにダウンブローで打てた証拠にもなるのです。飛んで行ったターフには、根っこも一緒に付いたままなので、ターフを取った時には必ず元の場所に戻すようにしてくださいね。そうすれば、芝はすぐに元通りになります。あと、ダフってももちろんターフは飛んでいきますからね、S吉さん!
(S吉)(なぜそこの念を押す!)
今回の役立つゴルフうんちく
・わらじターフはベント芝など洋芝のフェアウェイじゃないと取れない
・洋芝のターフは、葉と根が付いたまま飛んでいくので、必ずディボット跡に戻すこと