上達ヒントの宝箱

物理を使いこなせば飛びヂカラ増強!第1章

2011/04/08 10:15

「作用反作用」が飛びのキーワード

安定したショットと飛びヂカラをUPするキーワードは、ずばり「作用反作用」。これはジエット機のエンジンや必殺クロスカウンターパンチなど、大きなエネルギーを生むシステムです。これは多くのスポーツ動作の隠し味となっており、飛びを追求する上でいつも意識すべき点です。私は「作用反作用」のことを「入れ替え動作」と呼びますが、「入れ替え」をテーマにスイングを分析すると、特にチェックすべき10のポジションが浮かび上がってきます。

では、「入れ替え動作(作用反作用)」をどのように意識すべきなのか?まず第1章では、パワフルなスイングの決め手となる、この10ポジションを、「入れ替え」というキーワードをもとに、ざっくりとご紹介していきます。そして、次章以降で、10のポジションについて、一つ一つじっくりと解説していきましょう。

(1) 真下に押さえつけるアドレスポジション

10のポジションとは、アドレスを始点にしてクラブの向きが90度ずつ変化していくポジションです。まず、すべての出発点となるアドレスで意識したいポイントは、真下に作用を与えること。つまり、グリップを下向きに押さえつけるような意識で、立つことが大切です。

この下向きに押さえる意識は、時計の4時から8時のゾーンでのクラブの挙動に深く関わってきます。このゾーンではヘッドをボールに当てようとする反作用で、グリップ(手元)が浮いてしまいがちです。ですから、その力に負けないようにクラブを押さえる作用を与える必要があるのです。この感覚は、小さな振り幅のアプローチで安定した軌道を保つ際にも、威力を発揮します。

(2)グリップエンドとヘッドを作用反作用させるハーフバック

始動からクラブが90度動き、地面と水平になるポジションがハーフバック。アドレスからハーフバックに至る際、クラブに対してどのような挙動を意識すべきでしょうか?

その前に、お話ししておきたいのは、ヘッドとグリップエンドの関係性は常に真逆であるということです。ヘッドが西を向けばグリップエンドは東に。つまり、グリップエンドを的確にコントロールできれば、自ずとヘッドがコントロールできるのです。

ハーフバックでは、右手のグリップが支点となり、左手でグリップエンドに下向きに力を加えることで、ヘッドが離陸して上昇していきます。つまり、グリップエンドをターゲット方向に押し込んでいけば、ヘッドは自ずとプレーンにあがります。グリップエンドに下(左)への力を加えればヘッドは上(右)に。これがハーフバックで意識すべき入れ替えです。

(3)左腕で押し右腕で引く感覚でプレーンにセット

ハーフバックからさらに90度クラブが立って、プレーンにセットする形となるのが、次のポジションです。ハーフバック直後からリストコックを使って、この位置に入るわけですが、どのようにコックを入れるがポイントです。

漫然と両手首を親指側に折っていませんか?実は、コックとはリストだけの動きではありません。正しいコックでは、左腕と右腕が入れ替えの関係になります。といっても、なかなかピンとこないですよね・・・。

つまり、このポジションでは、左腕は体からグリップを離すように押し、その一方で右腕はグリップを体の方に引きつけます。左右のグリップの中で、お互いが引っ張り合う力関係になります。これを意識すれば、自然とコックが入ります。左肩も深く入るので、フトコロも広くなり最終的なトップの形がここでほぼ出来上がります。

(4)左腕と右腕が引っ張り合いながらトップへ!

左腕は押し右腕で引きつける感覚のまま、さらにクラブが90度位置を変えて、地面と水平になりトップを迎えます。この際のポイントは、プレーンにセットしたポジションから、左手を垂直に突き上げるイメージです。左腕を真上に突き上げながら、右腕は引っ張り続けます。

意識としては一つ前のプレーンにセットしたかたちのまま、腕を使わず胸骨を右に向けながら左腕を真上に押し上げていく感じですが、この両腕の入れ替えによって、身体の左側と右側が拮抗するので、パワーあるトップが出来上がります。

(5)切り返しから、(6) プレインパクトへ

切り返しでは、左に踏み込んで体重移動すると同時に、グリップエンドが下に向く形になります。クラブはまた90度位置を変えて腕は地面と水平に。トップで作った腕の形を変えずに、左に踏み込んでいく感覚でタメが生まれます。

プレインパクトではさらに、90度位置を変えてクラブが地面と水平になります。切り返しとプレインパクトでは、常にグリップが先行して、クラブヘッドが90度ずつ遅れてくる形になりますが、シャフトのしなりがヘッドを走らせようとしていますが、その力に持ちこたえるように腕の角度をキープするのが本当のタメ。ヘッドがすでに走っている状態を押さえることで、パワーを集めるのとインパクトのタイミングをコントロールするのです。

(7)左向け左でインパクト、 (8)体とクラブが引っ張り合うフォローへ

どんなトッププロでも、プレインパクトからインパクトにかけての動きは共通するといわれています。感覚的には、プレインパクトからインパクトにかけて、左向け左。プレインパクトの状態ではクラブを正面に向けてタメを効かせているので、左足を中心にして、クラブを左に向けながらインパクトをむかえます。

そして、インパクトから90度位置を変えてフォロー。ここでは右腕のパワーが解放された形が力感を物語っています。このとき左顔面にパンチを喰らったかのように頭は右に残すのです。まさにクロスカウンター。パンチを左顔面に貰いながらも、右のストレートが紙一重上回り、ボールをノックダウンさせるのです。

(9)さらなる飛びを生むターンアップ、(10)そしてフィニッシュ!

フォローからフィニッシュ。飛びヂカラをアップする最後の一押しが、ターンアップというポジションに秘められています。フォローから90度位置を変えて、重心の移動と全身のバネでクラブを大きく振りぬきクラブが真上を向く状態をつくるのがターンアップ。

ターンアップでは、フォローでスライドさせた腰を、ターゲットに正対するまで回します。このとき、クラブは上に跳ね上がろうとしますが、できるだけクラブと腕を一直線に保つことで、ボールがヘッドと重なっている時間を長くするのが、球を押すという技術です。

そして、体とクラブが同時にゴールインしてフィニッシュ。フィニッシュでは、ドローやフェードといった球筋によっても変化しますが、(1)から(9)のポジションを積み重ねて、バランス良く振り抜けたかどうかを知る判断材料にもなります。

次回からは1つ1つのポジションを詳しく解説していきます!

【撮影協力】グッドフィールドゴルフクラブ

■ 永井延宏 プロフィール

1969年埼玉県生まれ。日大桜丘高校ゴルフ部でキャプテンを務め、卒業後に渡米。ミニツアーに参戦しながら最先端ティーチング技術を学ぶ。その後独自のスイング理論を展開し、ツアープロコーチ、アマチュアゴルファー指導をこなす傍ら、雑誌やレッスンDVDなどで活躍。現在は都内のグッドフィールドゴルフクラブ、アナライズ神田スタジオを中心にゴルフスクールを展開中。
・ホームページ http://www.deepingolf.com
・ツイッター @nobunagagolf