上達ヒントの宝箱

正確なショットを生むキム・キョンテの練習法とは?!

2011/06/24 11:30

正確無比なショット

言わずと知れた2010年賞金王、キム・キョンテ。正確かつ安定感抜群のショットを武器に、あまりの強さから“鬼”の異名をとる。2010年度のパーオン率は72.43%(JGTO調べ)を誇り、全選手中1位。その正確なショットを打ち続けるためにどんな練習をしているのか…?トーナメント練習日に本人を直撃した。

無意識に右を向く癖はありませんか!?

私にはいくつか悪い癖があります。その1つがアドレスの向きなのです。目標方向に対して平行にスタンスをとっているつもりですが、助々に右を向くというか、クローズドスタンスになってしまうのです。それをラウンド中に修正するのは難しいので、ドライビングレンジで打つ時に、1球1球方向を確認して打つようにしています。この癖は、アマチュアの方にも多いと思います。右を向き出すと、それを修正しようとスイングにも影響が出てしまうので、普段の練習で正確な向きをチェックしましょう。

アドレスの方向は背後から確認してもらいます

スタンスの方向を確認するために、クラブや棒をつま先の前に置いて練習もしますが、その目安となる棒などはラウンド中に置くことはできません。ラウンド直前の練習では、自分でも確認しますが、キャディさんにも後ろからチェックしてもらってスイングを行います。トーナメントのテレビ中継で、キャディさんが後ろに立って方向を確認し、打つ直前に選手から離れる場面を見たことはありませんか。プロでも無意識のうちに目標方向をとスタンスがズレてしまいますので、アマチュアの方々はラウンドする仲間とチェックしあってください。

自分に最適なグリップを探しましょう

グリップの形は人それぞれで、これじゃなきゃダメというのはありません。私はスクエアなグリップでゴルフをしてきましたが、飛距離を伸ばすことを考えたら、少しずつフック(ストロング)グリップになってきました。今では試合中はフックグリップでショットをしています。これも私の悪い癖の一つなのですが、ラウンドも終盤になり、力が入ってくると、さらにフックグリップになってしまうのです。左手の甲が正面を向くようになり、それに従って、右手がどんどん下がってしまうのです。

私は練習場ではスクエアグリップです

この癖を直す方法として、練習場でショットをする時には、左手のくるぶし2つ分が視界に入り、右手の親指と人差し指の間の線が、自分の右肩を向くくらいのスクエアグリップにしています。これがもっとも基本に近いグリップだと思います。ラウンド中に、いつもよりも力が入っていると気づいた時には、このようなスクエアな形で打つようにもしています。アマチュアの皆さんは、一つのグリップにこだわらず、いろんなグリップを試して自分に合ったグリップを見つけてください。

テークバックは手首を使わない!

そして、もう一つ私の直したい癖がテークバック時のクラブの軌道です。これは最初にお話したスタンスの向きと直結してくるのですが、スタンスが右を向いてしまっている時に、それをスイングで修正しようと、手首を使ったテークバックで無意識にクラブをイン側に引いてしまうのです。こうなると、写真のように、体から離れた位置を腕が通るため、トップからのダウンスイングと軌道が合いませんので、ショットの方向性も安定しません。

左手とクラブが一直線。これがキョンテ流

私の理想のテークバックが写真のような形です。ゆっくりとしたリズムで、手首を曲げたりせずに、アドレスで構えた形のまま体に沿って引き上げます。この形でトップまで持っていき、ダウンスイングに入ると、同じ軌道をクラブが通ってくれますので、方向性が安定します。これも背後からのチェックが一番わかりやすいので、一緒に練習している人や、一緒にラウンドしている仲間に見てもらうのが良いと思います。

■ キム・キョンテ プロフィール

2005年、2006年と「日本アマチュアゴルフ選手権競技」を制し、2007年は韓国ツアーで3勝を挙げる。日本ツアー進出を果たした2008年は、自身の初戦である「つるやオープン」でいきなりの2位フィニッシュ。初勝利の期待が高まる中、2010年5月、「ダイヤモンドカップゴルフ」で初優勝を果たすと、圧倒的な強さで「日本オープンゴルフ選手権競技」でツアー2勝目、「マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント」で3勝目を挙げ、2010年度賞金王に輝く。