シングルへのフィーリング至上主義 第1回 実戦的シンプル・ルーティン
アマチュアゴルファーは数十年進歩していない・・・
第1回のお話しに入る前に、言っておきたいことがあります。それは、この20年~30年あまり、アマチュアゴルファーの平均ハンディキャップがまったく変わっていないという驚愕の事実。これほど道具やゴルフ理論が日進月歩で進化しているにもかかわらず、アマチュアゴルファーの平均的な腕前は、まるで一向に上がっていないという矛盾・・・。
メカニカルなテクニックばかりを追求するあまり、感覚を磨いたり心理に目を向けることを、置き去りにしてきたからでしょう。しかし、メンタルがプレーを大きく左右するゴルフにおいては、そこを出発点とすべきです。全10回の連載で、そこに光を当てるヒントを与えたいと思います。第1回目はショット前のルーティンについてです。さて、コースでこんな人を見かけませんか?
方向チェック過剰な人
コースで打つ前に、膝、腰、肩などに、いちいちクラブを当ててみて、ターゲット方向に平行になっているかどうかを確認している人、いませんか?あるいは・・・
スイングチェック過剰な人
トップのポジションやインパクト、フィニッシュの形などを、打つ前に一つ一つ確認してみたり・・・。練習場でならまだしも、コースでボールを打つ前に、スイングの確認事項が多すぎて、実戦でもっとも意識を向けるべきことが何かを忘れてしまってはいませんか?
実戦的ルーティンとは
実戦的ルーティンで意識を向けるべき点は、まず一切の邪念を入れないこと。邪念に惑わされないためには、ルーティンを超シンプルにすることが肝心です。左に引っかければ池がある、右にプッシュアウトすれば浅いところにOBがある。打つ前に、そんな不安やプレッシャーが一切入り込む隙を与えないこと。ネガティブな考えに囚われないこと。そのためには、どうすればいいか・・・。
ルーティンに時間をかけないこと
もっともシンプルな方法は、打つ前のルーティンに時間をかけないことです。狙いを定めアドレスし、ワッグルを2回したら、すぐにスイングに入る。プレッシャーがかかればかかるほど、考える余地を与えない速やかなルーティンが活きてくるのです。
ターゲットを狙う意識
また、ルーティンで、スイングチェックばかりに翻弄されてしまう人は、ターゲットを狙う意識すら薄れがちになります。下手をすると、スイングチェックに囚われる余り、ろくにターゲットを確認していない人も見かけます。それでは、本末転倒です。狙うことと速やかに打つこと。この2つのみが、実戦のルーティンで意識すべきことなのです。
実戦を意識した練習を!
体にシャフトを当てて方向を確認したり、入念なスイングチェックをしたりすることは、実戦のルーティンに一切持ち込まないと決めましょう。それは練習場でじっくりとどうぞ。でも、練習場でもほどほどに・・・。まずは、ターゲットを定め、スッと構え、時間をかけず速やかに打つという、自分なりのルーティンを日頃の練習で、真っ先に確立して下さい。
短い時間の中で狙いを定め、速やかにショットに入ることが、実戦的な感覚を養い、余計な迷いやプレッシャーを断ち切る、心強い味方になります。シンプル・ルーティンは、上達へのメンタリティを育む第一歩なのです。
【撮影協力】エイム ハイ ゴルフスクール
■ 松本進 プロフィール
スイング分析よりも感覚や心理を重視し、日本のゴルフレッスンに新機軸を与える気鋭のゴルフコーチ。米国でも有数のスポーツ・サイコロジェストであるデビッド・ライト氏と、元タイガー・ウッズのコーチであるハンク・ヘイニー氏から直接学び、双方からの公認を受ける。データを元にプランを立てていく指導法が注目され、現在はツアープロを中心にアマチュアゴルファー、そしてビジネスマンへのコーチングと幅広い指導で活躍中。
主な著書に「なぜ打ちなおしの一打はいいボールが打てるのか(実業之日本社)」、「ゴルフ、あっというまに上達する極意。(ゴルフダイジェスト新書)」、「マインドアンダーパー(幻冬舎)」。