上達ヒントの宝箱

シングルへのフィーリング至上主義 第8回 グリーンを外したらガッツポーズ!?

2011/08/01 10:15

ゴルフが上手い=感情のコントロールが上手い

大きなミスからカムバックできず、ミスの感覚をズルズルと引きずってしまう人。ハザードやOBが気になると、思い通りのショットができなくなってしまう人。大叩きしたホールがあると、そこから集中力が途切れてしまう人・・・。

誰でも苦手意識のある場面はあるし、ミスもピンチもつきものです。メンタル的な波もあります。しかし、ゴルフが上手い人は誰しも、感情を上手くコントロールして、自分のプラス面を導き出すことに長けているといえます。

技術的なレベルは向上しているはずなのに、自分のスコアの壁をなかなか越えられない方は、感情やフィーリングを上手くコントロールができているか、今一度、心に目を向けてください。今回は、そんなお話です。

ウォームアップの0番ホール

朝イチのティショットは必ず、ミスショット。エンジンがかかり出すのは3番、4番ホールから。こんな人も多いと思います。振り返ってみてください。「朝イチは必ずミスする」という思い込みに、無意識のうちに囚われていませんか?

1番ホールだと思うからミスる。ならば、2番ホール、3番ホールのつもりで臨むのはどうでしょう?あるいは、ウォームアップのための0番ホールと考えて、ミスを前提にすれば、ずっと気楽に臨めるかもしれません。メンタルの束縛から自分を解放する術を、あなたなりに試行錯誤してみてください。

ミスにフォーカスしないこと

左のOBだけは避けたいと思えば、無意識にスタンスが右に逃げて、わざわざ左に引っかけるようなアドレスになったりします。池を嫌えば、知らず知らずのうちに、すくい上げるような動きが、紛れ込んでしまいます。

ゴルフは不安や感情の波が、そのままショットに現れるものだと自覚してください。ですから、わざわざ想定されるミスや不安要素に心を囚われてしまわないこと。そのためには、ミスにフォーカスせず、自分のベストショットのイメージを抱いて、目の前の1打に臨むことが肝心です。

グリーンを外したらガッツポーズ

会心のティショット。ピンを狙うのに絶好のポジションから、ガッカリするようなシャンク・・・。かなり凹みますよね。期待が大きいほど、ミスのダメージも大きくなるものです。

そんな時は、心の中でガッツポーズ。やせ我慢でもいいんです。そこからパーで上がるための新たな試練を得たと思えば、過去のダメージに飲み込まれず、前向きに次の1打に集中できるはずです。ミスった後の、自分なりの切り替え方を、研究してみてください。

怒りを鈍らせる術を知る

あー、もうクラブを折りたい!その怒り、鎮めたまえー。技術が向上するほど理想は高くなり、自分のミスがもっと許せなくなる。自分の情けないミスに対して、怒りの感情を抑えられなくなる・・・。

夫婦ゲンカの最中に、上司から仕事の電話があったなら、さっきの怒りは何だったんだろうと不思議に思うことがあるはずです。怒りの腰を折られる感覚ですよね。

これをゴルフにも応用してみてください。怒りが湧いてきたら、「今日の夕食は何にしよう?」「来る途中に良さそうな温泉があったから帰りに寄ってみようか」と、全然違うことを考えるのです。自分の怒りを鈍らせる術を考えてみてください。

食べたり飲んだりすれば感じ方が変わる

前半ボロボロだったのに、ハーフタイムで昼食を取ったら、そんなことを忘れて、バックナインを頑張ろう!と気分が一新しているものです。

飲んだり食べたりするだけでも、感じ方や気分は、変わるものなのです。ラウンド中にも途中でスナックを食べたり、飲み物を飲んだりするのは、実は有効です。「これで気分を変えよう!」と意識的に飲食すれば、気分を一変させるのに、とても利き目があるのです。

上を向いて歩こう!

ミスが重なって、もう挽回不可能であることは明白。あのOBがなかったら、と過去のダメージをぬぐい去れない。そんなあなたの目線は、どこか下を向いているはずです。

そんな時は、意識的に「上を向いて歩こう」です。心とアクションはつながっています。下向きの気分であれば目線も下向きになります。逆に、目線を上にすれば、心は上向きになります。アクションを上向きにすれば、心も意外と上向きになるものなんです。

ゴルフは上手くなるほど難しくなるものです。だからこそ、技術はよりシンプルに。感情のコントロールは、よりデリケートに。自分の内面やフィーリングをもっと大切にしてください。

【撮影協力】エイム ハイ ゴルフスクール
【お知らせ】タイガーの元コーチ、ハンク・ヘイニー氏主催のジュニア大会「IJGTアジアンサーキット日本大会」が8月に静岡で開催!

■ 松本進 プロフィール

スイング分析よりも感覚や心理を重視し、日本のゴルフレッスンに新機軸を与える気鋭のゴルフコーチ。米国でも有数のスポーツ・サイコロジェストであるデビッド・ライト氏と、元タイガー・ウッズのコーチであるハンク・ヘイニー氏から直接学び、双方からの公認を受ける。データを元にプランを立てていく指導法が注目され、現在はツアープロを中心にアマチュアゴルファー、そしてビジネスマンへのコーチングと幅広い指導で活躍中。
主な著書に「なぜ打ちなおしの一打はいいボールが打てるのか(実業之日本社)」、「ゴルフ、あっというまに上達する極意。(ゴルフダイジェスト新書)」、「マインドアンダーパー(幻冬舎)」。