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飛距離UPの集中治療現場・潜入レポート(5)

2011/08/31 09:00

フィジカルで強化すべきポイントは?

「前回、かなりアウトサイドにテークバックしてしまう癖を指摘されましたが、飛距離アップのために必要な、フィジカル的な問題はないでしょうか?体の根本的なところに弱点がないかも、チェックしたいんです」(向井さん、ゴルフ歴15年)

ポイントとなるのは股関節、肩関節、体幹です

ゴルフのスイングで、フィジカル的なポイントとなるのは、股関節と肩関節の可動域。そして、スイングのバランスや体の各部分の連動した動きに関わる体幹の筋肉です。

まずは、股関節周りに関してチェックしてみましょう。股関節の可動域を知るだけでなく、ゴルフに必要な股関節の動きを再確認することにもつながりますよ。まず、仰向けになって膝を立ててください。

股関節の内旋

その状態から左右の膝を交互に、地面に付けるように動かしてみましょう。右膝を地面に付けるときは、テークバックでの股関節の動きに。左膝を地面に付けるときは、インパクトからフォローでの股関節の使い方になります。

見たところでは、左右どちらの股関節も柔軟で、問題はないと思います。この股関節を内旋する感覚を、スイングでも意識してください。

股関節の内旋を意識した下半身の動き

股関節の内旋を意識すると、スイングでの下半身の使い方がよく分かります。足の付け根から、前傾姿勢を作ったら、テークバックでは右足をグッと踏ん張って、右足の付け根でものを挟むような感じになります。

つまり、右の股関節が内側に旋回している状態で、自然に右へ体重が乗ります。ダウンスイングからフォローにかけては、逆に、左足で踏ん張って、左の股関節が内旋回することで、左サイドが左に流れにくくなるんです。

肩関節周りも問題なし

次に、肩関節の内旋と外旋を見てみましょう。写真上では、肩関節の外旋の可動域を知ることができます。前へならえの状態から、前腕を開く動作ですが、人によってはほとんど開かないという方もいるんです。写真下が肩関節の内旋。遼君みたいに両肘が前方に向かなくても、このくらい動けば十分です。

テークバックでは、右肩が外旋し、左肩が内旋します。ダウンスイングではその逆になります。この肩の可動域が狭いと、テークバックでうまく脇を締めてたためなかったり、フォローで左肘を曲げてしまったりと、スイングに支障がでてきます。

バランスボールにお尻だけで腰掛けてみる

今度は、体幹がうまく使えるかをチェックしてみましょう。写真のように、バランスボールにお尻を乗せて、難なくバランスが取れれば合格ですが・・・。

うーん、ちょっと、ぎこちない感じですねー。こうやって体幹を鍛えると、四肢の動きの協調性が高まり、スイングのバランス向上に直結します。テレビを見ながらでも、このエクササイズを取り入れれば、スイングの安定感が確実にアップしますよ。

バランスボールで腕立て伏せ

ちょっとキツイのですが、バランスボールに足を乗せた腕立て伏せも、体幹を鍛えるのに効果的ですよ。向井さんの場合、肩関節や股関節の可動域には問題ありません。特にテークバックでは股関節の内旋を意識すること。

そして、バランスボールを使ったエクササイズで、体幹を鍛えれば、上半身、下半身の動きに自然な協調性が生まれて、小手先に頼らず、もっと体を使ったスイングが可能になると思います。

■ 小松慎之 インストラクター プロフィール

1977年生まれ。コナミスポーツクラブ府中勤務。14歳からゴルフを始めてゴルフのキャリアは20年。バージニア工科大学で運動生理学を学び、スポーツ全般のトレーニング知識が豊富。その経験を活かし、個人個人のフィジカル的な特徴を的確に捉えたレッスンが持ち味。