練習用マットの速さは何フィート?【前編】スティンプメーターを作ってみよう!
ご自宅でパター練習をする人は多いと思います。練習用マット、人工芝…と、いろいろなところで練習していると思いますが、いったいどのくらいの速さなのでしょう? グリーンの速さを計測するには「スティンプメーター」という器具を使って測りますが、意外と簡単な仕組みのようです。ということで、自作にチャレンジしてみました。
グリーンの速さってどう測る?
ゴルフ場に行くと、マスター室の前に「本日のグリーン ○○フィート」といった看板が出ています。これがグリーンの速さを表しています。ですが、ここでひとつ疑問に思ったことはないですか? 速さなのに、なぜ“フィート”という長さの単位なのか? 実はスティンプメーターという器具でボールを転がし、転がった長さでグリーンの速さを表しているのです。つまり、その距離が長ければ長いほど、速いということになります。
スティンプメーターってどんなもの?
USGA公式サイトで紹介されているスティンプメーターについての記述には、「長さが36インチ(91.44cm)で、先端から約30インチ(76.2cm)のところにノッチ(くぼみ)があり、ここにボールを置いて端を約22度の角度まで持ち上げると、自然にボールが転がる」(抜粋)とあります。実際に販売もされていて、価格は4万6200円(税込)。正直、自宅の練習マットを計測したいがために購入するのはちょっとお高め… といったところでしょうか。
スティンプメーターを作ってみよう!
自作となれば頼りになるのがホームセンターです。アルミ製のスティンプメーターに似た形状のものがあるか探していると、「アングル材」と呼ばれるものが目に留まりました。アングル材とは、90度に曲がったアルミ製の板で、仕上げの下地材や簡易の骨組みに使われるそうです。実際のものとは角度や幅の違いはあるものの、近いイメージがもてたという理由で、こちらを購入。ノッチの部分を作るための薄めのスポンジと、土台となる木材、厚めのスポンジも用意します。
材料が用意できたので、早速作っていきましょう。まずはノッチ部分。本物はアルミをへこませてくぼみを作っていますが、加工する道具がないため、小さく切ったスポンジを貼りつけてストッパーにします。先端から30インチのところに印をつけ、三角に切ったスポンジを張りつけます。ここで注意したいのは、スポンジの大きさ! 小さくしすぎるとストッパーの意味がなくなってしまうため、小さすぎず、大きすぎない絶妙なサイズ感が重要です。
次は土台作りです。22度の高さでボールが転がるように固定できるよう、木材とスポンジで組み立てていきます。長さ30㎝ほどに切断した木材に、アングル材を安定して置くためにV字の切り込みを入れます。次に厚めの正方形スポンジ(20㎝×20㎝×3cm)に、木材を差し込むための穴を開けます。穴は木材のサイズより少し小さめに開けるのがコツ。スポンジは多少きつめでも入るため、ジャストサイズよりやや小さく開けたほうが、先ほど加工した木材をしっかり固定できる穴になるからです。
土台が完成した後は、アングル材が22度の傾斜になるように位置調整を行います。いまや分度器を持ち出さなくても、スマホの機能で水平器が代用できるので、それを使って調整しましょう。とても細かい作業ですが、アングル材が土台から滑り落ちないように、土台と接触する外側の面にもスポンジを貼って固定できるようにしておくことも肝心です。
材料費は以下の通りです… (本物の約46分の1で出来上がり!)
・アングル材 528円
・スポンジ 58円
・土台のスポンジ 228円
・木材 188円
・合計 1002円
※すべて税抜き価格
実際に計測してみよう
本物と自作のスティンプメーターで、どれくらい違いが出るものなのでしょうか。神奈川県にある葉山国際カンツリー倶楽部にご協力いただき、本物をお借りして同時に計測してみました。
計測方法は同じ位置からボールを3回 転がし、次に逆方向からも同じく3回。計6回の平均値で測定します。結果は本物が10.5フィートで、自作は11.0フィート。自作のほうが少し速く計測されたようですが、この程度の違いなら上出来でしょう(前向き!)。ちなみにコース管理の方に聞いたところ、計測した時間が午後だったため、芝がプレーヤーの足に踏まれたことで、表示の数値(上記の看板)より少し速く出たのではないかということでした…。悪しからず。
次回(後編)は、この自作スティンプメーターを使って、いろいろな所を計測していきます!
取材協力/葉山国際カンツリー倶楽部