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デシャンボー的な“失敗しない肉体改造”で大事なことは?

2020/09/17 15:45
デシャンボーのような肉体改造を成功させるには?(写真は全米プロ選手権時/Harry How/Getty Images)

肉体改造により大幅な飛距離アップを果たしたブライソン・デシャンボー。前回はゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎氏に、緻密な計画に基づく筋力強化のポイントについて聞いた。今回はフィジカルトレーナーの中村俊介氏が、「デシャンボーのように飛ばしたい」と願うゴルファーへの入門編として、筋力トレーニングの初歩と注意点を解説する。

<始める前に大事なこと>筋トレには正しい順番がある

トレーニングをしてパワーをつけること自体は良いことですが、筋肉のつけすぎはスイングのバランスを崩す危険性があります。まずは(1)スイングに関わる関節の可動域が十分にあるかを確認すること。続けて、(2)その周りを安定させる体幹の筋力をつけていきます。これらの正しい段階を踏まえたうえで、パワーをつけると良いでしょう。

可動域をチェックする――股関節

まずは、スイングに重要な役割を持つ股関節の可動域をチェック します。骨盤を安定させた状態で、全方向に動かせるようにすることを目指しましょう。一例として、アドレス時に前傾する際の可動域をチェックします。まず両足をそろえ、両ひざが曲がらないように前屈していきます。地面に手が触れられる、もしくは、つま先に手が届くようなら十分な可動域があると言えます。

前傾時の可動域のチェックとして、前屈をしてみましょう。床に手のひらが付く、もしくはつま先を触れれば十分と言っていいでしょう

もし届かない場合は、ストレッチで可動域を広げましょう。効果的なのは、太ももの裏のストレッチです。あおむけに寝て、足を持ち上げ、太ももの裏で手を組みます。その状態で、ひざの曲げ伸ばしを行います。これを左右10回ずつ繰り返して、太ももの裏の筋肉が伸びていることを感じましょう。

太ももの裏で腕を組んで、膝の曲げ伸ばしを左右10回行う

骨盤を安定させる体幹トレーニング

股関節の可動域チェックをしたら、骨盤を安定させる体幹トレーニングに移りましょう。股関節の動きを止めてしまう腰の過度な動きを防ぎ、スイングのブレを抑える効果が期待できます。

まず、片足立ちをした状態で、横に1歩半ジャンプし、逆の足で着地します。そこから、逆に同じようにジャンプして片足で着地。これを左右の足で10回ずつ続けます。着地した際には、ひざが曲がったり、足がブレたりしないように、しっかりとバランスを取りましょう。

片足立ちの状態で横に跳んでバランスをとる

可動域をチェックする――腹斜筋

ゴルフのスイングでは、わき腹にある“腹斜筋”をねじる動きが重要になります。股関節と同じように、まずは可動域のチェックを兼ねたストレッチ を紹介します。

まず下の写真のように、両足をひざからそれぞれ90度に曲げて座ります。その状態から腰をねじり、両腕を伸ばして、うつ伏せになるように上半身を倒していきます。腕が床に付かない人は、腹斜筋の柔軟性が足りないことを示しています。ねじる動きを左右で行い、どちら側でもしっかり床に腕が近づくようにしましょう。

両ひざをそれぞれ90度に曲げて座った状態で、腰をひねって床に両手が付くように腹斜筋を伸ばしていく

上半身を安定させる体幹トレーニング

腹斜筋の可動域が身についたら、体幹を安定させるトレーニングに取り組んでみましょう。スイング時の上半身を安定させて、体のブレを抑える効果が期待できます。

床に座った状態で、両腕を前に伸ばし、その状態で体を左右にねじり、戻す動きを10回ずつ繰り返します。その際に、腕や肩だけで回さないように肋骨から肩全体を回すようにします。正面を見続けて、頭が左右にブレないように気を付けます。

床に座った状態で、左右に10回ひねる 慣れてきたら全力でやってみるとパワーもついてくる

腰を安定させながら、左右に回転させることに慣れてきたら、チューブなどを使って負荷をかけるのも良いでしょう。または、回転のスピードを上げて、俊敏性を高めるのも効果的です。その際は、回数を減らし、少ない数を全力で取り組むと良いでしょう。