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新女王・稲見萌寧 アマが真似したいポイントはルーティンにあり

2021/12/21 11:30
テークバックでNGというヒジの曲がり。稲見萌寧の参考にすべきポイントを矢野東が解説

プロゴルファーの美しいスイングはいつだってアマチュアの憧れ。賞金女王に輝いた稲見萌寧のように振りたいという人も多いだろう。果たしてアマチュアは稲見のどこを真似すればよいのか? 男子ツアーでの活躍と並行して、現在はレッスン活動にも携わる矢野東が新女王のスイングを分析する。

正しいテークバックの動きを確認する

稲見のスイングについて、矢野が真っ先に長所として挙げるのは「インパクト以降に左肩が低い位置を保って、フィニッシュまで左ヒジが常に下を向いていること」。ただし、ココは真似をするポイントではない。インパクト以降の動きは結果であって、それを生み出しているのはテークバック。稲見はツアーでのプレー中、ルーティンの段階でこのテークバックの動きを確認し、気にかけ続けている。

「大事なのは腕と地面が平行になる辺りまで、右ヒジを曲げずにアドレスで作った体と手元の距離をキープすること。そのためには体がターンして右腰が後ろ(背中側)に引けなければなりません」

腰が回転せず、スウェーしてしまうと、ヒジを曲げなければ、クラブを上げられない。また、力が入った場合にも、ヒジが曲がって手元が体に近づいてしまう。ゴルフスイングとは関係なく、人はグッと体に力を入れる時、ヒジが曲がって手が体に近い体勢になりやすいのだ。

ハーフスイングの素振り時にトップの手元位置を確認

「稲見選手はヒジが曲がらないワイドなテークバックをルーティンで確認しています。アマチュアの皆さんはまずこのルーティンを取り入れるといいでしょう」。稲見はアドレスに入る前にハーフスイング程度の素振りを行い、トップでは後方に視線を向ける。ここで見ているのは手元の位置。実は、矢野は稲見が高校生のころから面識があり、本人が自らのルーティンをそう説明していたのだという。

「テークバックの早い段階でヒジが曲がってしまう人のスイングは、結果として『手元が浮く』『インパクトが詰まる』などいくつかの典型的な症状が現れやすいのですが、いずれもフォローで左肩が浮いてしまう共通の形になります」

ワッグルやテークバックの動きはすぐにでも取り入れることができる。その一方で、矢野によると、稲見のスイングにはアマチュアがそのまま参考にするのは危険な点もあるのだとか…。次回は、アマチュアが真似をするとヤケドする恐れもある稲見のスイングの特徴を解説する。

取材協力/FIVE ELEMENTS

■ 矢野東 プロフィール

1977年7月6日生まれ。群馬県出身。ツアー通算3勝。2000年にプロ転向し、08年にシーズン2勝を挙げて賞金ランキング2位に輝いた。ツアープロとして活躍する傍ら、現在は都内のゴルフスタジオ「FIVE ELEMENTS」でチーフコーチとして活動中。

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