「マスターズ」王者シェフラーの高いトップを真似するのは危険
「マスターズ」を制したスコッティ・シェフラーの一見、独特なスイングが大いにアマチュアの参考になることは前回で解説した通り。その一方で、取り入れるべきではない部分はどこなのか? ツアーと並行してレッスン活動にも力を入れる矢野東が解説する。
高いトップからは軌道修正が必要
インパクトのタイミングで左足を引く動きに目が行きがちなシェフラーのスイングだが、上半身の動きにも特徴がある。それが極端にアップライトなトップの形だ。「フェードヒッターで絶対に左には曲げたくないタイプ。それがよく表れているのですが、アマチュアが真似をするのは危険です」。理想的なのは、肩のラインと左腕が重なる形(写真下)。シェフラーの場合は左腕が高い位置にくる(写真上)。
「左腕と肩のラインが重なるトップからは、最短距離でダウンスイングの軌道に下ろすことができます。シェフラーのように高いトップからは軌道の修正が必要になる。反対に低すぎるトップからも修正が必要になります」
この修正が難なくできるシェフラーにとっては問題ないが、多くのアマチュアはズレを修正できないままダウンスイングに入ってしまう。「高いトップから手で振り下ろすと極端なアウトサイドインになりますし、体の回転で下ろすことができても、手元が高い位置に戻ってくるので、手首を使って無理やりヘッドを落とすことになります」。スイングが複雑になるため、フェースの向きも狂いやすい。
理想的なトップを作るのに効果的なのが、左手だけで行うスイング。「左腕一本だと極端に高い位置にトップが上がることはありません」。両手でスイングするときも同じ位置に上げることができれば、理想に一歩近づくはずだ。
■ 矢野東 プロフィール
1977年7月6日生まれ。群馬県出身。ツアー通算3勝。2000年にプロ転向し、08年にシーズン2勝を挙げて賞金ランキング2位に輝いた。ツアープロとして活躍する傍ら、現在は都内のゴルフスタジオ「FIVE ELEMENTS」でチーフコーチとして活動中。
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