「え、“OK”って言わないの?」カン違いだらけのゴルフ英語(1)
我々が普段のラウンド中に、英語のフレーズとして使うゴルフ用語の中には、実は本場では通じないものがたくさん存在する。昨年の国内女子ツアーのプロテストで外国人選手の通訳を務め、自身も豪米合わせて数多くのプレー経験があるオンライン英語コーチ(資格:TESOL修士)“ゆみちゃん”に正しいゴルフ英語を教えてもらった。(第1回/全2回)
目次
- 1.「ナイスアプローチ!」じゃなくて、ええっと…
- 2.「OK!」は微妙な空気になってしまうかも…
- 3.英語だと思っていた「スライスライン」が通じない…
- 4.向かい風って「アゲンスト」じゃないの?
- 5. 「ナイスショット!」と「グッドショット!」の違いは?
1.「ナイスアプローチ!」じゃなくて、ええっと…
グリーン周りからピンに寄せるような一打のことを、日本では「Approach(アプローチ)」と言いますが、英語ではアプローチはグリーンを狙って打つショットを指します。飛距離の目安は100ヤード以上。ですから、パー3でのティショットもアプローチと言います。
日本でいうところのグリーン周りのショットは、英語だと「Chipping (チッピング)」や「Pitching(ピッチング) 」と言います。飛距離の目安はどちらも約10~60ヤードほどで、チッピングはボールを低く出して転がして寄せるイメージ、ピッチングはやや高い弾道で少ない転がりで寄せるイメージです。これらを総じて「Short game(ショートゲーム)」とも呼びます。
2.「OK!」は微妙な空気になってしまうかも…
グリーン上で外しようがないほど球がカップに近づいた際に、同伴者が「OK!」と言えば、打数に1打追加してピックアップするのが慣例かと思います(プレーファーストの意味合いもある)。しかし本場で同じように「OK」と言ったとしても、単なる励ましの意味と捉えられてしまうでしょう。
日本のゴルフでいう「OK」にあたる英語は、「That’s a Gimme.(ザッツ ア ギミー/=それ、あげます)」、もしくは、「You can pick it up. (ユー キャン ピック イット アップ/=ボール拾っていいよ)」が相応しいです。
似たような場面で使われるものに、「Concede(コンシード)」がありますが、これは1ホールごとに勝敗のつくマッチプレーで使われるものです。負けそうな選手が負けを認めて、「もうそのパットは入ったことにしていいよ」と「認める/譲る」といった意味で使う言葉なので、日本のOKとは意味が異なります。
3.英語だと思っていた「スライスライン」が通じない…
英語ではグリーン上で「Slice line(スライスライン)」、「Hook line(フックライン)」という言葉を使いません(個人的にはわかりやすいと思いますが…)。スライスは「It breaks left to right.(イット ブレークス レフト トゥ ライト/=左から右に曲がる)」、フックは「It breaks right to left.(イット ブレークス ライト トゥ レフト/=右から左に曲がる)」と表現します。ここでの「break」は「曲がる、切れる」という意味です。
ちなみに左右にくねくねと曲がるスネークラインは、「Double break(ダブルブレーク)」と呼ばれています。グリーンで「What’s the read here? (=ここはどう読みますか?)」とキャディや同伴者に聞けば、上記のフレーズが返ってくることでしょう。
4.向かい風って「アゲンスト」じゃないの?
ラウンド中、当たり前のように使うアゲンスト(向かい風)とフォロー(追い風)は、「向かう(=Against)」と「追う(=Follow)」を直訳したもので、本場では通じません。向かい風は「Into the wind(イントゥ ザ ウインド)」、追い風は「Down wind(ダウン ウインド)」が、よく使われています。芝目にも同じ表現が使われて、逆目は「Into the grain(イントゥ ザ グレイン)」、順目は「Down grain(ダウン グレイン)」といいます。※「grain」は「目」という意味。
ちなみに、向かい風は飛行機の頭側(機首)から風が吹くイメージで、「Headwind(ヘッドウインド)」、追い風は飛行機の後部から風が吹くイメージで「Tailwind(テールウインド)」という航空用語が使われることもあります。
5. 「ナイスショット!」と「グッドショット!」の違いは?
仲間がいいショットを打った時にかける言葉といえば「Nice shot!(ナイスショット)」。それでも十分通じますが、本場では「Good shot!(グッドショット)」の方が多く使われています。どちらも「良いショット」という意味ですが、実は微妙にニュアンスが異なります。「good」は客観的に見て良い、「nice」は主観的に良いという意味です。つまり、誰がみても良いショットを賞賛する時には「グッドショット!」の方がマッチするでしょう。
■ ゆみちゃん プロフィール
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学院(言語教育学)卒業。現在はオンライン英語コーチ(資格:TESOL修士)。国内女子ツアーのプロテスト(2023年)で外国人選手の通訳を務めたほか、YouTube「ズバババGOLF」でアシスタントとして出演する。豪米合わせて数多くのゴルフプレー経験があり、日々、SNSでゴルフで使える英語フレーズを発信している。