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「プロの握り方」誰が一番アマチュア向け? お手本は飛ばし屋のあの選手…

2024/07/17 20:00
中島啓太は左右の指を絡ませるインターロッキング

ミスショットがなかなか減らないのはグリップの握り方のせい。そう聞いて、「オレのことかも」とドキッとした方いませんか? ツアープロからアマチュアまで幅広くコーチングを手がける横田英治プロは、「プロでも理屈を理解してクラブを握れている選手は少ないです。アマチュアの方もグリップを見直してほしい」と警鐘を鳴らす。男子プロから読み取れるアマチュアが参考にすべき握り方のポイントと注意点を解説してもらった。

■右手の引っかけがGoodな石川遼のスクエアグリップ

左手の押さえつけ&右手人差し指の引っかけでグリップの安定を意識

ドローヒッターでフェースの開閉しやすさを重視する石川遼は、左手のグローブのロゴが正面から見えないほどのウィークに近いスクエアグリップを採用している。

「スクエアグリップやウィークグリップというのはフェースの開閉がしやすい握り方。一方のストロンググリップは基本的にフェースが真っすぐ動きやすく、開閉が少ない。ストロンググリップはフックやドローを打つためのグリップと勘違いしている方は多いですが、実際ストロングで握るフェード打ちは多いです」。石川は以前よりはフェースの開閉を抑えて打っているものの、依然としてウィークに近い握り方を採用し、程よいフェースローテションを使って球をつかまえているわけだ。

横田は両手のバランスの良さに着目した。「左手の小指、薬指、中指の3本で下に押さえつけ、一方で右手の人差し指を引っかけることで、クラブを支える力を強くしています」と高評価。その利点を説明する。「野球のバットと違ってゴルフクラブには重心距離というものがあって、特にドライバーはスイング中にフェースが開く方向に重さがかかりやすい。そうならないように両手のグリップで、道具を支えなければいけないんです。野球の握り方と違うのはそのため」と横田。時に石川遼も右手人差し指の引っ掛けが弱く、スイングを乱すことがあると指摘する。プロでもそうなりやすいのだから、アマチュアはなおさら注意が必要ではないか。

■中島啓太の「左手ストロングで右手ウィーク」は真似しちゃキケン!?

両手のひらがバラバラのグリップは難易度高め

中島啓太は、左手がややストロングで右手がややウィークというスタイル。横田はこのグリップを見て、「左右の手が喧嘩している。プロは活かせるが、アマチュアゴルファーが真似するのは難しい」と説明。

「右手を下から持つストロンググリップだと、クラブが下から入ってきやすいため、それを警戒して上から握っているのではないでしょうか。これはプロや上級者ならではの握りで、アマチュアの方が真似をすると、インパクト時の左右の力加減が難しく逆球も出かねません」とその難しさを指摘。「アマチュアの方は、スクエアならスクエア、ストロングならストロングと両手は一貫してシンプルに握り、手のひらを左右合わせることを意識してほしいですね」

■蝉川泰果が芯をとらえて飛ばせる秘訣は?

右手人差し指の引っかけが甘い点に注意

圧倒的なパワーとスピードを誇る蝉川泰果。さらに、スピード感を維持しながらもミート率は高い。横田は「蝉川選手くらい振れる人は他にもいますが、彼はミート率が高くドライバーをしっかり芯でとらえる才能が際立っています」と評価する。その秘訣は、ずばり左手をストロングでしっかり握ることにある。フェースの動きを最小限にしてミート率を担保しておけば、あとはスイングスピードだけを考えればいい。

「石川選手のときも言いましたが、スイング中にものすごい重さがクラブにかかる。ですからやはり左手を下に押さえつけておく力はどうしても必要になります。蝉川選手の左手のグリップの形は今どきの重心距離の長いクラブを使いこなすには理想だと思います」。一方で右手のルーズさが少し気になるという。「右手の握りがちょっと甘く見えます。クラブを上手く使うには、左手は下方向に力をかけるのに対して、右手は人差し指を引っ掛けて上方向に力をかけるとバランスがいいんです」と横田は付け加えた。

■アマチュアがいま最も参考にするべきグリップは…幡地隆寛

近年のゴルフクラブに最も適したグリップ

石川、中島、蝉川を抑え、「アマチュアがお手本にしてほしい」(横田)と選んだのは幡地隆寛

横田は「両手親指と人差し指の付け根のV字がお手本通り右肩を差していますよね。これがアマチュアが真似するべきポイント。近年のゴルフクラブを使うのに最も適したグリップと言えます」と高評価。「左右の手のひらの面が揃うことによって、左ひじが飛球線方向、右ひじが自分の体を向き、グリップがひじのアングルに良い影響を与えております。パワーばかりが注目される幡地選手ですが、最近はトーナメントでも好結果を残しているのがグリップからもうかがえます。人並外れたパワー+理想的なグリップが好成績につながっていると言えるでしょう」と賞賛した。

ツアープロのグリップをひも解くと、参考にすべきグリップというのが見えてきた。次回は正しいグリップの具体的な握り方を横田プロが解説する。

■ 横田英治(よこた・えいじ) プロフィール

1971年広島県生まれ。現在は女子プロのコーチも務めるプロゴルファー。レッスンやギア解説に定評があり、メディアや雑誌など多方面で活躍する。自身がプロデュースしたゴルフサロン「CLUB HOUSE(クラブハウス)」の代表を務める。