え、日焼け止め塗ってないの?中年ゴルファーの「日焼け対策」 7つの“あるある”
紫外線量はゴルフシーズンと同じく4月頃から増えはじめ、6~8月にピークを迎える。長時間屋外で過ごすゴルファーにとって紫外線対策はマスト。だが、40~60代ゴルファーに聞くと、「日焼け止めを塗るのは面倒」「何を塗っていいか分からない」という声が未だに多いのも事実だ。そこで、学生時代にゴルフ部だったシロノクリニック銀座院の徳永真理医師に、中年ゴルファーの日焼け対策7つの“あるある”の正解を聞いてきた。
■Q1:日焼けってそこまで深刻?焼けたほうがカッコよくない?
紫外線には皮膚の深い層(真皮)まで届く「UVA」と、浅い層(表皮)までしか届かない「UVB」の2種類が存在します。UVAは肌の張りを保つコラーゲンやエラスチンという線維がダメージを受け、しわやたるみの原因に。UVBはメラニンが増えて黒くなる色素沈着、日焼けを繰り返すとシミになる要素を含み、皮膚がんの原因とも言われています。
街中でよく耳にする「UVケア」とは、紫外線から肌を守るためのスキンケアのこと。具体的にはUVAとUVBを防ぎ、しわやたるみ、シミ、皮膚がんを予防することです。夏だけでいいと思っている方は多いと思いますが、実は紫外線は一年を通して降り注いでいるため、ラウンドの日だけではなく外出時は常に欠かさないことをおすすめします。
■Q2:日焼けしたって疲れないでしょ?
日焼けは疲労の原因となります。人間は体温を一定に保つ働きを有しています。日に当たると体温が上がり、体温調整をすることでエネルギーを要します。また紫外線で受けたダメージから身を守るため、活性酸素が発生して抵抗力を発揮する半面、自身の細胞も傷つけてしまう。この損傷が原因となって疲労物質がたまりやすく、疲れとなって現れます。
近年では目から受ける影響も大きいことが証明されています。視界から体内に入ったUVBは、三叉神経や視神経を介して脳内の免疫系を作動させてしまうことで、脳や内臓の悪性化や疲労状態を引き起こします。
■Q3:日焼け止めってどれも一緒じゃないの?
日焼け止めには、「UVA」を防ぐ効果を示す「PA(Protection Grade of UVA)」と「UVB」に対する防止効果を示す「SPF(Sun Protection Factor)」の表記があります。PAはPAのあとにつく+の数が多いほどUVAの防御効果が高まり、SPFは2~50、さらに50以上の場合は「50+」と表示され、数値が大きいほどその防止力が高まります。
日焼け止めを選ぶ際は、「SPF」の数値を目安にすると良いでしょう。屋外でのスポーツは30~40を使うのがいいと思います。ニキビができやすい方は、ノンコメドジェニックと呼ばれる、毛穴を詰まらせずにニキビを引き起こしにくい製品を推奨します。
肌が敏感で荒れやすい方は、物理的に紫外線を反射・散乱させて肌を保護するノンケミカルの日焼け止めを使うのがおすすめ。ただ、お肌にやさしい分、白浮きしやすくムラもできやすいのがデメリットです。ジェルタイプは白浮きしにくく、塗り心地は良いのですが汗には少し弱いため、こまめに塗り直しが必要です。ミルクタイプは汗に強いのが特徴ですが、色ムラが出るものもあります。スプレータイプは手軽で髪や頭皮にも使用可能なものが多いですが、塗りムラが発生します。スティックタイプは手を汚さず使用でき、部分的な塗布も可能ですが、透明のため塗った部分を確認できず、また広範囲に塗るのは大変です。
■Q4:朝スタート前に1回塗れば十分でしょ?
不十分です。適量を塗っても8時間後には効果が43%に減弱するという研究結果があります。夏は特に汗をかいたりボディシートで体を拭く機会が増えますので、最低でも2、3時間ごとに塗り直すことが理想です。ハーフが終わったら塗るという意識でも良いでしょう。とにかく焼きたくない人は、ホールごとの塗り直しをおすすめします。
日焼け止めで手がベタつくことを嫌がるゴルファーは多いと思いますが、手が汚れないスティックやスプレータイプを持っていると重宝します。ただ、1日をそれだけに頼るのはNG。朝は塗るタイプ、塗り直しはスティックやスプレーで済ませる方法がスマートだと思います。日焼け止めが肌に浸透するには15~30分程度時間がかかるので、朝は出かける30分前までに塗っておくことが理想です。
■Q5:いっぱい塗っておけば問題ない?
適量は1平方センチメートルあたり2ミリグラムです。顔だけを塗る場合は1円玉2個分が理想。一度で塗ると多いですが、2回に分けると重ね塗りにもなって塗りムラを防ぐことができます。一度塗ってから1分ほど待ち、ある程度乾いたと思ったらもう一度塗るイメージ。首周りは後ろも含めて面積が広いため、500円玉1~2個分を目安に塗るようにしましょう。プッシュボトルタイプは、1プッシュで1円玉1個分なので量の加減がしやすいです。
また、家を出る前にスキンケアで保湿をしっかりと行い、肌の状態を整える“土台”をつくってから日焼け止めを塗ることで、キープ力に差が出ます。塗る日焼け止めにプラスして、飲む日焼け止めを摂取することもおすすめです。
■Q6:すでに日焼けしてしまったら仕方ないよね
「すでに日焼けしてしまったからもういいや」という声をよく聞きますが、焼けてしまった後でも紫外線対策は行ってほしいです。将来的なシミやたるみ、シワの原因にもなり、焼けた分だけ体の回復が遅くなって疲労感も残ってしまいます。日焼けは “百害あって一利なし”。一度焼けてしまったからといって諦めてしまうのは、大きな後悔につながります。どうしても日焼け止めが苦手な方は、長袖の着用や日傘の使用をおすすめします。
食事面では、ビタミンACE(エース)と呼ばれる食品の摂取を推奨します。(カッコ内はおすすめ食材)
ビタミンA …老化を防止。(トマト、人参、カボチャ)
ビタミンC …シミやそばかす、くすみの生成を抑制。(ブロッコリー、ピーマン、オレンジ)
ビタミンE …血行を促進し、肌の新陳代謝を高める。(アボカド、大豆、ナッツ)
■Q7:日焼けしてしまった後にお風呂はオッケー?
湯舟にはつからない方がいいですね。日焼けは軽度の火傷と同じ症状ですので、肌を冷やしてあげてほしいです。帰宅後は保冷剤をガーゼに包んで冷やし、肌の炎症を落ち着かせてください。シャワーはぬるめのお湯が理想です。ゴルフ後にサウナを満喫する人も多いと思いますが、日焼け後の肌にはマイナスです。
細かい粒子を含むスクラブや肌の角質を落とすピーリング、清涼感の強いものは刺激が強いので、洗顔の際は避けてください。お風呂上がりはフェイスパックで肌を冷やしてあげると良いです。日焼け後は肌と同じく体内も乾燥してカラカラの状態になっているので、積極的な水分補給を心がけましょう。
日焼けへの疑問は解消されただろうか――。夏のラウンド前にあしたからでも予防のご準備を。次回は、厳選したおすすめの日焼け止め商品を紹介する。(編集部・仮屋美遊)
■ 徳永真理 プロフィール
シロノクリニック銀座院医師、ドクターシーラボ開発顧問&認定医師。東京女子医科大学医学部卒業後、同付属病院の内科・皮膚科の研修を経て、手術を行わない美容医療に関心を持ち、シロノクリニックに入職。ボトックスやヒアルロン酸注入を得意とし、現在も医師として多くの患者と向き合う。