俳優・窪塚洋介が考えるゴルフ観「悔しさが楽しさになるスポーツ」/マーク金井対談 #2
アパレルブランド&現在かかえている課題に切り込む!
プレースタイルは人を映す鏡――。ゲストが過ごす18ホールを追うことで、深く真摯に人間性や魅力に迫っていくトーク対談企画「ゴルファーズ・スタジオ・インタビュー」。1回目のゲストに、約3年前からゴルフを始めたという窪塚洋介氏を迎え、クラブアナリストのマーク金井が気になるゴルフ観を聞き出す。話は自身でプロデュースするアパレルブランド、現在かかえている課題に及んだ(2回目/全3回)。
■ゴルフは離脱率が高いスポーツ
―ゴルフは離脱率が高く、始めた人の9割近くが一年以内にやめてしまうそうです。
離脱率…、そんなにやめる人が多いってことですか?
―みんな最初はうまくいくと思うんですよ。ただ、全打席でチョロを打つ人もいるわけではないですか。そういう最初のつまずきで離脱してしまうのだと思うのですが…。そう考えると、なぜ窪塚さんは今もなお熱中しているのですか?
(ゴルフ人生は)まだ始まったところだと思っているので、やめる選択肢が見当たらないんです。やめたいくらい悔しい思いをしたので余計にやってしまうというか、悔しさが楽しさに変わり、続けている状態です。
―なるほど。
スコアがいいに越したことはないのですが、それ以前に楽しめないと意味がないと思っています。スコアばかりを気にして、初心者だからということで気後れしてしまったり、難しい顔をして18ホールを回るのであれば、それは離脱してしまうと思うのです。
―そうではなくまずは楽しむ?
はい。適当にやるとか、ふざけるとかではないですが、ダメで元々くらいの軽い気持ちで臨み、その中で自分で楽しめるところを探していく。それがゴルフで一番素敵なことだと思います。たぶん80台の人は80台の、70台は70台の、60台は60台の悩みがあると思うのですが、共通していることはどこまで自分の目標としているスコアまで伸ばしていけるか――。それぞれのスピード感でそれぞれの楽しみ方でいいのではないでしょうか。
■「8G SHOOT」のネーミングに込めた想い
―ご自身のゴルフアパレルブランドをプロデュースしたということで?
はい。こんな素人がブランドなんて始めていいのかと思いつつ、大阪のゴルフ仲間と一緒に立ち上げました。
―ブランド名は?
「8G SHOOT」です。「8」に「G」と書いて「エージー」と読ませて「8G SHOOT(エージシュート)」というネーミングです。
―ゴルフのエージシュートのこと?
そうですね。エージシュートが目標というか、いつか将来的に達成できるようなプレーヤーになりたいという想いを込めて命名しました。
―何でそこにこだわったのですか?
現在の第5世代通信「5G」を意識し、いつか「5G」→「6G」→「7G」→「8G」…となるかは分からないですが、未来を予感させるブランドにしたかったからです。
―未来を予感させるブランド?
そのときまで元気で、仲間と楽しくゴルフをエンジョイしたいという気持ちを持っています。現在の延長上、今と未来がつながっていなければエージシュートも達成できない。そうなると、自ずと“今の自分”を見つめ直すことができる。それがいいスパイラル(連鎖的な変動)を起こすきっかけになってくれる予感がして命名しました。
―そんな想いが込められていたんですね?
現在、ゴルファーの中で、若々しい先輩方、“大人”たちが以前よりたくさんいらっしゃるので、その人たちの背中を追いかけたいと考えています。
―多いですよね。
先輩たちを見ていると、好きなことをやって楽しく生きている。そういう風に生きなければ、目標とするエージシュートも達成できない気がして…。そんな先輩たちを“道しるべ”にして、今後もゴルフ人生を送りたいと思っています。
■ゴルフを始めて何が変わった!?
―ゴルフを始めて変わったことは何ですか?
いやぁ、マルッと大きく変わりました。人生すべてが変わりました。
―人生すべてが…?
まさか40歳を過ぎてスポーツにハマると思っていなかったので、自分でも驚くほどの変化を体験している状態です。高校生の頃にサーフィンに出合い、20歳で仕事が忙しくなり、海へ行く機会が減ってしまったので、それ以来。21~22年ぶりにハマったスポーツということで、想像していた人生から大きく変わったと思います。
―ゴルフを始める前と、始めた後でイメージは変わりました?
だいぶ変わりました。子どもの頃に駅のホームで傘を持ってスイング練習しているサラリーマンを見て笑っていたのですが、今はそういう人がいたら逆に人払いしてあげたいくらいです(笑)。
―ハハハ、そこまで…。相当変わりましたね?
下手したら一緒に練習するかもしれません(笑)。
■現在の課題は「起き上がり」
―「起き上がり」が課題ということで?
そうですね。見ていただいているコーチには体の起き上がりを指摘されることが多いです。できる限り左右の体重移動は抑えて上体を回旋させ、インパクト時の起き上がりを防ぐというものです。
―結構、ラウンド中もそこを重点的に話していましたね?
はい。胸を縦に回す意識を持ち、クルッと素早く動かすイメージを抱いてから、調子が上向きになりました。まだまだ起き上がるタイミングは早いと言われていますが、なんとなく方向性は見いだせている気がしています。
―あれ、実は起き上がっているのではなく、起き上がらされているんですよ。
えっ、どういうことですか? クラブに?
―そうです。両腕を抱えて回転すれば誰も起き上がることはないのですが、クラブを握っているからこそ起き上がってしまいます。テークバックは、クラブがゆっくり動くのでコントロールできますが、ダウンスイング以降はクラブの速度が140~150km/hも出るため、体が自然に引っ張られてしまうのです。
それが原因…?
―はい。
ありがとうございます。勉強になりました。
(第3回「窪塚洋介こだわりの14本」につづく)
取材協力/カレドニアン・ゴルフクラブ(千葉県)
■ 窪塚洋介(くぼづか・ようすけ) プロフィール
1979年5月7日生まれ、神奈川県横須賀市出身。1995年俳優デビュー。映画を中心に国内外問わず多数の話題作に出演。舞台、音楽、モデル、執筆と多彩な才能を発揮。自身のYouTube番組や日本酒「福霧」、ゴルフアパレルブランド「8G SHOOT」などプロデュースを手がけるなど、活動の幅をさらに広げている。