フックの構造を解き明かす ~Dプレーン理論~
フック地獄を抜け出す基礎知識
多くのアマチュアは、まず右に曲がるスライスに陥り、ようやくそれを脱出すると今度は左に曲がるフックに悩む・・・。フックもスライス同様に、コースで出始めるとなかなか立て直すことができません。調整を試みるほど裏目に出てしまい、抜け出すどころか、ますます悪化させてしまう人も多いでしょう。どうしてフックするのか、その構造はスライスと真逆となります。Dプレーン理論をおさらいしながら、説明していきましょう。
スーパースローで見たフックする瞬間の映像
まず、フックのインパクトをスーパースローで見てみましょう。クラブヘッドはインサイドアウトに動いており、フェースはクローズしたままインパクトしています。なんとなくドローボールになるようなイメージですよね。しかし実際には、ボールはフェース面が向いている左に飛んでいます。またボールの回転を見ると、左に曲がる回転になっています。つまり、このインパクトでは、弾道は左に出て左に曲がる球(プルフック)になり、決してドローボールにはなりません。
たちの悪いプルフックの原因はこうだった
では、ラウンド中に出るとたちの悪いプルフック(左に出て左に曲がる)の瞬間を模型で見てみましょう。フェース向きに従ってボールが飛び出した後、左に曲がっていく原理は、フェース向き(赤い矢印)とインパクト時のスイング軌道(青い矢印)が作る面(Dプレーン)が左に傾くことによります。スライスではDプレーンが右に傾いていたのに対して、フックではその逆に左へ傾くのです。そして、この傾きが大きいほど、ボールは大きく左に曲がります。Dプレーンの傾きがバックスピンの回転軸の傾きを決めるので、左に傾けば左に曲がる弾道になります。
フックの瞬間を解析!グラフィックにしてみた
もう一度、右に打ち出して左に曲がるドローの一般的なイメージを思い浮かべてみてください。スイング軌道はインサイドアウトで、インパクトでわずかにフェースがクローズというイメージでした。画像は、それに近いものですが、実際はプルフックになります。フェース向きに従って、ターゲットに対しやや左に飛び出しまず。そして、パス(インパクト時の軌道)とフェース向きに、9.3度の差が生じてDプレーンが大きく左に傾いているので、左に大きく曲がる弾道になります。いままでフックを直すために、もっと軌道をインサイドアウトにしようとしていませんでしたか?
次回予告
次回は、Dプレーン理論を応用することで、フック地獄から抜け出し、適度な曲がり幅に調整する考え方について詳しくご紹介します。
【監修】青山充(あおやま・みつる)プロフィール
1971年生まれ。ツアープロコーチとして片岡大育、下川めぐみらを指導するかたわら、六本木にあるゴルフスタジオ「true spec golf」にて、弾道計測器「フライトスコープ」や、3Dスイング解析システム「GEARS」を駆使して、レッスンを行う。