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なぜティが飛ばない? 女子プロ総勢89人スイング検証

2017/12/12 11:45

意外な事実 挿さったままの「ティ」の謎!

鈴木愛の4年ぶり日本人賞金女王で幕を閉じた国内女子ツアー。総勢89人のスイング写真を確認してみると、意外な事実が判明した! ボールを打った後もティアップしたティが地面に挿さったまま残るという選手が大勢いたのだ。そこでティが残る原因をスイング理論に詳しいティーチングプロ平野茂氏に聞いた。

7割弱が「ティ挿さったまま」派

総勢89人の女子プロのスイングデータから、ティの状態を調べてみると89人中59人(約66%)がティが挿さったままであることが分かった。この現象の理由を平野氏に聞くと、「最近主流の“1プレーン”のスイングが要因となっていると思われます」と切り出した。

いま、求められているのは“1プレーン”

特にフォローが低いのが特徴

「最近のクラブはチタンヘッドで大型化し、慣性モーメントが大きくなったことで、(インパクトゾーンで)ヘッドが真っすぐ入って真っすぐ出る動きが理想的となりました。そこで、(後方から見て)ダウンとフォローでプレーンが同じ“1プレーン”のスイングが求められるようになってきたのです」

以前は違うスイング?

「はい。以前のクラブ(特にパーシモン時代)では、トップからダウンスイングにかけてインサイドから入ってきたヘッドを、腕をローテーションさせて切り返す動きが必要でした。そうしないとボールをつかまえることができなかったからです。ダウンスイングとフォローでプレーンが異なる“2プレーン”の動きが主流でした」

上下の動きが少ない = ティに当たらない

ピンク線(1プレーン) 青線(2プレーン)のヘッド軌道

時代は“2プレーン”から“1プレーン”に。ティとはどういう関係…?

「“2プレーン”ではインパクトゾーンでロフト角がやや寝ていた状態から立たせる動きが入り、ヘッド軌道が下から上に動きます。一方の“1プレーン”では、ロフト角は一定に上下の動きも少なく、レベル(平ら)に動くことが求められます。ですのでボールだけをクリーンにヒットさせることが望ましく、ティにヘッドが当たらない現象が起こっているのだと考えられます」と平野氏。

“1プレーン”のイメージ例
“2プレーン”のイメージ例(極端な例)

フォローがダウンスイングと同じ高さで抜けていく“1プレーン”のスイング。女子プロのように非力でも飛ばしたいという人は、ぜひ一度参考にしてみてはいかがだろう。

スイングデータ収録/2017年「ヤマハレディースオープン葛城」「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」練習日

解説/平野 茂(SHIGERU HIRANO)
1973年生まれ、東京都出身。2007年ティーチングプロ資格を取得し、「K’sアイランドゴルフアカデミー」代表を歴任。現在「フラットフィールド・スクール・オブ・ゴルフ」を主宰。簡潔で分かりやすいレッスンに定評がある。