U-25世代LESSON

「ベタ足が合う人、合わない人」 平田憲聖 ボクの打ち方LESSON Vol.1

2023/10/31 08:00
大学時代によく練習していた「茨木ゴルフセンター」(大阪府茨木市)にて撮影。1F右奥が“平田打席”

男子ツアーの「U-25世代」で、いまホットな選手のひとりといえば平田憲聖の名が挙がるだろう。2021年に大阪学院大在籍中に最終予選会を2位で通過し、大学生プロとしてツアー1年目から活躍。2年目の今季、「ミズノオープン」で初優勝を飾ると、「日本プロゴルフ選手権」では初日から首位を譲らない“完全優勝”でメジャータイトルをゲットした。10月のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」でも堂々のトップ10入り(6位タイ)を果たし、その資格でメキシコ開催の「ワールドワイドテクノロジー選手権」にも出場する。

簡単にボギーを打たない平田のゴルフにはベテランのようなふてぶてしさすらある。そんな“ボギーフリー”を生むショット力の源流はどこにあるのか。彼のスイング、考え方についてじっくりと話を聞いた。1回目は平田のスイングの特徴である「ベタ足」について。(全3回/取材・構成/服部謙二郎)

「ベタ足」は前傾キープにもつながる

フォロースルーのこの位置まで右足かかとが浮かない

―「ベタ足」にしたままのスイングはいつから?

ゴルフを始めてから、ちょっとずついろんなコーチに習ってはいたんですけど、中学生くらいの頃から、基本的には自分で考えてスイングを作ってきて、その頃にはもう「ベタ足」だったと思います。とくに意識してやっていたわけではないんですが、昔から変わっていないということでいえば、ベタ足が自分のスイングの「軸」ではありますね。

―右足かかとを早めに上げるスイングも試したことはある?

あります。ただ、僕には難しかったですね。合わなかったというか、下半身の安定感がなくなる感じがありました。コーチに頼りきりじゃなくて、自分で考えてやるタイプなので、「とりあえず試してみる」みたいなことはしょっちゅうでした。今でも調子が悪くなると、もしかしたらここが原因じゃないかというところをいろいろ試してみて、動画を撮ってチェックしています。

―ベタ足の意味は、やはり土台を安定させて打つということ?

もちろんそうですし、それによってクラブ自体の力を使いたいということもあります。よく「体で打つ」っていいますが、僕の場合は結構、腕で振るイメージなんです。トップも割と手で上げる感じで。そうしないと逆に体を使いすぎちゃうんです。体が動きすぎると、クラブ自体の自然な動きが少なくなってしまうので嫌なんです。

―振り子の支点が動いてしまうと、うまく動かなくなるのと同じ感覚?

そうですね。それと、ベタ足には「前傾角をキープする」という意味もあります。トップまで上げたら、お腹に力を入れて、むしろ前傾を深める感じで下ろすことを意識すると、自然に右足はベタ足になります。上体の前傾を強めながら、右足かかとを上げるというのは、体の使い方として難しい。アマチュアの人だと、ダウンスイングで逆に前傾が起きてしまうことが多いと思いますが、そういう人は大抵、右足が上がるのが早いはずです。

―前傾角をキープするのが苦手で、インパクトで体が起き上がるアマチュアにはベタ足がおすすめ?

試してみる価値はあると思います。ベタ足が「合う人」限定ですけど。体が起き上がっちゃう人と、あと、右ひざが前に出ちゃう人とかにもいいですよね。アイアンなどのクラブを右足の甲に置いたまま打つと、右足を上げずに打つ感覚がつかめます。ベタ足はベタ足で、「今のは右に残りすぎたな」とか、ベタ足がゆえのミスもたまにはありますし、誰にでもおすすめというわけではありません。僕自身、もっと自然に右足が上がって、左足1本でスッと立ちたい気持ちもあります。ですが、右ひざが前に出たり、腰が伸びたりするよりは絶対にいいと思っています。何を捨てて何を取るかは、本当に人それぞれなので。

右足の上にクラブを置いて“ベタ足”を意識するドリルも効果的*クラブを打たないように注意!

―右足かかとは上げなくても、体重は左には乗っていくイメージ?

もちろん(体重は)乗っています。もっと細かく言うと、左足の内側を踏みしめるイメージですね。

―平田プロのように、腹筋に力を入れてお辞儀をするように前傾を強めるイメージでクラブを下ろすコツは?

トレーニングですね(笑)。冗談ですけど。僕自身はそういう、コア(体幹部)の力が抜けないようなトレーニングをいちばん多くやっています。コツということで言うと、ダウンスイングで腹筋を「縮める」ことで。腹筋を縮めると腰の部分が丸く(真っすぐに)なるんですが、逆に(S字に)反っちゃう人が多いんです。腰が反っているということは、コアの力が抜けているということなので、そうならないように意識してもらうといいかもしれません。

左サイドに体重は乗っていくが、左の内ももでそのパワーを受け止めるという

―確かに、いま活躍しているトッププロは腰が真っすぐで背中が少し丸まっている

僕もまだ完ぺきにできているわけじゃないので、できたらいいなと思ってやっています。

―まずはイメージしてやり続けることが大事?

そうですね、僕もトレーニングをしながら常にスイングをブラッシュアップしています。

最後に平田憲聖のドライバースイングをご覧ください

Vol.2「ナイスショットはテークバックで決まる」に続く

取材協力/茨木ゴルフセンター

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