U-25世代LESSON

「ディンプルの小さな所で打つと入る確率上がります」U-25世代ストロークセルフ解説/川崎春花

2024/10/08 11:00
フェースの赤い打痕にはある理由が…

黄金世代、プラチナ世代、ミレニアム世代、ダイヤモンド世代…。世代の呼び名も増え、毎年のように新星が現れる女子ツアー界。彼女たちはどんな経歴を持ち、どんなスイングをしているのか。「U-25世代」の若手にスポットをあて、自分の打ち方をセルフ解説してもらった。

川崎春花がグリーン上で考えていることとは

女子プロ「U-25世代」特集の1回目は川崎春花だ。現在21歳の彼女は、竹田麗央神谷そら櫻井心那尾関彩美悠らと同じ03年度生まれ。今季は2週連続優勝を含む3勝を挙げるなど、今まさに波に乗っている。ショートアイアンを得意としているが、涼しい顔でミドルパットをボコボコ決める印象も強い。そんな彼女のグリーン上のストロークの秘密とは…。

クロスハンドは「右手の悪さ」対策

多少の傾きはあるものの頭が前後に大きく動かないようにしている

―ストローク中どんなことを意識していますか?

昔から頭が動きやすい癖があるので、それだけは意識しています。「頭、動くな!」って。

―ショルダーストロークなど肩を振り子に動かす意識とかはない?

ないない。ないですね。一時は肩を意識することもありましたが、いろいろ意識しすぎても良くないんで。ストローク中はどこかを動かそうっていうのは無くて、「頭だけ動かさない」と思って振っています。

―ミスパットのときは頭が動いてしまっていると。

そうですね。あと、私が気にしているのは肩のラインを作ったら、そこから肩が前に出ないということですね。肩が前に出ると頭も動きやすいから。

―前に出ない?肩を縦に動かすようなイメージということですか?

そうですね。私の中のイメージですが、両肩のラインが決まったらそのラインの前に仮想の壁を作って、その壁に肩が沿うようにストロークしています。肩が前に出てフラットになると頭も動くし、悪いことしかない。でも、肩を縦に動かそうじゃなくて、仮想の壁に沿ってストロークしたら“縦に動いていた”というのが正しい表現ですかね。

―そのほうが結果的に手を使わない?

そうです。

両肩を仮想の壁に沿わせるように振る

―クロスハンドはいつからですか?

ニチレイ(6月のニチレイレディス)からです。その前週のサントリーで予選落ちして、最後にパター練習していた時にちょっとクロスにしてみようかなぁって。

―なんでクロスにしたんですか?

入らないから…(笑)。でも、ほんと右手が強くなっていたんで。クロスにすれば右手が使えなくなるかなって。しかもちょっと左右の手を離して握っているんです。

―確かに。スプリットで握っていますね。

はい。特に理由はないんですが、クロスに握ろうと思ったときに、なんか自分の中でこういう(手を離す)イメージでした。でもちょっと離したほうが振りやすかったんです。

―クロスだと右手がいい意味で使えなくなる?

そうですね。右手はなおかつ、右ひじを曲げて持って、グリップエンドぎりぎりを握っています。ちょっと絞った感じになるので、これだと右手はあまり使えません。左手は伸びきっているわけではないけど、まあまあ伸ばしています。

クロスハンドかつ左右の手を離したスプリットで握る

―左手は伸びているほうがいい?

そのほうが左手で振れる感じはありますね。両手をもっと近づけて握ってみたのですが、それだとクロスハンドでも右手が悪さをする感じがあったので、私はちょっと離しているほうが合いましたね。

―ではそのグリップチェンジが上手くいっている?(ニチレイで4位。その後3勝を挙げた)

そうですね。最初ニチレイの試合中はまだクロスにしきるのも不安だったので、「順手もクロスも併用」と思ってスタートしたんです。けど、順手でパットした2回とも外れて、「もうえぇわ」と思ってクロスハンドに踏み切りました。それ以来ずっとクロスです。

なるべく近くに立って手をストンと落とす

―ボール位置は?

ちょっと左寄りですね。左目の下あたりですかね。

―ボールとの距離は?

近いほうが好きです。手をストンと落そして構えて、その先にボールがあるイメージ。ボールとの距離が離れると右手に力が入っちゃうんですよ。左手もぎこちなくなる。ですからちょっと近くに立って。そうしたらいい感じに脱力できます。

「頑張ってイメージを出します」と川崎

―カップまでの距離感はどうやって作っていますか?

グリーンに乗ったら、まずはカップまで歩測します。そしてカップから逆算してラインを作ります。その際に球のスピードを頑張ってイメージする。ボールの所に戻って曲がりの頂点に向かってボールの線を合わせ、イメージを持ったままボールの横で素振りします。この距離はこの振り幅っていう決まりは無くて、ラインとスピードのイメージから勝手に振り幅が決まる感じですかね。

―毎回ラインとスピードのイメージが湧いてくる?

勝った試合なんかはイメージ出ていましたが、実際あんまりイメージ湧かない時もありますよ。そんな時は、「あそこまで打つ」とかって決めて、あそこまで打てば最後転がっていくかなぁと考えてやっています。

―いわゆるタップ式のような、インパクトでバチンと打って距離感を作るタイプではない?

なんかそれ、結構私はダメなんです。パンチ入って大オーバーとかがあるタイプなので。ですからやっぱり手に力が入った時は、あんまり距離感が良くないことが多いですね。

◇◇◇◇

フェースの芯には赤い打痕がくっきりと

川崎が今季愛用しているパター「Ai-ONE MILLED SIX T パター」の写真を撮っていると、フェース面の一点がくっきりと赤くなっていた。本人に理由を聞くと「ディンプルの小さい所で打ったほうが、入る確率が上がるってお父さんに言われて。当てたいディンプルにマジックで赤いドットを入れて、その跡がフェースについちゃってるんです」と恥ずかしそうにする。彼女のブリヂストンのボールを見せてもらうと、確かに小さなディンプル部に赤い点が記されていた。川崎はん、入る確率が上がるってホンマかいな!?「お父さんが何かそういう記事を読んだらしくて。ウチは理屈は分からんけど、それやったら『やらないよりやったほうがいいかな』って思ってやってます」。確かに一理あるなぁ。よし、やってみるか。彼女と違ってフェースのいろんな所が赤くなりそうだけど…。(取材・構成/服部謙二郎)

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