U-25世代LESSON

「左に行かない構えで振り切ります」U-25世代スイングセルフ解説/政田夢乃

2024/11/19 18:00
好調をキープしたままファイナルQTに挑む政田

黄金世代、プラチナ世代、ミレニアム世代、ダイヤモンド世代…。世代の呼び名も増え、毎年のように新星が現れる女子ツアー界。彼女たちはどんな経歴を持ち、どんなスイングをしているのか。「U-25世代」の若手にスポットをあて、彼女たち自身の口でその打ち方をセルフ解説してもらった。

キャリー平均220ヤードながらも正確無比なショット力

女子プロのU-25世代2人目は、昨年プロテストを通過した政田夢乃。3回目の受験で合格をつかみ取った苦労人は前週の「エリエールレディス」でも優勝争いに絡んだが、最終的にメルセデスランキング56位に終わり、来季第1回リランキングの出場権獲得(同ランク51~55位)に届かなかった。今後は最終予選会(26日~葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース)に出場し、来季のレギュラーツアー出場権獲得を目指す。

エリエールレディスでも初日、3日目に「65」というスコアを叩き出すなど、爆発力が彼女の魅力。ドライバーショットの「平均キャリーは220ydです」(政田)と決して飛ぶほうではないが、フェアウェイキープ率が11位と正確性でチャンスを作る。自身のスイングをどう捉えているのか。詳しく聞いてみよう。

まずは政田の最新スイングをCHECK !(横にスライドしてご覧ください)

“おじいちゃん的存在”の人に習っていた

―スイングをどう作ってきたんですか?

ゴルフ歴は3歳からですが、小学校1年生で初めて試合に出た時に、「プロになりたいな」と思い始めたんです。家の近くの練習場で“おじいちゃん的存在”の方に教わるようになって、その方に高校3年時まで教わっていました。スイングの基礎を教わった感じですね。手取り足取り教わるというよりは、もうひたすら球を打ち込んで、基礎を体に染み込ませました。

―基礎とは具体的に?

グリップ、肩の向き、腰の向き、スタンスも、アライメントを全てスクエアにとるようにと教わってきました。目標に対して体が常にニュートラルな状態を作って球を打つことが大事と言われて。今でも調子が悪くなったときは、その原点に戻ります。ラウンドを重ねていくとどうしてもニュートラルからどちらかにズレてくるので。ショットが悪くなってきた時は、たいていアライメントのズレなので、練習場で(アライメント用の)棒を置いてリセットします。

時折アライメントスティックを置いて練習することも

―今でもそのおじいちゃん的な方に習っている?

もう80歳を超えているので、さすがにもう習っていないです。でもおじいちゃん、元気なのでよく応援に来てくれますよ。この間も沖縄の試合(日本女子プロゴルフ選手権)に来てくれて、2日間ずっとラウンドについて見てくれました。

―今は自分でスイングを修正?

プロテストに受かる前ぐらいから、石井忍さん(プロコーチ)に見てもらっています。試合が続くのでなかなか習いに行けないですが、自分で直せないようなときはスイング動画を送ってメッセージのやり取りをしています。

左に行かない構えを作って振り切る

―いまスイング面で取り組んでいることは?

全体的な私のテーマは、フェード系の構えをしながら、結構つかまえに行くということ。左に行かないような状態で振り切るようにしています。練習場でも左に行く要素がない構えを練習しています。

―左に行かないような構えというのは、体を少し開いて逃がすようなイメージ?

逃がすというよりは、左に行く要素を消す感じですね。あくまでアライメントはスクエアは意識していて、その上でミスしても右にしか行かないような構えを作ります。左に行かない構えというのを説明するのななかなか難しいですが…。

構えで左に行かない要素を作るという

―試合を戦う上でその意識が大事?

そうですね。なんか思いっきり引っ張ったとしても、めっちゃ左に行くことはないので。ミスの幅を狭くするのが狙いなんです。

―弾道はドロー?フェード?

基本そんな極端なドロー、フェードではなくて、真っすぐ出てどっちかに落ちるって感じです。ちょっとつかまってくればドローっぽくなるし、つかまりが弱かったらフェードに。

―今シーズン、レギュラーツアーで戦う中でスイング面で気になったことなどは?

飛ぶ人と回ると、ついオーバースイングになっちゃうんですよね。ですから、トップの位置やリズムなどをめちゃくちゃ気をつけています。切り返しのタイミングも合わなくなっちゃうので。

―具体的にどうやって気をつけるんですか?

悪くなっているときってリズムがおかしくなっているんです。「なんかオーバースイング気味だな」というときは、練習場でスイング動画を撮って、見て、確認して修正する感じです。球が曲がっている時、試合後にスイングチェックをすると、(トップで)手首が折れてオーバー目になっちゃっていることが多いです。

オーバースイングにならないように注意している
右の肩口からクラブが下りてくる
前傾角度が起きないように注意している
しっかり振り切ることが彼女のテーマ

―動画で見て、すぐに違いが分かるレベルということですね。

はい、よく分かります。オーバースイングになっていたら、ちょっと大げさに、(トップの大きさを)8割ぐらいに抑えるようにして球を打ちます。自分の中では8割ですが、実際に動画を見ると結構いい位置に上がっているんですよ。その極端に修正するっていうのが私のポイントです。

―やっぱり飛ぶ人を見ると、だんだん飛ばしたくなっちゃう?

そうですね。周りに飛ぶ人がほんと多いので。私はキャリー220ydぐらいしか飛ばないから。

―2打目の距離が離されると、焦ってしまう?

自分の中であんまり気にしてないんですけどね。でもやっぱり飛んだ方がいいなって思っています。

―飛ばすための取り組みなどはありますか?

シーズン中はあまりスイングを変えたくないので、そこは本当に徐々にと考えています。体力をつけていって、その結果、飛距離が伸びたらいいなというぐらい。シーズン中はめっちゃ筋トレしたり、スイングを変えたりっていうのはしていないです。

シードは獲得できなかったが、収穫の多い1年になった

―では、やるならオフに。それも体を鍛えるとか。

そうですね。地元の北海道に帰ったら、冬場はラウンドできないし、なおさらそういうことしかできないので。

―スイング中、ほかに意識しているところはありますか?

トップの時点で体が起き上がらないようにしています。昔から上体が起きやすくて…。そう打ってきたんですけど、起き上がらない方が、意外と最近はしっくり来ているので。

―前傾角度をキープするということ?

そういうことになります。

◇◇◇

レギュラーツアーに出るようになってから、今年はGC4(弾道測定器)を使って、毎朝キャリーの距離をチェックしているという政田。得意とするアイアン&ユーティリティは1yd単位で数字を把握しているというから、持ち味をしっかりと心得ている。来季の出場権をかけた最終予選会は厳しい戦いも予想されるが、「準備をしてきているので」と前を見据える。レギュラーツアーで幾度となく優勝争いに絡んだ経験が、自信につながっているのだろう。吉報を待ちたい。(取材・構成/服部謙二郎)

165~185ydを3本のユーティリティでカバー。よく残る距離は練習にも余念がない

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