クルマはゴルフギアである

仕立てのいいジャケットを着て…大人のゴルフクルーザー トヨタ「クラウンエステート」/クルマはゴルフギアである #11

2026/06/03 07:00
クラウンエステート

AT車であってもパドルやシフトレバーを駆使して積極的に変速操作をするという類まれなクルマ好きの安東弘樹氏に、大人ゴルファーの“持ち物”としてのクルマ選びを提案いただく本連載。車体価格や維持費だけでなく、所有し使うことでオーナーが豊かになれるクルマが選出条件だ。今回氏は、トヨタの「クラウンエステート」を推す。

ステーションワゴンとSUVの融合

クラブハウスにもしっとりとなじむ佇まい

「クラウン」は60年以上続いた伝統的なセダンタイプからの脱却を図り、ボディタイプの異なる4モデル「クラウンクロスオーバー」「-スポーツ」「-セダン」「-エステート」を順次発売していくことが2022年に発表されました。それぞれデザインも性格もかなり異なっており、幅広い年齢層の顧客に訴求できるラインアップです。

エステートは、ステーションワゴンとSUVが融合したモデルです。個人的にデザインはクロスオーバーが好みですが、ゴルフ用途では使いやすいラゲッジスペースを持つエステートに軍配が上がります。ツアータイプのキャディバッグ1本が真横に入るだけでなく、リアシートを倒すと荷室がフルフラットになります。これにより、長くて重いキャディバッグを比較的楽に積み下ろしできるでしょう。

ゴルファーの皆さんには関係が薄いかもしれませんが、フルフラットになる荷室を生かした車中泊用途もトヨタはアピールしています。フルフラットになるのはクラウンシリーズではエステートだけで、「フルフラットラゲージマット」というアクセサリーを使えば、車内でそのまま横になれます。ゴルフのほかにドライブ旅行やアウトドアの趣味もお持ちなら、なかなか魅力的なのではないでしょうか?

車中泊を快適にするフルフラットラゲージマットがこちら

おすすめはPHEVモデル

パワートレインはHEVとPHEVから選べますが、私の一押しはPHEVです。モーター走行を主とする静粛性と滑らかな走りが大人のゴルファーにピッタリだと思うからです。エステートはクラウンシリーズの中でもしっとりとした乗り味で、ゆっくりクルージングしたい人には快適な移動時間を提供してくれます。落ち着いたデザインも含めて、非常に大人っぽい乗り物ですね。対照的に、たとえば「スポーツ」はデザインも走りの質感もスポーティに味付けされており、荷室はエステートよりもタイトになっています。また、セダンのみほかの3つと異なるプラットフォーム(車台)が使用されています。

運転席周りは比較的シンプルな仕上がり

バッテリー容量は17.8kWで、満充電で実質60kmくらいはモーターだけで走行できるのではないでしょうか。普通充電と急速充電に対応しているのも大きな美点で、急速充電すれば20~30分くらいで満充電になります。たとえば朝は普通の駐車エリアに停め、ホールアウトしたら充電器につなぐとすると、入浴などを終えてチェックアウトするまでにおおよその充電は終わっている計算です。このようにこまめに充電すれば、実質燃費はリッター50kmという世界も待っています(笑)

稀有な雰囲気の国産車

遮二無二走るというよりはゆったりとコーナーを抜けるよう走ると快適

リアシートが4:2:4分割ではないこと、半ドア状態からでもドアが自動で閉まるドアクローザーが付いていないこと、後席エアコンが独立調整できないことなど、価格に対して言いたいことはいくつかあるのですが、ゴルフクルーザーとしての完成度は揺らぎません。仕立てのいいジャケットを着てコースに向かいたい、そんな雰囲気のある稀有な国産車だと思います。

ゴルフ以外にも大いに活躍してくれそう

<Specification>
クラウンエステート RS
●全長×全幅×全高:4,930mm×1,880mm×1,625mm
●乗車定員:5名
●車両重量:2,080kg
●駆動方式:AWD
●WLTCモード燃費:20.0km/L
●エンジン:2.5L 直列4気筒
-最高出力:177PS/6,000rpm
-最大トルク:219Nm/3,600rpm
●モーター
-最高出力 前/後:182/54 Nm
-最大トルク 前/後:270/121 Nm
●車両本体価格:8,100,000円(税込)
※撮影車両価格:8,445,400円(税込)

イラスト:酒井恵理
写真:尾形和美
取材協力:米原ゴルフ倶楽部

■ 安東弘樹(あんどう ひろき) プロフィール

元TBSアナウンサーにして大のクルマ好き、いや“クルマ狂”。50台ほどのクルマを乗り継ぎ、TBS勤務時代から自動車ローンが途切れたことがないという。独自の視点から切り込む自動車関連のコラムを各種媒体で連載中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員で日本自動車ジャーナリスト協会会員。