「Qi4D」を一斉計測 “コアモデル”の調整幅にワクワクする!/26ドライバー研究#3

東五反田ギア総研
「Qi4D」ドライバー4モデルを一斉計測!

26年モデルのドライバーに関する総括的な分析や傾向を、これまで2回(#1、#2)にわたって紹介した。3回目の今回からは、メーカー別の特徴やモデルごとの個性について、クラブデザイナーでありジューシー㈱を主宰する松吉宗之氏に解説してもらう。今年のメジャー第一戦「マスターズ」を制した、テーラーメイドのドライバー「Qi4D」シリーズ(4モデル)から始めよう。

♯1 ドライバーのトレンドは“扱いやすさ”へ 「大MOI時代」は終焉か…

♯2 「大MOIでやさしい」から「つかまりやすさで飛ばす」時代へ

“4兄弟”の個性がハッキリと出ている

世界ランキング2位であり、今年の「マスターズ」では史上4人目の大会連覇を成し遂げたロリー・マキロイ(北アイルランド)。「ドライビングディスタンス」のスタッツでも毎年のようにトップを争うマキロイのドライバーは「Qi4D」(コアモデル)だ。

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Qi4Dコアモデルがマキロイのマスターズ連覇に貢献した

松吉氏は「Qi4D」シリーズの4モデル(コアモデル、LS、MAX、MAX LITE)について、#1の記事で述べたように、前作よりもヘッドの慣性モーメント(MOI)がやや抑えられて“扱いやすさ”に寄っていることに触れながら、次のように分析する。

「『Qi4D』シリーズは、モデルごとの違いがハッキリしていますし、ウエート調整したときの重心特性の違いもしっかりと出ます。とくにコアモデルは“カチャカチャ”とともに、4つのウエートによる広い調整幅が特徴。ここまで調整シロが大きいモノは珍しいですね。より幅広い人がアジャストできます。このドライバーを買うアマチュアもプロゴルファーも両方が魅力を感じられて、満足して使えるでしょう」

“コアモデル”は4つのウエートを入れ替えてカスタマイズできる

Qi4D」(コアモデル)のウエートは、フェース側のトウ&ヒールに2つ、後方に2つ。ウエートのノーマルポジション(初期設定)は、フェース側が4g×2、後方が9g×2と後方が重い。

「ノーマルポジションをやさしくしていますね。そのように入りやすくしておいて、球が上がり過ぎたりつかまり過ぎたりしたら、ウエートを入れ替えて球の高さやつかまりを調整できます」

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4つのウエートポートを持つQi4D。別売のウエートキット「TASウェイト」も用意され、さらなる調整も可能

「Qi4D」シリーズは「LS」だけでなく、マキロイを筆頭に“コアモデル”を使うツアープロもいる。見た目が“テーラー顔”と言われるスマートなルックスに戻ったことも大きいが、前後のウエートを入れ替えて重心を浅くできることもポイントだという。

「浅重心仕様の実測データを見ると、実はバランスが一番取れていて、ヘッドスピードがちょっと速い人が打ちやすくなっています。重心深度と重心距離が40㎜前後で振りやすさがあり、それに対して重心角が23.5度なので、ややつかまる感じで真っすぐ行きやすい。それでいて、ヘッドのMOIが4600g・cm2以上あり、安心感(ミスヒットの許容性)もあります。ちょっとした競技ゴルファーやプロゴルファーが“程よくやさしくて、飛距離性能もしっかりある”と感じられるでしょう」

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計測した項目とその説明はこちら

“浅重心のロースピン”で叩いて飛ばせる「LS」

ウエート調整によるカスタマイズという点で「Qi4D LS」も、その効能が確実に感じられるモデルだ。ウエートはフェース側に1つ、後方に1つ。ウエートのノーマルポジションはフェース側が15g、後方が4gと重量差が11gあり、初期設定でフェース側が重い。

「ノーマルポジションだと重心が相当浅い(34.9㎜)し、重心高2(有効打点距離)が長い(25.1㎜)。この数値を見ると、モデル名に『LS』とあるように、かなりロースピンになります。まさに尖ったモデルで、ここまで強烈なヘッドはなかなかありません」

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計測ヘッドの表示ロフトは10.5度

今回計測したのべ21モデルのデータを見ると「Qi4D LS」の重心深度が最も浅く、重心高2が最も長い。前作「Qi35 LS」との違いは明らかで、重心深度がかなり浅くなり、重心高2が長くなった。アスリート好みのシャープな見た目とマッチした性能のヘッドと言える。
「MOIの目安としてはヘッド体積×10くらいが標準的ですが、それよりも小さくなっています(4158g・cm2)。MOIを大きくせず、フェース側に重量を寄せることで低スピンにしている。また、HSが速い上級者やプロにとっては、球がつかまりすぎません。HSが速い人向けのモデルですね。

「Qi35」ドライバーを一斉計測 "コア"はけっこうやさしい

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計測ヘッドの表示ロフトは10.5度

一方で、前後のウエートを入れ替えて後方を重くすると、一般的に“ちょうどいいバランス”になります。ノーマルポジションに比べて、重心が深くMOIが大きくなる。ロースピンの性能がある上で、もう少し扱いやすくなるイメージです。ウエートの配置による違いが表れていますね」

日本のベテランが真っすぐ打ちやすい「MAX LITE」

丸型のヘッドで投影面積が大きい「Qi4D MAX」は、見るからに安心感がある。

「前作(Qi35 MAX)に比べればMOIはやや落ちていますが、それでも十分な大きさがあって(5716g・cm2)、ミスヒットの寛容性が保たれている。球のつかまりやすさや上がりやすさを含めて、かなりやさしく作られています」

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計測ヘッドの表示ロフトは10.5度

球のつかまりやすさは重心角が大きいこと(31.7度)、上がりやすさは重心深度が深いこと(48.2㎜)がポイントになる。

興味深いのは、同じ“MAX系”でも「Qi4D MAX LITE」はやや毛色が異なり、やさしさがありつつ絶妙なバランスに仕上がっているとのこと。オススメは日本のゴルフ歴が長い人だ。
「重心のデータを見ると“扱いやすくて真っすぐ行く”という点で、バランスが整っているヘッドです。シニアをはじめゴルフ歴が長くて上手いけれど、もう少し楽をしたいというゴルファーにはかなり魅力的でしょう。とくに日本人は、ヘッド重量が重いモノを敬遠する人もいますが、このモデルはそうではありません(ヘッド重量194.8g/今回計測した中で最軽量)。シャフトを気持ちよく動かせて、ヘッドはニュートラルでストレートに打ちやすい、という印象です」

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計測ヘッドの表示ロフトは10.5度

ヘッドが軽いと振り切りやすく感じる人は多いが、軽量化すると設計の自由度はどうしても抑えられる。それでも十分なMOIを確保しながら(5338g・㎝2)、いかに真っすぐ打ちやすくするかをブラッシュアップして開発されたモデルと言えるだろう。

4つのウエートが備わり守備範囲が広い“コアモデル”、最浅重心のロースピンでぶっ飛ばせる「LS」、大MOIでブレずに飛ばせる「MAX」、最軽量ヘッドで軽やかに振れる「MAX LITE」。バリエーションに富んでいて、それぞれの個性が光る「Qi4D」シリーズの中に、自分にとって“ドンピシャ”なドライバーが必ずある!?

次回(#4)は、キャロウェイの「クアンタム」シリーズに迫る。

文:新井田聡
クラブ写真:小林司
取材・編集:中島俊介

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松吉宗之(まつよし むねゆき) プロフィール

ジューシー株式会社の代表取締役。ゴルフクラブメーカーにて、クラブの設計開発に20年以上携わる。2018年にジューシー株式会社を設立。自社製品だけでなく、OEMでの設計も行う。3D CADを用いたデジタル設計をいち早く導入し、数値に裏付けられた革新的な性能のクラブを多数開発。その傍ら、膨大な数のクラブヘッドを自身で測定し、ゴルフクラブの性能や製法の進化を独自に研究し続けている。

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