新製品レポート

インパクトの手応えと飛距離がピッタリ まさに距離感の合うアイアン「APEX PRO」

2023/12/11 07:00
AI設計により番手別に異なる素材を採用した「APEX PRO アイアン」を調査

2014年に初登場して以来、キャロウェイのトッププロを勝利に導いてきたツアーモデル「APEX」シリーズアイアン。9月には、「APEX PRO」「APEX CB」「APEX MB」の3機種が新作として登場した。今回は2年ぶりにリニューアルされた5代目「APEX PRO アイアン」の特徴をクラブの知識が豊富なクラフトマン・ミタさんが解説。さらにアスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)、ベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)には試打した評価を語ってもらった。

クラブの特徴は?

バックフェース下部にはタングステン製の黒いプレートウエートが装着されている

【ミタさん】
今回紹介するのは、キャロウェイの「APEX PRO アイアン」です。ツアープレーヤーの要望に応えるため、抜けが良く操作性の高いモデルに仕上がっています。

【シオさん】
バックフェースのデザインがカッコいいです。ただ、ツアーモデルで「PRO」という名前がついているので、なんだか難しそう…。アマチュアでも使えるのでしょうか?

【ミタさん】
誤解されやすいかもしれませんが、今回発売された3タイプの中では最もやさしいアイアンです。中空構造になっているためミスヒットに強く、「MB」「CB」と比べて寛容性が高く、アマチュアでも十分に使えると思います。

【ヨシダくん】
アマチュアでもチャレンジできる上級者モデルという感じですかね。ヘッドはどのような特徴がありますか?

6番~PWは軟鉄鍛造のフェースとボディの中空構造。ヘッド内部にウレタン素材やウエートは搭載されていない

【ミタさん】
4~5番のフェースにはカーペンター455スチールという「パラダイム アイアン」のフェースにも使われていた鍛造素材を採用しています。また、重心を下げるためにタングステンウエートを内蔵し、打感を良くするウレタン・マイクロスフィアも搭載。ロングアイアンに求められる飛距離性能を発揮してくれます。6番以下はフェースとボディが軟鉄鍛造で、飛距離コントロールと安定したスピンを両立した設計です。中空構造でもマッスルバックのような打感を実現するべく、プロや上級者の打点が集まるフェース下部を厚めにしています。

【シオさん】
番手別に構造や素材を変えていて、さすがツアーモデルですね。ロフト角はどうなっていますか?

【ミタさん】
7番アイアンで33度、PWで45度なので、ツアーモデルとしては標準的なロフト設定です。

【ヨシダくん】
他社の中空アイアンはストロングロフト系が多かったので、このロフト帯は珍しいですね。さっそく打ってみましょう!

試打した印象は?

ツアーモデルにしてはトップブレードに厚みがあり、安心感のある見た目

【シオさん】
構えたときの印象は、セミグースネックになっているので安心感があります。ヘッドサイズは小ぶりですが、やさしく見えます。

【ヨシダくん】
良い顔をしていますね。キャロウェイは「スティールヘッド X-14 プロシリーズ アイアン」の頃から少しグースのあるツアーモデルを作るのが上手い。グースなのにスクエアにセットしやすいネックラインになっています

【ミタさん】
実際に打ってみて、中空アイアンの打感はどうでしたか?

ヨシダくんは1球目を打つなり、「これ良い…好きかも」と気に入った様子だった

【シオさん】
軟鉄鍛造1ピースのような超柔らかい感じではありませんが、アスリート向けのアイアンだなと思えるような良い打感でした。

【ヨシダくん】
フェースに乗る柔らかさとボールを飛ばす弾き感を融合したフィーリングで、イマドキのツアーモデルという感じです。

【ミタさん】
飛距離はどうですか?

シオさんとヨシダくんの「APEX PRO アイアン」(7番33度)試打データ

【ヨシダくん】
僕は普段ツアーモデルのマッスルバックを愛用していますが、ほぼ同じロフト角なのに「APEX PRO」の方が7~8ydくらい飛んでいます。バックスピンが6000回転を超えていながら、170ydも飛んでいたので優秀です。インパクトで自分が感じた手応えと、実際の飛距離がほとんど同じだったのが良かったです。これは距離感が合いそう。

【シオさん】
たしかにロフト33度の7番アイアンとしては飛んでいます。しかも、打ち出しが高かったので、アマチュアのヘッドスピードでも高弾道でグリーンを狙えると思います。

【ミタさん】
操作性はどうでしたか?

ソールはリーディングエッジとトレーリングエッジが面取りされており、抜けの良さを実現

【ヨシダくん】
球筋の打ち分けもできますし、コントロールショットも打ちやすい。ソールの抜け感も良いので、ラフやバンカーでもしっかりスピンが効いたボールが打てそうです。

【シオさん】
最近打ったアイアンの中では「ミズノプロ 245」よりもやさしく感じました。同じ中空構造のツアーモデルですが、私の中では寛容性なら「APEX PRO」、打感なら「ミズノプロ 245」という印象です。

まとめ

2人ともオール4をつけた優等生モデル。コンパクトなヘッドだが、寛容性と飛距離性能を備えたアイアン

【ミタさん】
APEX PRO アイアン」は寛容性が高いモデルで、打感や操作性はツアープロも満足できる性能だと思います。アスリートゴルファーでアイアンを“もう少し”やさしくしたい人や、一般的なツアーモデルより“もう少し”遠くに飛ばせるモデルを探している人に合うでしょう。決して極端に低重心になっているわけでもないですし、飛び系アイアンのようなぶっ飛びは期待できません。振り抜きやすさや操作性など上級者モデルの特性はそのままに、“もう少し”やさしさや飛距離が欲しい人におすすめです。

【ヨシダくん】
私のような40代のアスリートゴルファーにとってはオール4でしたが、50代以上で競技に出ているシニアアスリートの方が打てば、もっと高い評価になると思います。

■ 試打したクラブのスペック

キャロウェイ APEX PRO アイアン(2023年)
●番手(ロフト角):7番(33度) ●シャフト:ダイナミックゴールド MID115 ●硬さ:S200

キャロウェイ APEX PRO アイアン(2023年)

■ マイクラブ情報

シオさん:タイトリスト T300 アイアン(2021年)
●番手(ロフト角):7番(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

ヨシダくん:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7番(34度) ●シャフト:KBS $テーパー 125 ●硬さ:S+

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ ヨシダくん プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

キャロウェイ
ほどよい飛距離に ツアーレベルのコントロール性能を融合
発売日:2023/09/01 参考価格: 191,400円