テーラーメイド特集
2023/03/29

カーボンウッドが追求する理想の打音と打感

連載:ギアの進化はカーボンウッド時代へ

サウンドエンジニアリングチームを結成して音を研究

カーボンウッドの開発チームの中に「サウンドエンジニアリングチーム」も参加し、打音の研究をしている(撮影:岡崎健志)

もう一つの要素である打音は、打感と密接に関係している。甲高い金属音がすれば、打感は硬く感じ、低めの打音であれば、やわらかく感じるといった具合だ。

「どんなに飛ぶクラブが作れても、打音の悪いクラブは世に出せません」と柴崎は言う。
「テーラーメイドでは、ゴルファーにとって心地のいい音を研究しています。そのため、『ステルス』シリーズのカーボンウッド開発チームにも、『サウンドエンジニアリングチーム』を結成し、参加しています」

サウンドエンジニアリングチームの研究によると、ゴルファーが心地よいと感じるのは高音でもなく、低音でもない。中音域で長く、響く打音との結論に至っているという。

ヘッド剛性を高めることで心地よい打音に

カーボンフェースを採用した「ステルス」では、ヘッドの剛性を高めることで最適な打音を生み出している(撮影:岡崎健志)

“カーボンウッド時代” の到来を標榜する「ステルス」シリーズは、打音づくりの方法も変化している。

今まで主流だったチタンのフェース素材であれば、自然と高い金属音が発生する。しかし、カーボンフェース単体で見ると、インパクト音は低くなってしまうという。
「そのため、フェースだけで考えるのではなく、ヘッド全体の剛性を上げることで打音が高くなる工夫をしています。ユーザーの皆さんからも、打音への違和感はないという声をいただいています。我々としては、単にチタンフェースのような音を目指しているわけではなく、より理想の音を目指して開発しています」

同じクラブでも、ヘッドスピードによって打音は変化する。遅いと打音は低くなり、速いと高くなるそうだ。
「米国に比べ、日本のゴルファーの方がヘッドスピードは遅めになります。そのため、日本モデルのクラブでは、チタンフェースの時代から音を高くする工夫をしています。ヘッド内部にサウンドリブと呼ばれる金属の板を入れたりするのですが、これもヘッドの剛性を高めて、音を高くする工夫の一つです」

日本人は『フィーリング』のこだわりが強い

「フィーリング」への要望は、米国よりも日本の方がこだわりが強いと話す(撮影:岡崎健志)

音のチューニングはユーザーのヘッドスピードや好みまで考えた上で行われている。性能だけではなく、ゴルファーの感覚に訴える。こうしたこだわりが人気モデルの裏側には隠されているというわけだ。

「日本では打音と打感を分けて考える方が多いですが、米国では『フィーリング』という合わせた表現が使われます。打音と打感は互いに深く関係しているので、米国のように一緒ととらえるのも正しいといえます。ただ、そこを分けて考える日本人ゴルファーはよりこだわりが強いということでしょう。今後、クラブだけでなくボールも変化していくので、それに合わせて『フィーリング』の研究、開発は続いていくと思います」

素材やクラブがどんなに進化しても、気持ちのいい打音と打感は必須条件となる。それがゴルファーの心を満たしてくれることに変わりがないことは明白だ。

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