クラブ試打 三者三様

SIM2 MAX フェアウェイウッドを筒康博が試打「設計意図が明確」

2021/04/22 05:00

テーラーメイド「SIM2 MAX フェアウェイウッド」の評価は!?

革新的な構造で今春の話題をさらった、テーラーメイド「SIM2」シリーズのドライバー。中でも「SIM2 MAX ドライバー」は着実に売り上げを伸ばし、それに比例するように「SIM2 MAX フェアウェイウッド(以下FW)」にも高い評価が集まっている。そんな注目のFWを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?

「2打目以降を前提にしたFW」

3Wが苦手でいつも低弾道の筒でも高さが出ていた

―率直な印象は?
「見た目の安心感とソールの抜けの良さのバランス設計が、とても良いモデルです。抜けの良さに定評のあった名器『Vスチール』の形を踏襲した『Vスチールソール』の効果が大きく、基本的にティショットではなく、芝の上から=セカンドショット以降で使うことを前提にしたFWだと感じました」

前作に比べ形状がよりシャープに進化した「Vスチールソール」

―セカンドショット以降を前提…?
「はい。ここまでサイズの大きなヘッドでは、一般的に抜けの悪さを連想してしまうところですが、ソール中央部から後方にかけてせり上がっていることで、地面に接地する面積が非常に狭く、芝に突っかかる心配が不要です。『SIM2』シリーズのドライバーは、ソール後方に存在感があるのに対し、FWはその存在感をしっかり消している。同社の設計の意図をはっきり感じることができました」

「低重心にしているものの上半分の厚みがある点が◎」と筒

―ティアップ時はメリットを感じられない?
「私のHS(平均40~41m/s)でも、ボールがしっかり拾いやすく上げやすいということは、ティアップした時には、スピン量の多さを距離が出にくいデメリット要素に感じてしまう人がいるということ。ライの悪い場所からは『上がってほしい=スピンが入ってほしい』と願うものですが、ティアップすると『もっと飛んでほしい=上がりすぎないでほしい』という逆のニーズが生まれてしまうものです」

SIM2 MAX(左)はSIM2(右)と比べて投影面積もかなり大きめ

―ソールの抜け以外で高評価な要素は?
「クラウンは軽量カーボン素材を使用しているのですが、上半分に厚みがあることで、ヘッド上下の重量バランスの差をなるべく減らす部分がうかがえます。下が重すぎたり、上が重すぎることがなく、軌道を乱すことで発生するすくい打ちのミスを抑えてくれます。FWが苦手で低い弾道の多い私でも、ボールを理想的な高さまで上げてくれるのには驚きました」

強靭で柔軟性を兼ね備えた「ZATECHチタン」をフェースに採用したSIM2

―兄弟モデル「SIM2 FW」と比べてどう?
「『SIM2 MAX』とは異なり、スピン量を抑えて強弾道にするために、低重心化の設定になっています。ただ、これがヘッド下部を重くしすぎてしまい、振り心地に違和感を覚えました。対象ユーザーで言うと、FWでもインパクトにかけて上から下へ、ダウンブロー軌道でターフを取っていくゴルファー向きのFWかなと思います」

「上下半分の重量の比率のバランスが秀逸」と筒

―どのような人向き?
「パー5で必ず2オンを狙うような人以外は、『SIM2 MAX』をおすすめします。アベレージゴルファーのターゲット層で言えば、『SIM2 MAX』9: 『SIM2』1くらいの割合と思っていただいて良いでしょう」

大きさが気になり構えやすさだけ3.5点△【総合評価3.9点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】3.5

・ロフト角:15度(3W)
・シャフト:TENSEI BLUE TM50(硬さS)
・使用ボール:リトル・グリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトル・グリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。

テーラーメイド
「Vスチールソール」を進化させ、さらなる低重心に
発売日:2021/02/19 参考価格: 44,000円