クラブ試打 三者三様

Carrys Qを筒康博が試打「打音は△だけど…」

2021/07/08 05:00

プロギア「Carrys Q」シリーズの評価は!?

ラフ、傾斜地、フェアウェイバンカーなどの窮地から助ける新発想のクラブとして、2018年に登場したプロギア「Q」シリーズ。2代目「Carrys Q(キャリーズ キュー)」はフェアウェイからやさしく打てるクラブとして加わり、4種類のロフト角が用意された。とにかく上がる、低重心ヘッドでキャリーが出るというコンセプトの新シリーズを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?

「打音が大きく響きすぎ」

※Q5、Q4、Q3、Q3+のシリーズ4本の平均値

―率直な印象は?
「気になる部分がいくつかあった中で、一番引っかかったのは打音です。ソールにあるスリット(溝)の反響だと思うのですが、音が大きく響きすぎ。フィーリングにも悪影響を及ぼし、打感が軽すぎて当たりがやや薄く感じてしまいます。おそらくコースで打てば、気にはならないとは思うのですが…

分類すると(左から)FW想定のQ3+とQ3、UT想定のQ4とQ5

―コースでは気にならない…?
「はい、理由はふたつあります。ひとつは、練習場のような屋内での音の響き方は、コースではしないということ。反響するものがない屋外なら、それほど気にならなくなると思います。もうひとつは、ナイスショットが出るから(笑)。結果が良ければすべて良し。音や感触など細かいことが気にならないほど、結果にコミットしてくれるシリーズだと思います」

チタンボディとタングステンウエイトを組み合わせた低重心ヘッド

―他に気になる点は?
「見た目のヘッド形状と、実際に打った時に感じる重心深度が違う点です。構えて上から見ると、ボールが上がりやすい深重心設計に見えますが、実際のフィーリングでは浅重心に感じられます。しゃくり打ちや、打ち込みすぎといったミスを防ぐために、フェース前方に重心を置いているためだと思われます。ボールにヒットしてくれる確率は高く、前に飛ばすことだけを考えれば納得の設計なのですが、見た目とのギャップに戸惑う人は多いように感じます」

接地面積の小ささで滑りと抜けの良さを強調したソール面

―ヒットする確率が高いということは、ラフに強い?
「いいえ。ラフに強いというより、シンプルにボールに当てやすい。ボールをラフから掻き出せるとかソールの抜けがいいというほどではなく、ボールに当てて前に進むという基本的な動作がしやすいモデル。それだけミスを抑えることに特化した構造と言えます」

クラウン中央の色分けされたマークにより番手がひと目で分かる細工

―他に気になる点は?
「そうですねー…、番手ごとに赤、オレンジ、緑、青と色分けされたクラウン中央のマーク。試打した時間が夜だったからかもしれませんが、それぞれのカラーに目が慣れるまで時間を要しました。たぶん初代『Q』も含め、このシリーズにハマるとどんどんロフトバリエーションを買い足すことで、番手が分かりにくくなることへのメーカー側の配慮だと思いますが、私には色がチカチカして見え、集中力を欠いてしまう印象を受けます」

「結果が良いとだんだん好きになる可能性がある」と筒

―どのような人向き?
「ゴルフを始めたばかりで、ドライバーとアイアンは持っているけれど、FWとUTは何にしよう? と悩んでいる人。打音もマークの色もそうですが、細かな性能やデザイン性よりも、とにかく“助ける”ことを重きに置いたコンセプト。とにかく良いスコアで回りたい、という初級者の方に試してもらいたいクラブです」

3点△から5点◎まで 評価差が大【総合評価3.6点】

【飛距離】4.0
【打 感】3.0
【寛容性】5.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】3.0

・ロフト角:16.5度(Q3+)、19度(Q3)、20度(Q4)、24度(Q5)
・シャフト:オリジナル レギュラー(硬さ表示なし)
・使用ボール:市川サンライズゴルフセンター専用レンジボール

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。

プロギア
窮地を超える、Qがある。
発売日:2021/03/19 参考価格: 46,200円
プロギア
窮地を超える、Qがある。
発売日:2021/03/19 参考価格: 38,500円