スリクソン ZX4 アイアンを筒康博が試打「中空嫌いでも納得」
ダンロップ「スリクソン ZX4 アイアン」の評価は!?
住友ゴム工業(ダンロップ)の「スリクソン ZX」シリーズに、「スリクソン ZX4 アイアン」がことし3月に追加された。定評のあった同社アイアン型ユーティリティの性能を、アイアンセットに盛り込んだ中空構造モデル。飛距離性能と寛容性をあわせ持ち、見た目も精悍な中空アイアンをヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?
「4番か5番を単品で入れたくなる」
―率直な印象は?
「中空アイアンは打感がぼやけ、ボテッとしてシャープさが足りないという理由から、個人的にあまり好みではないのですが、このモデルに関してはアリだなと感じました。それだけ納得させられる要素が詰まっている印象です」
―アリだなと感じた理由は?
「中空アイアンの弱点のひとつが、構えて上から見た時のトップラインの厚みですが、この『ZX4』はある程度膨らみはあるものの、ぎりぎりすっきり見えるデザインに仕上げてあります。必要以上にオフセットが付いておらず、つかまり過ぎるイメージが湧かない点も好印象。中空構造でもさすがのツアーモデル『スリクソン』シリーズといった顔をしているので、これはアリだなと感じました」
―ユーティリティ(以下UT)が苦手な人にマッチする?
「そうですね。実は、つかまりの良いUTやショートウッドが苦手という人は結構いて、飛距離と構えやすさにこだわるタイプは、中空アイアンを求めることが多いようです。ウッドのようにフェース面の縦横方向に丸みがないアイアンは、フェースがフラットでターゲットに合わせやすい。実戦向きの中距離クラブとして、キャディバッグに1、2本入れたくなるニーズに応えてくれそうです」
―弾道はUTやショートウッドと同等レベル?
「高さとボール初速がしっかり得られて、飛距離もきちんと出ます。グースがそれほど効いていないので左に引っかけそうな雰囲気がなく、程よくつかまる印象。重心位置やデザインの意図として、中空アイアンのマイナス面を払拭する細工が十分に設けてあるように感じました」
―シャフトの印象は?
「『ZX ドライバー』シリーズのときと同様に、純正シャフトの『ディアマナ ZX』との相性がすごくいいです。確かに構造的な軽さはあるのですが、スイング中にふわふわした感覚はなく、ヘッドの効きも得られます。正直、アイアンはシャフト60g台だと軽すぎると思っていたのですが、シャフト長のあるUTとして考えるなら、まったく問題ありません。ヘッドだけでなく、クラブ全体の完成度の高さが、振り心地に良い影響を与えていると思います」
―どのような人向き?
「松山英樹選手の『マスターズ』制覇の影響で、『スリクソン ZX』シリーズの売れ行きがいいと聞いています。多くの海外ブランドも高品質のモデルをそろえていますが、日本人として国産の代表モデルを一度は手に取ってみたい、という需要は確実に増えている。そういう意味では、アイアンセットを丸々買い替えるのではなく、4番、5番あたりを単品として使い始めるモデルとして最適なアイアンと言えます」
打感以外は納得の高得点【総合評価4.2点】
【飛距離】4.5
【打 感】3.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:28.5度(7I)、21度(4I)
・シャフト:ディアマナ ZX for IRON(硬さS)
・使用ボール:市川サンライズゴルフセンター専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、ENEOS市川サンライズゴルフセンター
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。