フォーティーン PC-3 アイアンを筒康博が試打「一周回って個性的」
フォーティーン「PC-3 アイアン」の評価は!?
やさしさを求めるアベレージゴルファーに向けて発売されたフォーティーン「PC-3 アイアン」。バックフェースがポケット型のキャビティ構造になっており、純正シャフトは重量帯の異なる3種類のカーボンモデルがラインアップされている。そんな特徴的なアイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?
「あえてターゲットを選んだモデル」
―率直な印象は?
「ポケットキャビティ構造のメリットでもデメリットでもある部分ですが、ボール初速が出やすく弾道の高さを得やすい点は、この『PC-3』も例外なく同じことが言えます。その上で気になるのは、少し打音が高く聞こえたり、打感が硬く感じてしまうところです」
―軽さは気にならない?
「全体的に軽さは感じられますが、単に軽くてブンブン振り回すタイプではありません。しっかり高さが出るというコンセプトが強く感じられます。飛距離だけを考えているわけではなく、パワーがなくてもボールを高く上げられる特性。それほど強いストロングロフト設定にしていない点(7番で30度)でも、飛距離だけを意識したモデルではないことがうかがえます。飛び系が一般化した現在において、一周回ってエッジが立ったアイアンではないでしょうか」
―エッジが立ったアイアン…?
「はい。飛距離を求めて、ロフト角が立ったモデルが多くなったいま、逆に立ち過ぎてスピン量と打ち出し角が得られず、ボールが上がり切らない懸念点が発生してしまった。最近では高さを出しやすくしたモデルも見られますが、7番よりも大きい番手で、弾道が低くて悩んでいるゴルファーはまだまだ多いです。『PC-3』は少々薄めに当たっても高さが出てくれるので、高さの寛容性による安心感が強みになる。飛距離を求め過ぎないことで、一周回って利点を再認識できたという点で、個性的なモデルだと感じました」
―逆にそこが【操作性】3.0点の要因?
「そうですね。はっきり言えるのは、操作性を求めるアイアンではないということ。ドローやフェードを打ち分けたり、低めにコントロールするモデルではありません。マッスルバックやプロユースのモデルと差別化するために、同社はあえてこのモデルを作ったように感じます。わざわざネーミングにPC(ポケットキャビティ)と入れるくらいなので、明確なターゲットを示しているのだと思います」
―あえてそこをターゲットに?
「同社製でも現在マッスルバックやプロユースモデルはそろっていて、操作性を求めるなら、そちらを使ってくださいという意味が込められていると思います。現状のラインアップを見直した際、穴となっていたのがそこ(=高さが出しやすいモデル)だったということ。あえて選びやすくするために、ターゲットを絞ったのだと推測します」
―どのような人向き?
「ラウンド頻度の少ない、練習量もそれほどたくさん取れないゴルファー向き。個性的なモデルなので、類似クラブはないのですが、ターゲット層で言えば、ヤマハの『インプレス UD+2 アイアン』といったところでしょうか。『UD+2』は飛距離にも特化していますが、シンプルにそのままコースで使えて、すぐに結果が出せるという面で、同じカテゴリーに入ると思います」
満点◎あり・3点△ありの個性派【総合評価4.0点】
【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】5.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】3.5
・ロフト角:30度(7I)
・シャフト:FT-40i/50i/60i(すべてワンフレックス)
・使用ボール:市川サンライズゴルフセンター専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、ENEOS市川サンライズゴルフセンター
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。