クラブ試打 三者三様

テーラーメイド P790 アイアンを西川みさとが試打「見た目で避けていたら損」

2021/11/02 05:00

テーラーメイド 「P790 アイアン」の評価は!?

アスリートモデルでありながらミスヒットに強く、飛距離も稼げる中空構造のテーラーメイド「P790 アイアン」。2017年の初代から二代目(19年)、そして今作と基本コンセプトを変えないまま細かい性能に磨きをかけ、正統進化を続けてきた。三代目はボールが上がりやすく、高い直進性をも実現するという。そんな“極まった感”の強い人気作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「ぶっ飛ばないけどイメージに合う飛び」

どストレートの結果に直進性の高さが実証 本人も納得の弾道

―率直な印象は?
「ボールが思っている以上に飛んでいる気がします。一般的に“飛び系”と呼ばれるアイアンは、とにかく前に飛ぶ強い弾道ですが、この『P790』はスピンもある程度効いている上で、飛んでいる感じがあるのが特徴。弾道の高さやスピン量をコントロールしつつ、イメージに合わせられるメリットがあります」

キャッチコピーは『常に理想を追い求めるゴルファーのために登場』

―見た目の印象は?
「顔もすごいキレイです。構えて上から見る分には、それほど小さくも感じない…まぁちょっと小さいかなと思えるくらいのサイズ感ですが、このまま店頭に並んでいるだけでは、たぶん私は手に取らないと思います。HS40m/s未満の私には到底、扱える代物ではない。上級者限定のツアーモデルといった雰囲気があり、初めから選ぶものではないという余計な先入観が、いろいろ邪魔をしてしまう気がしました」

新開発「8620カーボンスチール構造」によりヘッドの要所で薄肉化を実現

―実際に打ってみると全然違う?
「はい、全然違います。これほどギャップがあるアイアンだと、いままで知らなかったことを後悔してしまうほどです。十分ボールが飛んでいる感じがするのに、高さも出ている感じがある。ちゃんとグリーンに止まりそうなので、とても実戦向きなアイアンと言えます」

左が今作2021年 右が前作19年モデル。バックフェースのデザインが簡素化

―前作「P790 アイアン(2019年)」と比べてどう?
「試打したシャフトが違っていたので(21年モデル=『ダイナミックゴールド EX ツアーイシュー』、19年モデル=『ダイナミックゴールド 120』 ※硬さはどちらもS200)前作のほうがちょっとヘッドが重く感じられました。今作のほうがインパクト前後の振り抜きは良かったので、シャフトとのマッチングもベスト。打感はやや硬く感じましたが、それも微小な差で、どちらも心地よいやわらかさを持ち合わせています」

形状や大きさは前作のまま 薄いトップブレードは変わらず

―他社の最新モデルと比べてどう?
「そうですねー…。やさしくて飛距離が出せる特徴と操作性も加味している部分で、タイトリスト『T200 アイアン』に近い印象を受けます。飛距離でNo.1だったキャロウェイ『エピック MAX FAST アイアン』とはまったく違う感じ。逆にかなりシビアで他モデルと違うところにいるのが、ピン『i59 アイアン』。そういう図式が最新モデルの関係性だと思うのですが、合っているでしょうか…」

「買い替えを検討したくなるほど性能◎」と西川

―どのような人向き?
「見た目では上級者しか扱えないような印象ですが、実際は幅広い層のゴルファーに合うように感じます。非力な女性ゴルファーでもいけるのかなー…。高さも飛距離も楽に出ますし、女性でも扱えるのかもしれません。とにかくどんなゴルファーでも、一度は打ってみてほしいと思えるモデル。決して見た目だけで判断しないでください(笑)」

HS30m/s台でも扱えて高評価【総合評価4.2点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:30.5度(7I)
・シャフト:ダイナミックゴールド EX ツアーイシュー(硬さS200)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。

テーラーメイド
発売日:2021/09/04 参考価格: 181,500円