ディアマナ PDを筒康博が試打「今どきのヘッドの方が合う」
三菱ケミカル「ディアマナ PD」の評価は!?
2018年発売「ディアマナ DF」の進化版として登場した、第5世代の第2弾モデル「ディアマナ PD」。2022年モデルのヘッドの多くにカスタムラインアップされているヘッドの種類を選ばない合わせやすさと安定感は、どんなゴルファー向きなのか!? ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は?
「これまでのディアマナにはない走り感」
―率直な印象は?
「『ディアマナ』のイメージにはない走り感があり、かなりヘッドとの相性を要求するように思います。シャフトを長めにするか、重めのヘッドにするか、重心距離が長くて深い高慣性モーメントのヘッドにするか。そういった特定の設定にマッチするモデルのように感じられます」
―特定の設定にマッチ…?
「はい。ヘッドの返りが遅ければ遅いほど走りを感じるモデルなので、もう少しヘッドが軽かったり、ブリヂストン『B2 ドライバー』のような操作性の高いヘッドだと、じゃじゃ馬のように暴れてしまう危険性があります。今回試打したヤマハ『RMX VD59 ドライバー』のような高慣性モーメントのヘッドだと、すごく飛ばせる組み合わせになりますが、性格の違うヘッドには合わない。使用する長さや組み合わせるヘッドによって、評価が割れる個性の強い『ディアマナ』だなと思います」
―特性は走り系?
「すごく中間部がしなるので、全体としてはパリッとした印象ではあるのですが、ダウンスイング時のしなやかさに、やや粘り感が残ります。前作『ディアマナ DF』のように、粘るから先がしっかりしている特性とは違い、切り返しで粘る割には、最後にムチのように復元してくれます」
―全く新たな「ディアマナ」という感じ?
「そうですね。これまでの『ディアマナ』は暴れにくい、ボールが曲がらないという性質でしたが、あえて動きの量を増やしたイメージです。“今どきのヘッドに合う”というよりも、“今どきのヘッドの方が合う”という言い方が正しい気がします。特に昨年発売の『ディアマナ TB』とは、あまりにも違うので驚きました」
―「ディアマナ TB」とあまりにも違う…?
「はい。『TB』もいわゆる第5世代に分類されますが、多くのユーザーが『TB』派になるので、『PD』はあえて振り切ったような気がします。もともと持っている『ディアマナ』のイメージを覆す、アンチテーゼ的なモデル。好き嫌いをはっきり分け、本来のカスタムシャフトが担う役割を、ちゃんと理解して作られた印象です」
―どのような人向き?
「飛距離性能も直進性も両方欲しい、欲張りなゴルファー向きではないでしょうか。今どきの高慣性モーメントヘッドを使っていて、もっと飛ばしたい、もっと曲げたくないという、どちらもいいとこ取りしたい人に最適。ヘッドとの相性がはっきり分かれるので、ぜひ試打をして見極めてほしいと思います」
点数では走り感=粘り感【総合評価4.3点】
【走り感】4.5
【粘り感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】3.5
【デザイン】5.0
・使用モデル:40、50(硬さS)
・使用ヘッド:40Sのとき/ヤマハ RMX VD59 ドライバー、50Sのとき/RMX VD ドライバー(※どちらもロフト角10.5度)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。