クラブ試打 三者三様

TW757 Type-D ドライバーを筒康博が試打「浅重心+横ブレ対策」

2022/05/19 05:00

本間ゴルフ「TW757 Type-D ドライバー」の評価は!?

ソール部分にカーボンで覆った溝「カーボンスロット」を搭載した本間ゴルフ「ツアーワールド TW757」シリーズ。カーボンの新たな可能性を提唱する新モデルは、果たしてどのような飛びを生むのか!? 今回はつかまり重視型「TW757 Type-D ドライバー」を、直進性重視型「TW757 Type-S ドライバー」と比べつつ、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「他社とは異なる正真正銘ツアーモデル」

西川と同じくつかまり切らずやや右方向が目立ったが…

―率直な印象は?
「前作『TW747 ドライバー』のときと同じ印象ですが、他社と比べて重心がかなり浅く感じられました。現在、多くの他メーカーと比べると、全く異なるコンセプトでつくられていることがわかります」

ウエイトがトウ&ヒール側に配置されたDと中央の前方後方に配置されたS

―全く違うコンセプト…?
「はい。現在のドライバーは深い重心位置で、しかもロースピンに打ち出せる反発性能の高いモデルが主流です。その中で、この『TW757』シリーズは浅重心で、良くも悪くもロングアイアンの延長にある、強い打球が打てる点が特徴。フェース下側で当たったときは、少しボールがお辞儀するような、上がり切らない弾道が目立ちますが、しっかりとフェース上側で当てられたときは、ロースピンの強弾道が出せる。狙い通りの打点は求められますが、ヘッドの飛距離性能自体は高いといえます」

「バーチカルスリット(縦溝状の偏肉)フェース」により打点がブレても初速が落ちにくい

―典型的なツアーモデル?
「そうですね。いまやツアーモデルと呼ばれるものでも、他メーカーは意外に初中級者でも扱えるターゲット層の広さを感じますが、『TW757』シリーズは正真正銘ツアープロが求める強い球質と操作性を満たしてくれるモデルに仕上がっています。プロのためという存在意義は強いですが、スピン量が少ないというメリットが、アマチュアにも曲がり幅を抑えるという恩恵になってくれると思います」

スリット(溝)を可能な限り薄肉化してカーボンで覆うことで強度を確保

―「カーボンスロット」の効果は?
「世界初のテクノロジーということで、他モデルと比較できないというのが正直なところです。私が注目した点は、『カーボンスロット』で生まれた余剰重量が、どこに配分されたかということ。周辺に配されたとは思うのですが、それが後方ではなく左右だったのではないかと考えられます。テーラーメイド『ステルス』やキャロウェイ『ローグ ST』のように重量を後方に持ってくるケースが多いなか、『TW757』は重心を浅めにキープしながら、左右に振ることで横ブレを防ぐ役割を果たしているように感じます」

ボールの上げやすそうなイメージが湧くシャロ―バック形状(※画像はType-D)

―たわみ効果については?
「『カーボンスロット』の主な要素としては、たわみ効果だと思います。ヘッド上部(クラウン)と下部をカーボンにしたことで上下のたわむ量のズレが生まれにくく、インパクト時にロフト角のまま、上下均等にたわみ効果を発揮する。構造意図としては全く違いますが、ダンロップの『リバウンドフレーム』(剛性の高・低エリアを交互に配置した4層構造)に近い効果が得られると予測します」

「意外だったのは小ぶりのType-SがType-Dと寛容性が変わらない点」と筒

―どのような人向き?
「主流となっている高慣性モーメント&深重心ドライバーとは一線を画す性質のため、スコア100を切っている中級者以上のゴルファーがメリットを実感できるモデルかなと思います。誰が打ってもつかまって、楽に上がるというドライバーではありません。デザインもコンセプトも全く異なりますが、性能としてはロースピンで強弾道を生むテーラーメイド『ステルス プラス ドライバー』に近い面があると感じます」

欠点のない上々評価【総合評価4.4点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:VIZARD for TW757(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。