ヨネックス EZONE パターを筒康博が試打「打感にこだわっていないものの…」

2022/09/15 07:00

ヨネックス「EZONE パター」の評価は！？

福岡大学・清永明名誉教授との共同開発にて、2013年に誕生したヨネックス「トライプリンシプルパター」。“1mのパットが90％以上の確率で入る”という、短い距離の強さに特化したモデルは、「EZONE」シリーズへと受け継がれ、進化を果たしている。今回は「EZONE TP-S600 パター」「EZONE TP-GR2 パター」、同シリーズのブレード型「EZONE P-01 パター」を有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は！？

「ショートパットに強くロングパットで恩恵を受ける」

※5mの距離で検証

―率直な印象は？
「見た目通りの性能で、他メーカーと比べて“異質”であることは確かです。ただ、真っすぐ強い転がりを打てる特徴としては、どのモデルより強さを発揮する性能。1～2mの距離に苦手意識があり、手がスムーズに動かなくなっている人には、しっかりサポートしてくれるパターだと思います」

カップおよび確実にカップインする許容円と同じ直径を描いた「TP-S600」

―正直ロングパットには弱い？
「ショートパットに強い特徴ですが、結果的に、ロングパットで恩恵を受けることが多い気がします。理由は、微妙なタッチが求められる下りのスライスラインで、強気に打てる人はそもそもこのパターを求めていないから。シビアな状況で、怖くて打ち切れない人だからこそ、道具＆新発想(トライプリンシプル理論)に頼る。結果として、ミドル以上のロングパットを、強気にカップオーバーできるメリットを実感できる点が、このパターの一番の特徴といえます」

TPパター専用グリップ（94g／口径60／エラストマー）

―長さ(36インチ)は気にならない？
「スペック自体もこれだけ一般的モデル(※一般的な長さは33～34インチ)と違うわけですから、偏った評価になるのは仕方ありません。それよりシャフトの性能がとても高いことに驚きました。『REXISスチールコア』は、カーボンとスチールを融合した混合素材となっていて、重量配分は扱いやすく、使い心地は計算し尽くされている印象。クラブを自分なりにカスタマイズしたいゴルファーにとって、候補に挙げたくなるパーツです」

スチールに先進カーボンを巻きつけたシャフト「REXISスチールコア」

―それほど高評価なシャフト？
「はい。例えるなら、日本製の緻密なオデッセイ『ストロークラボ』。自社で設計から製造まで手がけているわけですから、完成度の高い性能を有しています。今後、ツアー会場で違うメーカーのヘッドに、ヨネックスのシャフトを要求するプロも出てくる可能性が高い。同社がクラブだけではなく、シャフトにも定評があることを再認識しました」

左から「TP-S600」「TP-GR2」「P-01」

―打感については？
「『TP-S600』『TP-GR2』に関しては、どれだけ真っすぐ転がせるかに重点を置いているため、そもそも打感の良さを求めていないと思われます。その点ブレード型『P-01』は、ヘッド自体の打感が秀逸な上に、シャフトからくる打音と振動が素晴らしく心地よく、全体的に完成された一本。打感を求める人は、こちらを選ぶべきです」

「性能が特化している分評価の五角形はいびつになる」と筒

―どのような人向き？
「ゴルファーの中には、腰痛で悩んでいる人は多いです。長さ36インチ＆58度のライ角を生かすなら、健康的なときより前傾姿勢が十分に取れなくなった人向きといえます。やや立ち気味のアドレスで、ストロークしたい人に最適。パッティング時は極力屈まずに、パターに仕事をさせる感覚でボールを転がせるタイプ。特性を把握し、全てをクラブに頼ることができるゴルファーに向いているのではないでしょうか」