クラブ試打 三者三様

タイトリスト TSR2 ドライバーを西川みさとが試打「前作よりハードに」

2022/11/22 07:35

タイトリスト「TSR2 ドライバー」の評価は!?

スピードと安定性の向上を目指すタイトリストの新作「TSR」シリーズ。なかでも直進性と寛容性が高いタイプとして、プロからアベレージゴルファーまで人気が高い「TSR2 ドライバー」は、形状がシャープに変化して構えやすくなったと評判だ。ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が、前作「TSi2 ドライバー」と比べながら採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「ひと回りスッキリした形状がシビアさを増幅」

直進性の高さは証明されたものの 高さが思うように出ていなかった

―率直な印象は?
「そもそも『タイトリスト』ブランドは、HS30m/s台の私にとって、かなりハードでシビアな印象を持っていましたが、今作『TSR』は、そのイメージが顕著になった印象を受けます。私の力ではスピン量が足りず、思うようにボールが上がり切らない結果となってしまいました…」

キャッチコピーは『驚異のスピードと安定性』

―前作「TSi2」と比べると?
「今作のシビアさがより際立って感じられます。特にアドレスして上から見た印象が、ひと回りスッキリした形状に変化しており、ターゲットに向けて構えやすく改善されて見えますが、その分、パワーの足りないプレーヤーには厳しく感じられる顔立ち。『TSi2』のほうが後方部分が長く、フェース下側のミスヒットに対しても、ボールを上げられる寛容性の高さを感じます」

空気の流れをスムーズにコントロールする「エアロダイナミクス」

―シビアな形状がスイングにも影響する?
「ひと回りスッキリした分、プレーヤーにも重心が前寄りになっていることが分かるため、『TSi2』よりインパクトの衝撃を強く入れないと、ナイスショットにつながらないという、“勝手な使命感”が頭をよぎってしまいます。両方ともスピン量は少ない結果(平均1892rpm、『TSi2』は2061rpm)でしたが、スピン量の差以上に、『TSR2』は振り切らないといけない焦りが生まれる。見た目の厳しいイメージから、無理して強引に振りにいってしまう危険性は高いと思います」

左が「TSR2」右が「TSi2」。わかりにくいが丸みを帯びている分「TSR2」のほうが小ぶりに見える

―打感は?
「程よい弾き感があり、しかもやわらかさを感じるボールへの食いつきも味わえるため、フィーリングとしては、そこまでハードに感じません。感触だけであれば、ボールを運べるイメージがすごく湧く、ソフトな打感です。結果としてハードな印象は残りますが、カチャカチャ機能が付いているので、ロフト角を上げて調整すれば、解消できるかもしれません」

フェース内側前面の肉厚差を精密に設計することで広範囲に高い反発力を実現

―低弾道ということは風の強い日に活躍しそう?
「確かに低弾道なので、アゲンストには強いように感じます。ただ、元々ボールが上がりきらないクラブで、強風の日に限定使用することは、余程ギアの知識に長けている人でない限り、リスクは大きいと思われます。スイングの観点でも、風の強い状況では、どうしても無理やり上げてしまいたくなるため、上がり切らないモデルをわざわざ選ぶことはおすすめできません」

「(試打した)ロフト角10度以上に上げた設定なら評価も変わるかも」と西川

―どのような人向き?
「スピン量が多めのパワーヒッター向きでしょうか。ここまでシビアさがあると、どんなにパワーがあっても、女性ゴルファーには厳しいかと思われます。HSは最低でも42m/s以上。年齢を特に定める必要はありませんが、クラブをある程度まで振り切れる方でないと、使いこなすには難しいでしょう」

飛距離&寛容性とも3.5点△の辛口評【総合評価3.8点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】3.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10度
・使用シャフト:TSP111 50(硬さSR)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。

タイトリスト
驚異のスピードと安定性
発売日:2022/09/30 参考価格: 88,000円