クラブ試打 三者三様

ステルス HD アイアンを万振りマンが試打「シャフト違いで評価が変わる」

2023/05/20 07:00

存在感を放つ高弾道アイアン HS50m/s台のYouTuber評価は!?

テーラーメイドから2023年モデルとして登場した「ステルス2」シリーズ。話題のドライバーと同時発売された「ステルス HD アイアン」は、ユーティリティ(以下UT)のような形状ながらロフト角が立っていない設定(7Iで30度)で、新製品の中ではかなり強い存在感を放っている。そんな高弾道で飛ばせる中空構造アイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。フルスイング系YouTuber・万振りマンの評価は!?

「スチールシャフトだと打ち方が分からない…」

筒と同じく左方向の弾道が多く「難しい…」と何度も口にしていた

―率直な印象は?
「アイアンというカテゴリーではなく、ロフト角の付いたUTといった感覚のクラブです。ロングアイアンでボールが浮いてくれない、番手なりの飛距離が出ないといった、アイアンに苦手意識を持つゴルファー向けだと思います。セット購入だけではなく、単品購入も視野に入れて検討して良いのではないでしょうか。やさしくて軽快に振れる5、6番あたりをポンッと一本バッグに入れておくだけで、コース攻略がかなり楽になると思います」

「ステルス アイアン」から遅れること約一年。満を持して登場の『HD』アイアンシリーズ

―飛距離性能は高い?
「7番アイアンで平均182.5ydは、結果的にこれまでのモデルと似た数字ではあります。が、カーボンシャフトに替えて200yd近く飛んでいたので、もともとヘッドが持っている飛距離性能は高いといえます。しかもそれほどロフトが立った設定ではないのに、初速のスピード感もあり(平均55.2m/s)、フェースの反発性能も高いように感じました。これを飛距離に特化した“飛び系”と呼ぶべきかどうかについては議論が必要ですが、前作『ステルス アイアン』に比べて弾道の高さとつかまり具合は格上。特にカーボンシャフトとの相性の良さを感じました」

純正はカーボンの「TENSEI RED TM60」とスチール「KBS MAX MT80 JP」から選べる

―カーボンとスチールでそこまで違う?
「スチール(KBS MAX MT80 JP)は、カーボンよりコシがある分しなり戻りが速く、ボールのつかまり具合がやや強く出るため、少し引っかけ気味になりました。幅の広いソールを見て払い打つほうが良いと思って払いにいきましたが、払いにいけばいくほどつかまりすぎてしまい…。正直どう打っていいか悩んでしまいました。カーボン(TENSEI RED TM60)は、分かりやすく払い打ちに適しており、しなり戻りがゆっくりな分タイミングを待ってボールをつかまえることができるので、打ちやすく感じられました」

トウ側から見るとアイアンとは思えないほどシャロ―な形状 ※画像は7I

―実際にコースで使う場合、どんな攻め方になりそう?
「高さも飛距離も出ていたので、シンプルに空中戦で多用するべきでしょう。硬いグリーンでも上から攻めていけるアイアン、スピンコントロールやドロー・フェードの弾道の打ち分けなど細かいことを考えず、シンプルに直線的に狙っていけます。距離に合わせた番手選びと、弾道の高さを頭に入れるだけでいいので、コース攻略は比較的しやすいモデルです。ショートゲームでは、もう少し操作性の高いモデルを使用したいため、セットでそろえるなら8番から上の4本(5-8I)を採用するでしょう。ロングアイアンの距離でミスを減らせれば、結果セッティングにが出せるセッティングになると思います」

インパクトの衝撃によるクラブの振動を吸収し 心地よい打感と打音を生み出す構造

―ウッドも含め「ステルス2」シリーズ(2023年モデル)は評価が低めですが?
「点数が厳しくなった理由は、純正シャフト&標準設定が合わないだけのこと。最適なカスタムシャフトを選び、ソールウエイトの調整もできれば、評価は大きく変わってくると思います。今回のスチールとカーボンの例でも分かるように、調整次第でクラブの評価は大きく変わるものです。特に同社はカチャカチャ機能やカスタムシャフトのラインアップが豊富なので、調整の余地が大きい。ただ、それを一個一個合わせる時間を割くよりは、最初から自分にマッチするモデルを高評価として採点させていただいております」

「カーボンのほうがインパクト時のヘッドの動きを把握しやすかった」と万振りマン

―どのような人向き?
「カーボンシャフトで購入するという前提で、パワーの少ない女性やシニアゴルファー、アイアンの振り方が分からない初級者の方におすすめです。それ以外でも、インパクトで手ごたえを感じているのに思い通りの飛距離が出ていなかったり、低弾道でイメージ通りにボールを運べない人に、改めて打ち方を学ぶ意味での購入もアリだと思います。必ず週1回は練習場に通うアスリートタイプの人が使うと、飛びすぎてタテ距離が合わなくなり、距離感も狂いやすいので注意が必要でしょう」

飛距離5点◎でも…他項目はやや辛口【総合評価3.9点】

【飛距離】5.0
【打 感】3.5
【寛容性】3.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:30度(7I)
・使用シャフト:TENSEI RED TM60(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 万振りマン プロフィール

登録者2万人超えのフルスイング系YouTuber。2017年よりYouTubeにて「-Mr.FULLSWING MEN-万振りマン」チャンネルを開設し、数多くの試打動画をアップ。豪快なフルスイングが話題を呼び、人気に火がつく。日本プロドラコン協会(JPDA)B級プロライセンスを取得。

テーラーメイド
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