スリクソン Z-FORGED II アイアンを西川みさとが試打「V字ソール効果で打ちやすい」
新形状を採用した松山アイアン HS30m/s台の女子プロ評価は!?
「ザ・メモリアルトーナメント」で大会2勝目に向けて躍動した松山英樹。彼の手に握られているのは、4月に発売されたばかりの「スリクソン Z-FORGED II アイアン」で、分厚い打感をかなえる新形状のブレードアイアンだ。そんなこだわりが詰まったモデルを、前作「スリクソン Z-FORGED アイアン」と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「打つ前と後では印象ガラリ 『I』よりはやや小ぶりに」
―率直な印象は?
「マッスルバックということで、ヘッドサイズは小さく、薄いボディでミスヒットにはシビアな印象を受けます。打つ前からしっかりヒットできるか不安になってしまうほど、プレッシャーのかかる外観ではあります。ただ、アドレスして上から見た形状やフェースの見え方は、シンプルにターゲットに合わせやすくて好印象に映りました。また、インパクト時の振り抜きの良さは抜群で、少しだけ打ちやすさを感じ、打つ前と後でかなりイメージが変わります」
―実際はかなり打ちやすい?
「そうですね。実際に打ちやすいと感じる要因は、『ツアーV.T.ソール』と呼ばれるV字型ソールの影響が大きいです。同ブランドの直近モデルには、全てこのソール形状を採用していて、抜けが良く全く引っかからない点が、左のミスが多い私にはプラスに働きました。シビアに感じるマッスルバックの形状でも、V字ソールのおかげで打ちやすさを抱くことができます」
―前作「(IIに対し)I」と比べると?
「『I』のほうがフェースの縦(トウからヒールまで)が長く、安心感を抱けるヘッドに感じます。どちらもマッスルバックという小ぶりなシルエット前提で、微小な差ではありますが、『I』のほうがやや大きく見えます。また懐(ふところ=ネック周辺)がキュッっと締まっていて、“くびれ”が確認できる分フェースの面積は広く感じ、安心感につながっています」
―「I」と比べて操作性は高い?
「実際に操作性まで感じ取ることは難しかったのですが、『I』も『II』も、どちらも小ぶりな割に打ちやすいことを実感できました。松山選手の要望を反映し、バックフェースは少し肉厚にできているようですが、その違いは微小で、打感で把握することはできません。マッスルバック特有の柔らかさがあり、芯に当たったときの何とも言えないフィーリングは秀逸で、どちらにも共通するメリットです」
―他ブランドと比べると?
「『スリクソン』シリーズはV字ソールの影響からか、以前より評価が高く、今作でのシビアな形状でも良い印象のままでした。振り抜きや打感といった総合的なバランスの良さは、次にアイアンを買い替える際の候補のひとつに挙がるほど。ツアー選手が使用する他社ブランドと比べても、打ちやすさは突出しているように感じます」
―どのような人向き?
「やさしいイメージは残りましたが、あくまでもメインターゲットは、しっかり振り切れる上級者かなと思います。もともと同シリーズは、同社『ゼクシオ』よりハードルは高く、しかも『Z-FORGED』はシャープな形状モデルであるため、アイアンが苦手なゴルファーは厳しいといえます。ただ、今作は上級者限定というよりは、中級者まで幅を広げてチャレンジできる打ちやすさを持ち合わせているので、特にウッドも同じシリーズを使用している人には、選択肢のひとつとして検討してみることをお勧めします」
飛距離3.5をカバーする打感の秀逸さ4.5【総合評価4.0点】
【飛距離】3.5
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:33度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド DST(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。