ロイヤルコレクション TM-X ドライバーを西川みさとが試打「競技志向にマッチする1W」
ロイコレの最新本格派1W HS30m/s台の女子プロ評価は!?
本格派フェアウェイウッドで多くのツアープロから支持を得ている「ロイヤルコレクション」。ウッド作りの雄から今春発売された「TM-X ドライバー」は、左に行きにくい安心感と中弾道を生むモデルとして、中上級者の声に応えた最新モデルだ。ひと足早く発売された22年モデル「AM-X ドライバー」と比べながら有識者3人が採点。まずは、HS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「しっかり振り切れる人限定 見た目のハードさが要因に」
―率直な印象は?
「ボールがつかまりづらく、全く左に行かず、右への低弾道が多くなってしまいました。アドレスして上から見た際、フェースがかなりストレートで丸みがなかったことで、より難しく見えてしまったからかもしれません。クラウンのカラーリングが真っ黒で、マット仕上げな点も、ハードな印象を受けるひとつの要因に。もう少しフェースに丸みがあれば、やさしいイメージが湧いて、評価も変わってくると思うのですが…」
―バルジとロール(フェース面のカーブ)がなさすぎる?
「そうですね。フェース面の真っすぐな感じが、構えてすぐ目に飛び込んできてしまうので、ヘッド後方がどれだけやさしく作られていても、ハードな印象が強く残ってしまいます。ロフト角10.5度の割にはちゃんと見えてはいるほうですが、それでもより見える構造になれば、ボールの上げやすさにつながると思いました。上から見てもフェース面が視認できるほどラウンドしていれば、インパクトのイメージが湧き、つかまりやすさにもつながる気がします」
―兄弟モデル「AM-X ドライバー」と比べると?
「構造も性能も打感も、大きく異なります。『AM-X』のほうが、見た目からバルジとロールは十分付いていて、ボールのつかまりやすさも感じます。『TM-X』よりやわらかい感触で、心地よく振り抜けるフィーリングも私の好みといえます。ただ、思っているより飛距離の数値は伸びていなかったので、しっかり振り切れる人は『TM-X』のほうが実戦向きだと思いました。『AM-X』もやさしいとは言え、本格派のクラブが多い『ロイヤルコレクション』ブランドですので、初級者向けの簡単なモデルとはいえません。やさしさは感じられますが、それは競技志向が強い人に向けた扱いやすさといえるでしょう」
―良い意味で最近のドライバーっぽくない?
「クラウンを見た印象では、カーボン製で打感のやわらかさがイメージでき、全体的にやさしそうに見えますが、性能はオートマチックにつかまえて飛ばす、イマドキの高慣性モーメントドライバーではありません。あくまでも操作性に富んだ方向性重視のクラブ。コースを思い通りに攻めていきたい中上級者向けになると思います」
―純正シャフト(ロイヤルコレクション TT-5)の印象は?
「試打クラブは、コンポジットテクノ製のオリジナルモデルで、硬さ(フレックス)S設定でしたが、それほどハードには感じず、とても振りやすかったです。大きくしなる感じはしませんが、硬くて思い通りに動かないほどのシビアさはありません。HS30m/s台の私が振っても扱える特性で、ヘッドの印象から受けるハードさとは違った感じがします。『AM-X』も同じオリジナルシャフト(ロイヤルコレクション AT-5)で、しかも若干『TM-X』よりやわらかさがあり、アベレージゴルファー向けに作られている印象。特性で大きく異なる感じはありませんが、ヘッドの特性自体が明確に違うので、振り心地のタイミングは大きく異なりました」
―どのような人向き?
「競技志向を持っているプレーヤーで、しっかりドライバーを振り切れる人向き。HSでいうと、40m/s以上あれば十分だと思います。ですが、練習の頻度は最低でも週1のアスリートゴルファーに限られてくるでしょう。ある程度スイングが固まっていて、打ち込めるパワーは必要ではないでしょうか」
ハードさは否めず辛口評価に【総合評価3.9点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.0
【寛容性】3.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:ロイヤルコレクション TT-5(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。