クラブ試打 三者三様

ロイヤルコレクション TM-X ドライバーを筒康博が試打「外ブラの“皮”をかぶった国産ヘッド」

2023/08/17 20:34

ロイコレの本格派1W HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

本格派フェアウェイウッドで多くのツアープロから支持を得ている「ロイヤルコレクション」。ウッド作りの雄から今春発売された「TM-X ドライバー」は、左に行きにくい安心感と中弾道を生むモデルとして、中上級者の声に応えた最新モデルだ。ひと足早く発売された22年モデル「AM-X ドライバー」と比べながら有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「適度な重心設計で強弾道が打てるユニークな1W」

打ち出しは左右バラバラだったが結果的には中央にまとまっていた

―率直な印象は?
「飛距離だけでいえば、『三者三様』史上トップ3に入る良い数字が出たのではないでしょうか(総距離平均:235.4yd)。ヘッドの弾きが強く、ミスヒットしていても飛んでいる実感が湧く。上に高く上がるというよりは、前に強く伸びる感じの中弾道です。アスリート系モデルのフィーリングですが、パワーに自信のないHS40m/sそこそこの私でも、ベストに近い飛距離結果が出る不思議なドライバーです」

カスタムフィッティングでの調整が可能なウエートビスを4カ所に配置

―飛びの要素はどこにあると思う?
「うーん…、そうですねー。深すぎず浅すぎず、短かすぎず長すぎない適度な重心設計ではないでしょうか。スピンが入りすぎるとどうしてもボール初速が思うように出せないので、飛距離を重視するなら重心は浅いほうが良いのですが、逆に浅すぎるとつかまりが悪くなったり寛容性が落ちてしまう。そこを『TM-X』はどちらでもないギリギリのところで攻めた設計になっていると思います。また、重心距離も短かすぎるとフェースターンが入りすぎたり、反射的に逃がしてしまう動きを取ってしまうのですが、やや重心距離を長めにしていることで、適度にオートマチックに動かせる設計が、私のようにミート率が低いプレーヤーにマッチしたと思います」

左が中弾道の「TM-X」、右が高弾道を生む「AM-X」

―兄弟モデル「AM-X」と比べると?
「『AM-X』はドローバイアス設計で、つかまりを重視したモデル。強い球筋の中弾道を生む『TM-X』とつかまる高弾道『AM-X』という構図で、明確な違いが表現できているように感じます。兄弟モデルでターゲットユーザーをしっかりすみ分けている印象を受けました」

食いつくような打感を実現するフェース面には「RC」のロゴが

―ロイコレのドライバーというと聞き馴染みがないのですが?
「確かにロイコレといえばフェアウェイウッド、ユーティリティを思い浮かべる人のほうが多いと思います。ドライバーは代表的な過去モデルは少なく、ブランドの歴史を覚えている人は少数派になるでしょう。ただ、『TM-X』『AM-X』を見ると、過去モデルや経緯を知らない人でも受け入れやすい海外ブランド(以下外ブラ)に似たデザイン&シルエットです。見た目は外ブラに寄せながら、適度な操作性を求める日本人向けのヘッドと、コンポジットテクノ社製の純正シャフトという、しっかり国内のゴルファー向けに作られた中身に仕上がっています」

最適な重心位置を達成するためにカーボンクラウンを採用

―他社でいうと類似モデルは?
「テーラーメイドの『ステルス2 プラス ドライバー』、キャロウェイ『パラダイム ◆◆◆ ドライバー』といった投影面積があまり大きくなく、力強い強弾道が出るモデルが挙げられるでしょう。全体的な印象として面白いのは、国産ブランドなのに類似モデルが外ブラというところ。はっきりカテゴリー分けができない部分がとても新鮮に映りました。そういう意味では、海外展開を視野に入れたスリクソン『ZX7 Mk II ドライバー』やブリヂストン『ツアーB』シリーズは、類似というよりライバルモデルになると思いました」

「ミスヒットに強く寛容性が高いのに、飛距離も出せるところが面白い」と唸った筒

―どのような人向き?
「人とかぶらないドライバー、もしくはカスタムでしっかり自分に合わせたクラブを使いたい人向き。“地クラブ”と呼ばれるニッチな路線を保ちつつ、飛距離を求めるゴルファーにマッチする汎用性の高さを備え持つユニークなドライバーです。個性と実力が適度に合わさったモデルとして、ゴルフを熟知した方にお勧めです」

飛距離5点◎他全て4.5点の高得点【総合評価4.6点】

【飛距離】5.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:ロイヤルコレクションTT-5(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

ロイヤルコレクション
発売日:2023/04/07