BIG BERTHA ドライバーを筒康博が試打「ハーフで2回以上OB出る人に最適」
やさしく飛ばせるNEW“BB” HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?
1991年に登場した初代モデルの大ヒットにより、同社の名を世に広く知らしめたキャロウェイ「BIG BERTHA(ビッグバーサ)」。2023年モデルとなる新作は、前作21年モデルに比べてヘッドの大型化を図り、アドレス時に抱く安心感やボールへの当てやすさを格段にアップしたという。そんな同社の新たな代名詞的モデルを有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「つかまるけれど引っかからない ゴルフ経験が浅い人にお勧め」
―率直な印象は?
「誰が打っても突出してボール初速が出るといった飛距離性能はないですが、ドローバイアスがしっかり効いています。打ち出し角が得られ、しっかりボールを上げられるドライバーに仕上がっています。スピンが多すぎず少なすぎず、適度な量を保ちつつ高弾道を生み出してくれる。ビッグキャリーで球足がすごく伸びる実感が湧きました」
―ビッグキャリーで伸びる…?
「はい。私はドローボールが持ち球で、ドローバイアスモデルというと左へのミスを警戒するのですが、この『BIG BERTHA』ではフックや引っかけのミスは一切出ませんでした。必要以上のつかまりはなく、弾道の高さと前に行く直進性により、大きなキャリーで飛ばせる仕様に。同社最大のハイドローモデルと呼んでも良いほど、高さとつかまりのふたつのメリットが合致している印象です。あえてスライスが出るように打ってみても、フェースがクルッと勝手に開いてしまうことがなく、安定した軌道を保っていました」
―引っかけにならない要素はどういうところ?
「打ち出し角、スピン量と関連していますが、重心が深く重心角が大きいところ。深重心の効果で、極端にフェースの開閉をせず、ロフト角をやや立たせた状態で打ち抜けます。一般的にはロフトを立て気味にインパクトを迎えると、フェースが開いて右にプッシュアウトしたり、引っかけを嫌って右へのミスを引き起こしやすいのですが、そういう欠点が見当たらないヘッド構造に感じました」
―前作21年モデルと比べると?
「基本構造や設計コンセプトはほぼ一緒ですが、前作は若干重心が浅く、今作よりスピン量が少なかったです。一発の飛び能力は、前作のほうが上かもしれませんが、トータルキャリーを落とさず、平均して飛ばせる能力は今作のほうが高いです。重心角は、前作も他モデルと比べて決して小さいわけではありませんが、今作が相当大きいので、右のミスをなくしたいゴルファーによりフィットする性能に進化したといえます」
―気になるデメリットは?
「ずばりロフト選びではないでしょうか。右方向のミスが多いゴルファーは元々、弾道が高すぎる傾向が強いですが、ハイドローが出やすいヘッドを使うことで、より高すぎてしまう危険性を秘めています。自分に合ったロフトを数種類から選びたいところですが、市販は10.5度のみのようなので、購入後のカチャカチャ調整の必要性をすごく感じます。できればもう少しロフト設定の幅を広げてほしかったというのが本音です」
―どのような人向き?
「同社が採用しているテクノロジーを熟知したゴルフ歴が長い人よりも、先入観なく素直に自分に合ったクラブを探している経験が浅めのゴルファー向き。ここ最近始めたばかりの人、またはゴルフ歴3年以内で同名の歴代モデルを知らない人に、いろいろなテクノロジーの知識を抜きに、ぜひ一度試してもらいたい。特にドライバーショットがとにかくつかまらず、ハーフで2回以上右にOBを出す人にお勧めです」
3項目5点満点◎でも2項目3点台△【総合評価4.3点】
【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】5.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】3.5
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:SPEEDER NX for Callaway(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。