クラブ試打 三者三様

BRNR MINI ドライバーを筒康博が試打「完成度は過去最高“ミニドラ”」

2023/08/31 20:00

異例の大ヒット!最新ミニドラ HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

ヘッド体積304ccのコンパクトボディに最新テクノロジーを詰め込んだテーラーメイド「BRNR MINI ドライバー」。6月に数量限定で発売するものの、予約が殺到してすぐに品薄状態に。そんな異例の大ヒットを記録している最新“ミニドラ”を有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「改めて見直されたギリギリサイズ 2W的ニッチなモデル」

左右に曲がらず同じ方向・同じ低弾道でまとまっていた

―率直な印象は?
「現在主流となっているヘッド体積460ccのドライバーとは、全く異なる独立したモデルでありながら、フェアウェイウッドとも違う、小ぶりだけれども慣性モーメントが高く、直進性もある特徴を持っています。2023年に登場したことで異質と感じる人は多いですが、約30年前のメタルウッドが300→400ccと大型化していく過渡期のタイミングで登場していたら主流になり得たと思えるほど、最新鋭の“ミニドラ”ならではのメリットを感じます」

ソール前方と後方それぞれに13gと1.5gの可変式ウエートを配置

―最新鋭の“ミニドラ”ならでは…?
「はい。ティショットで曲げたくない、狭いエリアに落としたい、だけどフェアウェイウッドより安心して打ちたいという、全ての要素を兼ね備えた新しさです。小ぶりで十分な操作性があるのに、最新ドライバーのブレにくさを備えた“ミニドラ”。試打クラブはロフト角11.5度でしたが、ロフトは立ち気味に当たりやすく設計され、やや低めのライナー弾道が出ます。飛距離よりも精度を第一に考えた新しいドライバーととらえるべきでしょう」

クラウンとフェースの中央に配した旧式ロゴの転写マーク

―過去の“ミニドラ”との違いは?
「『オリジナルワン ミニドライバー』『300 ミニドライバー』と比べて、完成度がダントツに高いと思います。過去モデルは、小さいけれどシャローな形状が打ちにくく感じたり、慣性モーメントがドライバーにしては小さく感じたり、全体的なバランス、まとまりをあまり感じることができませんでした。『BRNR MINI』は、460ccと同等のやさしさや初速性能、慣性モーメントを備えています。短尺で振りやすいだけでなく、狭い通りにストレートボールが打てるモデルとして、完成度は過去最高といえます

「ZATECHチタン」素材と「ツイストフェース」のコンビネーション

―品薄状態になるほど人気のようですが?
「ヘッド性能として、体積が大きいほどいろいろなことは施しやすいのですが、スイートエリアが広くなる半面、それ以外の部分も同時に広がり、ショットの良し悪しがボケてしまいやすいです。ミスヒットは減る一方で、会心のショットも減ってしまう。コンパクトなアイアンが、いまだに売れ続けている理由と似ていますが、小さいヘッドの魅力を実感できるギリギリのラインが、この『BRNR MINI』の304ccだったのでしょう。品薄になっている現状は、そこが改めて見直された結果といえるのではないでしょうか」

Kの形をした「K-SOLE」デザインで抜けの良さと安定した飛びを両立

―気になるデメリットは?
「気になる点は、そもそもこのカテゴリーに関心がない人は、そのメリットを全く感じないところ。現在使用中のドライバーに不満がない人、ドライバーで大きく曲がることがなく、ティショットでの不安も少ない方にとっては、コンパクトなヘッドは必要がありません。ロフトを立て気味に当てたり、短尺にする必要もないでしょう。“ミニドラ”という名前ですが、もともとはブラッシー(2W)として、以前から需要のある根強いカテゴリー。そう考えると、ターゲットを絞ったニッチな路線のクラブということを前提に置いて、評価するべきだと考えます」

「カーボンやチタン、複合素材を駆使することで可能にした設計」と筒

―どのような人向き?
「距離はそれほど長くはないけれど、狭いホールが続くロケーションで回ることの多いゴルファー向き。基本的にはティショットでトラブルを起こしたくない人が対象になるでしょう。競合メーカーが少ないため、すごく独立性があり、刺さる人に刺さるクラブ。1Wではバラつきが出て、飛距離は出るけれど曲がってしまう人、またはティショットが3Wでは心許ない人。その間の2Wの存在を求める声にしっかり応えてくれる一本になると思います」

打感と構えやすさで5点満点◎【総合評価4.6点】

【飛距離】4,5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:11.5度
・使用シャフト:UST マミヤ PROFORCE 65 M40X JP SPEC(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

テーラーメイド
レトロな美学と現代テクノロジーの融合
発売日:2023/06/23 参考価格: 71,500円