BRNR MINI ドライバーを堀江智史が試打「ターゲット層は極端になるかも」
異例の大ヒット!最新ミニドラ ギアに詳しいレッスンコーチの評価は!?
ヘッド体積304ccのコンパクトボディに最新テクノロジーを詰め込んだテーラーメイド「BRNR MINI ドライバー」。6月に数量限定で発売するものの、予約が殺到してすぐに品薄状態に。そんな異例の大ヒットを記録している最新“ミニドラ”を有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争うギア知識を持つコーチ・堀江智史(HS平均44.3m/s)の評価は!?
「コントロールが難しい… 気になるのは見た目よりも総重量」
―率直な印象は?
「率直にいうと、かなり難しいクラブだなという印象です。シャフトが短い分(43.5インチ)、ヘッドが小さくてもそれほど気にはならないのですが、他のドライバーと比べると、安定感の物足りなさを感じます。打ち出した弾道は左右に散ってしまい、どこに行ってしまうか分からない怖さを感じてしまいました…」
―暴れてしまう要素はどこ?
「インパクト前後で、ヘッドが返りすぎてしまうところでしょうか。大型ヘッドのドライバーと同じ動きで振ると、サイズが小さい分、小回りが利きすぎて予想以上にフェースが左へ向くスピードが速い。強引に右に向けようとすると、今度は右に向きすぎてプッシュ気味にボールが飛び出てしまう。小ぶりで操作性が高い半面、フェース管理の調整が非常に難しく感じられました」
―試打中に「重く感じる」と言っていましたが?
「ヘッドが効いているというよりも、クラブ全体がズッシリと重く感じました(シャフト硬さSで約327g)。私がいつも使っているドライバーが、45インチで310g台なので、その差が振り心地に影響したと思います。一般的な460ccサイズでは振り遅れてしまう、フェースが開いてしまうと悩む人にはお勧めできますが、あくまでもボール初速を上げ、距離を出していくモデルではないことは、把握しておくべきでしょう」
―堀江さんが重く感じるということは、非力なゴルファーは使えない?
「寛容性が高いわけではないので、腕前は問われると思いますが、パワーのあるなしでは判断できないでしょう。最近は、大型でもロースピンモデルが増え、パワーがあってスピンで吹け上がる悩みを持つゴルファーは、そちらを選ぶケースが主流となっています。『BRNR MINI』はシャローフェースで、ロフト角11.5と13.5度という設定からも、スピンを極端に減らす方向ではなく、むしろスピンが入って高さが出しやすい設計。HSが遅いからNGということではないといえます」
―気になるデメリットは?
「コントロールが難しい分、強引に振り回すと危険という部分に尽きるでしょう。私は力がすごいあるわけでもないし、それほどないわけでもなく(HS平均44.3m/s)、『BRNR MINI』の対象としては中途半端になってしまう気がしました。十分なパワーヒッターであれば力で振り切れるし、なければクラブの重さを利用して振ることができる。良くも悪くもターゲット層は極端で、選びやすいモデルだと感じます」
―どのような人向き?
「昨今のクラブの進化で、フェアウェイウッドやアイアンのヘッドサイズは小さいままなのに、ドライバーだけが大きくなりすぎて、打ちにくさを感じている人向き。460ccではフェースが返り切らず、スライスばかりで悩んでいる方にとって、この短くて小ぶりなヘッドは、ストレートボールを打つのに適しています。ゴルフ歴20~30年と長いベテランゴルファーで、昔を思い出す意味でも小ぶりな形状を探している人。メタルからチタンになりかけた当時のモデルを使い込んで、懐古する意味でもあの頃のフィーリングを取り戻したい人に、マッチしてくれるモデルだと思います」
難しさが露呈して寛容性&操作性が3点台△【総合評価4.0点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】3.0
【操作性】3.5
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:11.5度
・使用シャフト:UST マミヤ PROFORCE 65 M40X JP SPEC(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 堀江 智史(ほりえさとし) プロフィール
1979年10月25日生まれ、千葉県出身、ゴルフテック横浜所属。
学生時代に体育教師を目指していたが、ゴルフの面白さに触れレッスンの道を志す。学生時代に運動力学や機能解剖学を学び、小手先の動きではなく、体の「どの部分」を動かすと「どのように動くか」を分かりやすく説明することを心がけている。ギアの知識も豊富で、クラブの物理学的視点からアプローチしたレッスンも展開している。