クラブ試打 三者三様

ミズノプロ 241 アイアンを堀江智史が試打「変わらないシンプルさ」

2023/09/09 20:00

軟鉄鍛造の本格マッスル ギアに詳しいレッスンコーチの評価は!?

フェースからネックまで一体成型する世界特許技術「グレインフローフォージドHD」を採用した最新「ミズノプロ」シリーズ。前作同様に3機種「241」「243」「245」構成だが、今回は打感と操作性の高さが特徴のマッスルバック「ミズノプロ 241 アイアン」をピックアップ。前作「ミズノプロ 221 アイアン」と比べながら有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争うギア知識を持つコーチ・堀江智史の評価は!?

「これぞザ・マッスル 変わらない魅力が健在」

狙い通りの球筋ではあるものの やや弾道が高すぎる傾向に

―率直な印象は?
「さすがマッスルバックアイアンだなぁという印象です。きれいで美しいヘッドなので構えやすく、打ったときにはミスらしいミスも出ましたが、自身で感じた結果がそのまま出てくれるため、次にどういう打ち方をするべきかを把握しやすい。マッスルバックとして素直にその魅力が伝わる、ザ・マッスルバックという印象を受けました」

左から241、243、245。形状だけでなく“一枚岩”のシンプル構造なのは241

―ずばりマッスルバックの魅力は?
「やはり打感の良さに尽きるのではないでしょうか。芯をとらえたときに感じるフィーリングは、他の形状と比べると、ずば抜けて良い。一度使い始めたら手放せなくなる感触を味わえます。同シリーズ3モデル(他243、245)ともに、鍛流線(金属組織の流れ)をヘッド内部で途切れさせない製法を採用していますが、特にこの『241』はシンプルな構造なので、その打感の長所を体感しやすいと思います」

ネックには「グレインフローフォージド(G F FORGED)HD」素材は精密鍛造(1025E)使用の証が

―前作「221」と比べると?
「打感は同じくどちらも素晴らしいのですが、なぜか今作より前作のほうが当たりが厚く感じられました。これはあくまでも私の推測ですが、今作はトップブレード(フェース上部の頭)が面取りしている分、少しシャープに見えるからでしょうか。アドレスして上から見る印象からシャープでシビアに感じる分、当たったときの手ごたえがやや薄く感じられたのかもしれません」

左が今作241、右が前作221。見比べるとトップブレードはややシャープに

―若干、前作のほうが飛距離も出ていましたが?(※241平均160.1ydに対して162.3yd)
「やはり薄く当たっている印象は、結果にも出ていたのですね。これは推測ですが、先ほどのトップブレードの削られた分による微妙な重心の違いが、結果に影響しているのかもしれません。弾道はどちらも変わらず高かったので、あとは当たりの強さだけ。ただ、両モデルとも少し高すぎる気はします。私にはロフト角が寝ているマッスルバック(※241は7Iで34度)より、『243(※7Iで32度)』と『245(※30度)』のほうが最適な弾道で飛ばせるように感じました」

同シリーズが長年培ってきた“変わらない魅力”が味わえる

―同社の“軟鉄鍛造 推し”傾向は少し弱まった気がするのですが?
「うーん…、まあそこは『241』だけの試打では分からないです。メーカーの人に怒られるかもしれないですが、あまり変わっていないというのが正直な感想…。逆にこの『1』シリーズは、軟鉄以外の金属を使うわけにはいかないと思うので、良い意味で変わっていないということが、プラスに映ります。そもそもマッスルバックはヘンに変える必要はなく、このシンプルさを続けてもらいたいと思っています」

「見た目の印象が当たりの薄さに影響しているかは推測でしかありませんが…」と堀江

―どのような人向き?
「操作性という点ではピカイチなので、飛距離より方向性を重視しているゴルファー向き。アイアンは飛ばすものではなく、狙うものとしっかり割り切っている方に使っていただきたい。自分のアイアンの飛距離を把握していて、〇番では〇ydと明確に打ち分けられるユーザーに向けたクラブだと思います。そう考えると、やはり中上級者限定になってくるのではないでしょうか」

5点◎と3.5点△ 項目ごとに点数くっきり【総合評価4.4点】

【飛距離】3.5
【打 感】5.0
【寛容性】3.5
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:34度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド HT(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 堀江 智史(ほりえさとし) プロフィール

1979年10月25日生まれ、千葉県出身、ゴルフテック横浜所属。
学生時代に体育教師を目指していたが、ゴルフの面白さに触れレッスンの道を志す。学生時代に運動力学や機能解剖学を学び、小手先の動きではなく、体の「どの部分」を動かすと「どのように動くか」を分かりやすく説明することを心がけている。ギアの知識も豊富で、クラブの物理学的視点からアプローチしたレッスンも展開している。

ミズノ
発売日:2023/09/15 参考価格: 145,200円